
「自分自身を説明するのに「AI」という言葉を使わないスタートアップに会うのは難しくなってきた」。
ーーこう語るのはJake Flomenberg氏だ。ベンチャーキャピタルAccelのパートナーは、AI by theBayカンファレンスで最近のAIブームについて口を開く。
Flomenberg氏は5人の投資家と一緒にAI関連スタートアップにVCが期待していることについて議論しており、パネリストたちはAIを取り巻く騒ぎを認めた上で、技術に対する個人的な情熱や単に「ホットな」空間であるためにVCがAIのスタートアップを支援しているという考えをしっかりと否定した。
そしてここでの会話はまた、ほとんどのスタートアップが失敗するということを改めて思い起こさせるものとなった。
「LinkedInで過去12カ月間に更新されているプロファイルの多くが、AI関連の経験があると謳ってるのを見かけたよ」と指摘するのはBradford Cross氏。Data Collective(DCVC)の創業者でありこうも続けたーー「これは奇跡的な出来事かな?」。
Bootstrap Labsの共同設立者Benjamin Levy氏は、60カ国から1000を超えるAI関連スタートアップがピッチしていると話す。彼はそれを例えて「AIが新しい電気みたいになってる」と語り、いつかはAI搭載のマジックエイトボール(日本でいうおみくじみたいなもの)ができるんじゃないかと冗談も交えて議論に参加していた。
一方、Amplify PartnersのDavid Beyer氏はAIそのものとビジネスは別だと指摘する。
「AI自体は気にしてない。というのもAIの関与が、市場投入の仕組みや製品の価値提案などを根本的に変えるとは考えてないので」。
DCVCの投資家であるJean Xin氏も同じく「まさにAIそのものを念入りにみる前に、まずビジネスに注目している」と、この感想に同意している。
Xin氏は(AIに関わらず)起業家に尋ねる質問は特に他のVCたちと変わらず、技術は正当か、生産に移行できるか、顧客のトラクションを得ることができるか?、こういった基本的なものであることに変わりないと話していた。
Comet Labsの投資パートナー、Adam Kell氏は「成功を左右する要因は技術そのものをはるかに超えている。AIは多くの問題に対して正しい解決策とはならないかもしれない」と注意を促しているし、また、Flomenberg氏も「ほとんどのAIのスタートアップはAIそのもので失敗するのではない。解決が必要な問題を特定できないために失敗する」と指摘していた。
このパネルは起業家が世界を変えることについて熱弁をふるおうが、VCが長期的な価値についての決まり文句を口にしようが結局は、10のスタートアップのうち9つが失敗するということを明白に思い出させた。
それについてAIができることはほとんどない。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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