世界100ヶ国以上で使えるポータブルWi-Fi「Skyroam Solis」が発売、バッテリーのチャージも可能

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(上)Skyroam Solis でさりげなく Google Pixel を充電中.
Image Credit: Stewart Rogers/VentureBeat

私はよくあちこちへ出かける。このレビューを書くまでの13週間にも、ベルリン、プラハ、ウィーン、バルセロナ、バンクーバー、サンフランシスコ、ロサンゼルス、パームスプリングス、シアトル、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ブリュッセルに滞在した。旅行中は仕事や私生活にインターネットが不可欠と言って間違いない。

ポータブル Wi-Fi を販売する Skyroam は本日(8月29日)、Skyroam Solis という新製品をリリースした。ポータブル Wi-Fi とモバイル充電器を組み合わせたもので、ちょうど私のような人々のために設計されたと言えるだろう。しかし、使い心地はどうだろうか? また、従来の Skyroam 製品よりも優れているだろうか?

Skyroam の技術を詰め込んだ以前の製品は、私の「遠征」のお供だ。愛用してもう1年になる。Skyroam を使えば行く先々でモバイル Wi-Fi のシグナルをキャッチできるので、各国で SIM カードを購入する必要はなく、今加入しているイギリスの携帯会社のデータプランでローミングして各種の制限を受けることもない(詳しくは後述)。

使い方

Skyroam は「ソフトウェア SIM」という技術を使い、現地のモバイルデータネットワークに接続する。その後、通信を Wi-Fi 信号に変換するが、この Wi-Fi には最大5台のデバイスが接続可能だ。必要以上に十分な余裕があり、余った分は旅行の同伴者、同僚、友人などに使わせることができる。Skyroam によると、現在100ヶ国以上をサポートしているとのことだ。私は旅慣れているが、さすがにすべての国で動作確認を終えたわけではない。鋭意実行中だ。

Skyroam のデバイスには初期費用がかかる。以前のモデルは79.99米ドル、新しい方は149.99米ドルで販売される。現地のモバイルデータネットワークに接続する場合は、上限なしで24時間データが使い放題となる「ワンデーパス」を購入する。新しい Solis 製品では、1日9米ドルの価格設定だ。これは以前のモデルよりも1米ドル高いが、旧製品の3G に対して新製品では4G 通信を利用できる。

旧製品の Skyroam は、小さな2色表示のスクリーンが付いたコンパクトな箱型で、いくつかのボタンを備える。メニューシステムは簡素なもので、Wi-Fi の SSID の選択、パスワードの入力、システムの再起動、その他基本的な操作を実行できる。

一方、Solis ははるかにシンプルだ。大きなアイスホッケーパックのようにも見えるが、オレンジ色の外観なので間違えることはないだろう。この製品にはスクリーンがなく、あるのは2つのボタンだけだ。電源ボタンは Solis の側面にあり、率直に言うと少し小さすぎる。上面には、ライトで現在のステータスを示す「スマートボタン」が配置されている。

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(上)旧 Skyroam(左)と新製品の Skyroam Solis.
Image Credit: Stewart Rogers/VentureBeat

正直なところ、このボタンは現時点では不要のものだ。将来的にはユニークな機能に使えるのかもしれない。管理画面にアクセスするには、Solis の SSID に接続して専用のウェブページを表示する。画面はないが、Wi-Fi の SSID とパスワードが製品の底に印字されているため、接続は簡単だ。

長所と短所

接続完了後、このページ上には、バッテリ残量、信号の種類と強度、および接続されているデバイス数が表示される。このページからは、ワンデーパスの購入とアカウントの管理も行うことができる。Skyroam を初めて起動すると無料のインターネットアクセスが20分間提供され、この無料アクセス時間中に電子メールでアカウント認証を進めることができるようになっている。

しかし、接続に時間がかかる問題は以前の Skyroam では起きておらず、これには少しイライラすることがある。1週間のテスト期間中、私はありとあらゆる経験をしてきた。時には完全に電源を切った状態から30秒で接続を確立できたが、5分以上もかかることがあった。オレンジ色のペンキが乾くのをじっと眺めているような気分だった。コツとして、スマートフォンのモバイルデータをオフにすると早くなることに気づいたが、依然として長時間かかることもある。

ネットワークにアクセスできたら、まずはワンデーパスを購入する。その後、ボタンをクリックするだけで無制限のデータを使い始めることができる。24時間経つと、データにアクセスできなくなる。ブラウザからページにアクセスし、開始ボタンをもう一度クリックすると、さらに24時間使用可能になる。古い方のデバイスでは、一度に複数のワンデーパスを選択できた。個人的には5日連続して選択することが多かったが、Solis では24時間ごとに1回ずつ選択する必要があるようだ。Skyroam は今後修正するものと思われる。

Solis は移動中に Wi-Fi を提供するだけではない。最初のモデルにはなかった機能として、6000mAh のモバイルバッテリーとして使うことができる。モバイルオフィスなどで酷使してバッテリーを使い果たしてしまった各種デバイスの充電に便利だ。ユニットには USB-C コネクタがあり、USB-A 用ケーブルが付属する。USB-C 用のアダプタもついており、USB-C 同士の接続にも対応できるため、私の Google Pixel の充電にも最適だ。

ただ、Solis からの出力がわずか1.5A だという点はいただけない。結果、Pixel は「スロー」モード(「通常」でもなく、もちろん「急速」でもない)でしか充電できない。おそらく私は、手持ちの2台の Anker のモバイルバッテリーを両方とも使い果たすという愚かな事態にならない限り、利用しないだろう。ただし、急速充電をサポートしていないデバイスへの充電では便利だ。

バッテリーの持続時間は、Solis の方が以前のモデルよりもずっと長い。充電することなく連続で15時間、問題なく使用することができた(皮肉にも、その後 Anker のバッテリーで再充電した)。比較として、旧モデルは8時間がやっとだった。最新のリチウムイオン電池技術を使用した Skyroam ならではの改善点であり、画面とバックライトがないことも稼働時間に寄与しているのだろう。

Solis が備える現在ほぼ無意味な方のボタンは、将来活用できることが約束されている。Skyroam のグローバルマーケティング担当 VP である Cory Jones 氏は、間もなくカスタマイズ可能になると私に教えてくれた。

ハードウェアに組み込まれたプログラム可能なスマートボタン、GPS、Bluetooth のおかげで、今年中に Skyroam Solis を始めとする各種デバイスやアプリ向けに、ナビゲーション、安全、Skyroam Solis のコントロールなどの分野で新機能を追加することができます。

総評

さて、旅行中の Wi-Fi 問題を解決し、移動中もネット接続を維持する上で、Skyroam Solis は優れたソリューションと言えるだろうか? EU では新しいローミング法が制定され、ローミング料金の値上げを効果的に誘発している。イギリスで契約している私のデータプランは悪い方向へ向かいつつある。Three UK との契約では、新ルール以前は30ヶ国で無制限のデータが利用可能だった。しかし今後は月に12GB というローミングデータ量の制限がかかってしまう。

私の場合は1〜2週間以内に上限に達するだろう。以降のローミングコストは非常に高くなる。1日あたり数百米ドルもかかるため、ホテル、アパート、電車、飛行機、喫茶店などで無料の Wi-Fi ホットスポットを見つける必要がある。このような状況では、Skyroam はすぐに元が取れるだろう。1日9米ドルは破格だ。

完璧だろうか? そうとは言い切れない。ヨーロッパ域内の国際列車や車での移動で頻繁に起こるように、Skyroam は国やモバイルデータプロバイダを切り替える際、優に5〜10分ほど時間がかかることがある。しかし、一旦接続されてうまく稼働しているとき(つまりほとんどの場合)、強力な4G 接続による安定したデータアクセスが提供される。実際、このレビューはブリュッセルからベルリンまでの列車で書いて投稿している。Chromebook は旅の間中、ほぼ常にインターネットにつながっていた。そして旧モデルの Skyroam との速度の違いは明らかだ。

もちろん、あらゆる「Mi-Fi」デバイスに共通のことだが、Skyroam の Wi-Fi の信頼性は、接続中の携帯回線の品質に影響される。これまでのところ、初期型の Skyroam または新しい Solis のいずれかで、モバイル信号をまったく受信できなかったのは1ヶ所だけだ。それはアメリカのアンザ・ボレゴ砂漠のど真ん中だったが、実のところ、誰かから連絡が入って邪魔されることは望んでいなかったので問題ない。

同社は3G のワンデーパスを4G に統合し、既存の Skyroam ユーザには差額料金なしで提供する予定だ。

Jones 氏は次のように述べている。

Skyroam Solis にアップグレードしたいと考えている既存の Skyroam ユーザを大切にしたいので、Skyroam Hotspot のワンデーパスを Skyroam Solis 4G LTE のワンデーパスに無料でアップグレードできます。ローンチから間もなくすると、1つのアカウントに複数の Skyroam デバイスを登録することも可能になります。

サービスにはいくつかの欠点があるものの、ソフトウェアアップデートで解決できるだろう(電源ボタンはもちろん、もう少し大きい方が良かったと思うが)。欠点に目をつぶれば、常にインターネット接続を求めている人にとって Skyroam Solis は有益だ。特に高価なローミング料金やデータ制限に悩む人には思いがけない吉報となるだろう。

他の使い方としては、緊急時に位置を知らせるライトになるかもしれない。もしかするとアイスホッケーのナイトゲームが好きになるかもしれない。本当にすごいオレンジ色なのだ。

本レビュー執筆にあたり、VentureBeat は Skyroam からサンプル品の提供を受けている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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