イスラエル発の人工知能モバイルアドテク・スタートアップSpotad、シリーズAで350万米ドルを調達——中国・日本・韓国・インドに進出へ

SHARE:
Spotad のチーム
Image credit: Spotad

AI(人工知能)を利用してモバイル広告を表示するアドテクノロジーのスタートアップ Spotad が本日(原文掲載日:2月6日)、香港の VLTCM がリードした350万米ドルのシリーズ A ラウンドを完了したと発表した。

同スタートアップは、広告主のマーケティングデータや広告のプログラマティックバイイングを独自の機械学習システムと組み合わせ、どんなモバイルアドスペースもリアルタイムで購入できる DSP(Demand-Side Platform、広告主用プラットフォーム)を提供している。

ブロードデータ、マーケティングデータ、機械学習を組み合わせた Spotad の AI 型プラットフォームは、ターゲット層が最も携帯電話を利用する時間や、モバイル広告でコンバージョンを引き出せる可能性が最も高い時間帯を割り出してくれる。ターゲット層が目にする可能性が最も高い時間帯に、アルゴリズムによって広告の自動入札がリアルタイムで行われる。同社はこれが、現状を上回るクリック数やコンバージョン率につながるとしている。

Spotad はまた、これが業界初となる取り組みで、同社は中国に参入する初の欧米系 DSP だという。従来、欧米企業が参入するのが困難とされる市場において、これは重大な出来事だ。Spotad は Baidu(百度)、Alibaba(阿里巴巴)、Sina(新浪)、Weibo(微博) など中国の主要なアドエクスチェンジ企業すべてとのコネクションを持っているという。

では、同社は技術的統合、規格の欠如、そしてパブリッシャーがリソースを投じる前に収益を上げようとすることに起因する「卵が先か鶏が先か」的な問題などの課題にどのようにして対応したのだろうか?

Spotad の COO で共同設立者の Yoav Oz 氏はこう語った。

中国で私を紹介する代わりに対価を求めるという人や企業はたくさんありました。ですが、私は現地に飛んで自分ですべてに対応することにしたのです。LinkedIn や数少ないコネを利用し、ビジネスを開始する前にまず、中国人のビジネスのやり方を学び理解することに努めました。文化の違いを理解した後は、中国人のビジネス専門家と同じようにふるまうのは簡単でした。これは必須です。中国企業はもちろんのこと、中国政府と協力する必要がある場合は特にそうです。

文化やビジネス面における違いを把握した Oz 氏は、次に技術面の理解に取り組んだ。

最初のステップは、中国で広告を出したい欧米のクライアントを獲得することでした。2番目のステップは、供給側(エクスチェンジ)の協力を取りつけ、同時に必要な政府認定の取得に努めました(必要なライセンスすべてを取得するまで1年かかりました)。簡単ではありませんでした。私の代わりに中国語を話し、商談内容を理解できる通訳も必要でした(また、私自身も現在中国語の基礎を学んでいます)。

しかし、最も大きな課題の1つは、ソリューションのエンジニアリングにあった。

当社は中国に進出する初の欧米 DSP の1つでしたから、中国語の API を英語に翻訳するのに苦労しました。また中国人開発者とコミュニケーションを取るのも難しく、この問題を克服するため、後に中国人の技術翻訳者を雇いました。次に欧米ブランドと協力してキャンペーンを実施し、すべてが完璧にうまくいくようになってから、中国人スタッフの雇用を開始して現地の広告業者に働きかけました。今日、国内の主要なエクスチェンジ企業すべてとのコネクションを持ち、従業員が統括マネージャー以外すべて中国人のオフィスを現地に構える欧米の DSP 企業は、当社をおいて他にありません。

広告の品質はすべての顧客にとって重要だが、今日私たちが利用するスクリーンすべての中でも最もパーソナルなモバイルデバイスの場合は特にそうだ。自動化されているがために常に創造性に重きが置かれるわけではないプログラマティックバイイングという環境下で、消費者ニーズに応えることに Oz 氏が確信を持っている根拠は何なのか?

プログラマティック分野では、内部のデータソースや Spotad が開発した独自のテクノロジーを利用することで、メディアバイイングのプロセスを自動化し(当社スタッフにはメディアバイヤーはいません)、高品質モデルを構築したり各ブランドに合った戦略を立てたりするためにデータを利用することに注力できます。バイイングプロセスが完全に自動化されることで、実は数多くの新しいクリエイティブなデータ選択が可能になるのです。(Oz 氏)

本日(2月6日)発表されたシリーズ A ラウンドで得た資金は、中国への事業展開に加え、日本、韓国、インドにおける開発の加速、および開発者やデータサイエンティストの新たな雇用に活用されるという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する