債務のライフサイクル記録にブロックチェーンを活用する、中国スタートアップPINTEC Dumiao(品鈦読秒)

SHARE:

編注:この記事の作者である Zhong Weixiao 氏は、PINTEC Dumiao(品鈦読秒)技術チームの主任として技術設計全般と Smart Credit ビジネスモジュールの開発を担当している。PINTEC 入社以前は、Nokia などいくつかのソフトウェア企業での勤務経験もある。


Image credit: charnsitr / 123RF

ブロックチェーンは今日最も注目されているテクノロジーの一つだ。仮想通貨や国外送金だけでなく、最近では資産証券へのアプリケーションなど、金融業界におけるブロックチェーンの導入はますます進んできている。

ブロックチェーンとは、要するに分散型台帳技術のことである。例えば、多くの場合、一事業に携わる当事者は複数いるが、その異なる当事者間において適切なタイミングで取引が行われる必要がある。もちろん当事者たちには、事業フローを遂行し、様々な取引における情報を同期することが求められる。一般的に、事業に携わる関係者双方は、ビジネス上の要求や質問など互いの情報交換のためのインターフェースを設けている。従って、互いのビジネスルールを正確に執行するため双方はインターフェースのアプリケーションを開発する必要がある。

インターフェースのセキュリティ保証のためには、一連の認証工程、暗号化または署名の仕組みも必要だ。インターフェースを支えるものとして、関係者双方は取引を記録するため各々のビジネスデータベースを所有している。従って、取引の一貫性を確立するためには、この異なるデータベースを整合させる仕組みがしばしば求められる。取引に関わる主体が多数いる場合、その過程は相当複雑化する。このような問題は多くのビジネスシーンにおいて見受けられることだが、これによって発生する仕事量は莫大だ。

ブロックチェーンを利用することにより、(ブロックチェーンのノードである)事業関係者らは各々に交流しなくてすむことになる。代わりに、彼らはブロックチェーンに「対応」するだけでいいのだ。ブロックチェーンが提供するのは、先に述べたような問題を解決するのに最適な抽象化された一連のインフラである。事業関係者らが取引ごとにそのイベントをブロックチェーンに記載することで、そのノードとイベントがブロックチェーン技術によりチェーン参加者全員に公開され、全関係者の合意を得るという流れになる。他の事業関係者は、ブロックチェーンのイベントを閲覧することができ、参加事業者らはブロックチェーン上の情報のコピーをそれぞれ保持することができる。これによりブロックチェーン上の同じ情報への参加者全員のアクセスが保証され、さらに一旦認証された情報は変更されないので取引過程における極めて高い透明性を維持することができる。

事業関係者はスマートコントラクトを作成し、関係者全員からの合意を得る。スマートコントラクトとは、事業におけるビジネス上の基本方針を抽象化したもの。「連結リスト(線形に連結されたデータ項目)」に追加された個々のイベントは、スマートコントラクトとの合致性が検証される。

ブロックチェーンを活用し債務のライフサイクルを記録

ブロックチェーンの利点は、小売信用業において特に注目されるべきだろう。オンライン融資などの小売信用は、主に少額の融資を求める多数の消費者を対象としている。つまり、テック企業や金融機関なども含め関係者が多数いるため、取引は技術的には非常に複雑になる。しかし、債務のライフサイクルにおける債務の認証、資産の明記、明確な資産構成は非常に重要なポイントとなる。

ブロックチェーン技術を活用すればこれら全ての問題を解決することができる。この分散型システムにおいて、取引を行う個々の参加者はノードという位置づけになる。そして業務フローから抽象化されたスマートコントラクトは、ビジネスルールとして関係者全員から承認され、関係者各々の権限がスマートコントラクトの記載内容に基づき保証される。

契約締結を実際の例として挙げてみよう。ユーザが契約締結した場合、そのイベントはシステム内全てのノードに通知され、全関係者の同意が得られれば、そのイベントは関係者それぞれの「台帳」に記録される。チェーンにイベントが記録されると、一般的にその資産はすでに発生したものとされる。その後、金融機関にその資産を請求する際、その金融機関は資産がいつ発生したのか、借り手の顧客情報、ローン金額などの情報を得ることができる。

同様に、将来的には、借り手の返済時に金融機関がそのイベントを報告することで、参加者全員に返済時点での借り手の元本、利息、手数料の金額が明確になる。このような情報が全参加者にアップデートされる必要はないが、ブロックチェーンのノードに記録され、すでに設定されているスマートコントラクトとコンセンサスとの合致性がそれぞれの参加者のノードにより検証される必要がある。また、それぞれのブロックチェーンのノードのデータに基づき、事業関係者は最新の返済情報にアクセスすることができる。

現段階で、PINTEC Dumiao はすでにブロックチェーンを用い債務のライフサイクルを管理している。ユーザによるローン申請から始まり、契約締結、金融機関によるローンの貸付、そして返済に至るまで、資産構成と所有権に関する情報全ての推移を把握することができる。PINTEC Dumiao は今後の展開として、アセットバック証券などの分野へのブロックチェーンのさらなるアプリケーション拡大を目指している。実現されれば、ブロックチェーンのコンセンサスメカニズムにより、アセットパッケージや所有権などに関する推移に対し全参加者の承認が得られるようになる。

PINTEC Dumiao の定義する「債務管理のライフサイクル」とは、債務発生やその流通の記録のことである。債務のライフサイクルを記録する上でブロックチェーンを活用する明らかな利点は、取引過程が標準化され、取引の認証とその信頼性が保証されることだ。近日、Dumiao がパートナー企業と開発したコンソーシアムチェーンがローンチされる。関係者全員がネットワーク上におけるノードとして参加する。次に、彼らは資産移転に関するスマートコントラクトを作成する。これにより資産の創造とその後全ての取引履歴がブロックチェーンに記録され、それをインテリジェントコントラクトが検証することで取引の参加者全員による承認が保証される。ブロックチェーンを利用することにより、従来のコミュニケーション手法が生み出す複雑な技術的詳細を省くことができるだけでなく、両者間の取引照合などビジネス過程の複雑化も防ぐことができる。

Hyperledger 技術を基に開発された PINTEC Dumiao ブロックチェーンプロジェクトにおいて、私たちはブロックチェーンの取引ゲートウェイとオープンソース技術を駆使したイベント通知保証プログラムを構築した。Hyperledger オープンソースソリューションは、コンソーシアムチェーンとプライベートチェーンのソリューションとして業界では最も広く認識されている。

Hyperledger とは分散型台帳技術のことであり、ブロックチェーンのオープンプラットフォームを活用しビジネス工程の簡略化を可能にする。この技術は、ポイントツーポイントネットワークのように完全にシェアされているだけでなく、透明性が高く非中央集権的であることから金融産業に非常に適していると言える。

ブロックチェーン人気の中でめぐらすクールな思考

ブロックチェーンは、近年最も注目されているコンセプトだ。ここ何ヶ月かの市場のブロックチェーンへの関心は主に仮想通貨に向けられてきた。しかし、技術革新を目指す企業はブロックチェーン技術の商業的価値とその実施戦略を模索していくべきだろう。

ブロックチェーン技術によって解決できる多くの問題は実のところ非常に似通っている。どのようなビジネス取引であっても、複数の関係者が関与し様々なルールや規制により取引は複雑化するが、その一方で、全関係者間の一貫性がビジネス上求められる。このような状況においてこそ、ブロックチェーン技術はその真の力を発揮すると言える。

今日、私たちがビジネスにおいて直面している多くの問題は、まさにブロックチェーンが得意とする分野である。例えば、複数の関係者がオンラインでビジネス取引をした場合、通信メカニズムはそれぞれの関係者間で異なる。この点が完全に自動化されたオンライン融資の過程でネックになるのは明確だ。

実際に、ブロックチェーンは事業とインフラの両レベルにおいて(複数当事者間でのコミュニケーション、ビジネスルールの検証、データ伝達の際の仮想化、そして最終的な整合の確認など)事業の抽象化を可能にしている。始めに関係者全員の合意により設定されたスマートコントラクトは、全ての記録ルールに適用される。そして、ブロックチェーンにより伝達メカニズムのコンセンサスが確立される。データ伝達と承認の適時性維持には、一般のソフトウェアを私たちは利用している。

私たちはブロックチェーンを活用して現事業における複数の問題を解決し、また総意を得ることへの偏見を減らしてきた。その技術が必要な現場にちょうどその技術が存在していた、ということだ。

【via Technode】 @technodechina

【原文】