“GAFA”入社に大卒資格不要 ── 学歴不問時代の指標は「時代性」と「期待値分析」

by Takashi Fuke Takashi Fuke on 2018.8.28

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GAFA(大手IT企業 Google・Apple・Facebook・Amazonの総称)の就職窓口が広がりつつあるようです。最近では「Google」「Apple」「Whole Foods(Amazon傘下)」「IBM」「Starbucks」らを筆頭とする企業が、入社時に大学の学位を必要としない役職を用意し始めました。

背景には米国の大学へ通う際の高い金銭的リスクと、学歴の通用しないテクノロジー時代が挙げられます。

Student Loan Hero」のデータによると、2017年度に大学を卒業する学生の平均借金額は3万9400ドル(約430万円)だそうです。学費借金返済中の人数は全米で4400万人で、その合計額は1兆4800万ドル(約164兆円)です。全米のクレジットカードローン額が6200億ドル(約68兆800億円)である点と比較すると、膨大な額といえるでしょう。

一方、オンライン学習コースの充実化が進み、必ずしも大学へ通わずとも実社会で役立つプログラミング言語やAI、自動運転に至るまでの知識が得られる環境が整いつつあります。たとえば「Udacity」や「Lynda.com」「Stanford University」「Harvard University」など、民間企業から著名大学までがオンライン授業を提供しています。

もはや大金を出して大学へ通ったとしても、それに見合うだけのリターンを得られる時代ではなくなりつつあるのです。

先述した企業一覧のなかで、IBMの「ブロックチェーンエンジニア」の募集は顕著な例です。大学側が最先端技術であるブロックチェーンの知識をキャッチアップできていないため、学位を持っていても仕方がないという現代のIT事情を象徴しているといえます。

2〜3年のスパンで技術トレンドが変わる現代において、大学4年間で学んだ知見は在学中に陳腐化してしまいます。潮目がすぐ変わる時代に既存の教育システムが追いつけず、乖離が生じ始めているのです。

こうした時代背景から、これからの学生の進路選択は「学歴」ではなく「時代性」に重点が置かれると考えます。本記事における「時代性」とは、過去5年以内に登場し、急速な成長を遂げる市場分野及びそれに精通する学問・知識の獲得を指します。

AIによる学生の期待値分析

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「時代性」の有無を評価するために「期待値分析」の手法が使われるでしょう。

学生の期待値分析をおこなうサービスはすでに多数登場しています。たとえばFintech企業Deserveはクレジット履歴を持たないZ世代向けに、クレジットカードを発行するサービスを展開。

履歴を求めない代わりに学歴や現在の貯金額を参考に、将来の支払い能力をAIを活用して逆算します。こうして学生がデフォルトしない範囲で使える金額を計算・担保し、カード発行まで実施するのです。

さて、冒頭で学歴社会の構図が壊れつつあると指摘しました。「高学歴 = 人気企業へ就職できる」という従来の考えが変わろうとしています。そのためDeserveの仕組みも変わるかもしれません。

例えば同社の既存システムが「XXX大学を卒業していれば人気企業のどこかへ入り、XXXドルくらいの収入を1年目から得られるだろう」といった事前予測プログラムを組み、クレジットカードを発行する仕組みになっていると仮定します。

このプログラムでは各大学の卒業生がどこへ就職し、現在どのくらいの稼ぎがあるのかといった過去のデータを基に計算することになるはずです。

しかしこれからは「学歴」ではなく「時代性」に合致した人材が評価され、キャリアが決まっていく時代。この点、Deserveのアルゴリズムの組み方も変わらざるをえないでしょう。例えば次のようなものです。

「この学生は自動運転分野に興味があり、高校1年生の現時点でUdacityの自動運転学習プログラムをXカ月間受講している。将来的に自動運転市場はXXXドル規模にまで成長するため、25歳までにXXXドルを稼ぐ可能性がXX%あるだろう」

筆者が提案する新たな事前予測プログラムでは、学生の興味とそれに紐づく新興市場規模の成長性を考慮します。

学生がどのくらいの熱量で興味を持っているのかという「定性データ」と、新興市場の成長率に挙げられる「定量データ」の両方組み合わせて事前予測する具合です。

これからの就職戦線に履歴書は必要ない?

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前章ではDeserveの「期待値分析」の事例を引き合いに、AIを使って学生が持つ「時代性」をどう評価できるのかを考察しました。筆者が考察したAIの活用事例は学生の進路選択にも応用できるでしょう。

たとえば、学生の興味をAIが解析して「時代性」の高い分野とマッチングさせる、という手法はニーズがあるかもしれません。各種オンライン学習プラットフォームの中から最適なプログラムをキュレートして学ばせる仕組みの提供もありえます。

実際Concourse.globalというスタートアップは中高生の成績と興味を解析し、世界中から最適な学校を選出・出願するサービスを提供しています。このAI解析技術を応用すれば、前述したオンライン学習サービス向けに仕様変更できるはずです。

肝心なのは不確実性が高まっている現代だからこそ、「学歴」が必要とされない世界を見据える必要がある点です。事実、冒頭で紹介した大手IT企業は“学歴不問時代”に向けて動き出しています。

学生に「時代性」を感じさせ、最短で学習して社会で活かす、一貫した教育プロセスの必然性が増すことは確実です。「時代性」が軸となり「期待値分析」が評価基準となる社会がやってくると考えます。

従来の教育機関が学生にどう興味を持たせるのかを考えなければいけない時期が遅かれ早かれくるでしょう。そのための備えを今のうちに議論する必要があります。

Via Glassdoor

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