
<18日14時更新> 杉原氏の肩書きを修正。
シンガポールに本拠を置く飲食店向けスマートソリューションプラットフォームの TabSquare は、日本の価格比較ウェブサイトを運営するカカクコムがリードしたシリーズ B ラウンドで1,000万シンガポールドル(720万米ドル)を調達した。
他にも Coca-Cola Amatil、Resorts World Inc、以前から同社に投資している Walden International がこのラウンドに参加している。
今回新たに調達した資金は、AI による飲食店向けソリューションと、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイといったアジア太平洋地域の市場拡大に使われる予定である。
また、一部は従業員数の倍増にも活用される。
TabSquare は INSEAD の卒業生である Anshul Gupta 氏、Chirag Tejuja 氏、Sankaran Sreeraman 氏の3人によって2012年に設立された。
着席型とテイクアウト型のどちらの飲食店でも使える SmartTab eMenu と SmartKiosk が同社の主力製品である。AI が使われているこれらの製品では、ユーザの好みに合わせたお勧めのメニューが提示される。
タブレットがある着席型のレストランでは、顧客は SmartTab から注文したり、お得な情報や会計金額を確認できる。また支払いができるだけでなく、お店の感想を投稿してポイントを獲得することもできる。持ち帰り形態の飲食店では、SmartKiosk を使って注文処理のスピードを上げたり、セットメニューの種類を増やしたり、顧客の好みに関する情報を保存したりすることで注文方法をシンプルにすることができる。Apple Pay や Android Pay など、複数のキャッシュレス支払いにも対応している。
これら2つの製品に加えて、顧客は SmartWeb というモバイルソリューションも利用することができる。このウェブプラットフォームでは SmartTab と同じ機能が利用できる。レストランのテーブルなど、SmartWeb はわかりやすい場所にある QR コードをスキャンするだけで使うことができ、専用のアプリをダウンロードする必要はない。
このプラットフォームはクラウド上にあるため、飲食店側はコンソールとダッシュボードからリアルタイムで注文状況や店内の稼働状況を確認することができる。
Gupta 氏は公式プレス声明の中で次のように語った。
TabSquare は飲食店業界と、この業界における AI の強力な役割をまったく異なる視点で捉えています。顧客にとって外食は特別なものであり、飲食店側もそのように捉えるべきです。当社は今後も AI 技術に重点的に投資し、データポイントと優れたアルゴリズムを使って外食をより特別で、それぞれの顧客に合ったものにしていきたいと思っています。
カカクコムは飲食店の検索と予約を行うプラットフォームである食べログを運営している。同社によると、飲食業界はデータ駆動型ソリューションから多大なメリットが得られ、今回の TabSquare との提携には大きな相乗効果があるという。
カカクコム執行役員グループ事業戦略本部長の杉原眼太氏は以下のように語る。
第一歩として、10年以上にわたる食べログの運営経験から得た、当社の飲食関連技術と飲食店業界のノウハウを共有することで TabSquare の成長とビジネス規模の拡大をサポートしていきたいと考えています。将来的には、AI によるお勧めメニューの提示など、レストラン内での顧客体験に関する TabSquare の知見を活かして、日本市場にも TabSquare のサービスを展開したいと考えています。
TabSquare によると、同社のプラットフォームを使うことで飲食店側は最大で10%売上げをアップできるだけでなく、ホールスタッフや食品廃棄の削減などによって運営費を10%カットし、来店客の回転率を最大で30%アップすることができるという。
サービス提供地域で6,000台のデバイスがこのプラットフォームを利用しており、年間1,200万件以上の食事に対応している。ユーザ顧客には Minor Food Group、Sushi Tei、Paradise Food Group、Japan Foods Holding、Zingrill Holdings、Chili’s、Strike Bowling、Old Town White Coffee、PappaRich などの有名飲食企業が名を連ねる。
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