シンガポールを本拠とするビッグデータアナリティクス企業で、自動車保険会社やサービスセンターを顧客としている Carmen Automotive は、現地の投資企業 Silicon Solution Ventures(SSV)がリードするプレシリーズ A ラウンドで100万シンガポールドル(73万米ドル)を調達した。SEEDS Capital も同ラウンドに参加している。 Carmen は調達した資…
シンガポールを本拠とするビッグデータアナリティクス企業で、自動車保険会社やサービスセンターを顧客としている Carmen Automotive は、現地の投資企業 Silicon Solution Ventures(SSV)がリードするプレシリーズ A ラウンドで100万シンガポールドル(73万米ドル)を調達した。SEEDS Capital も同ラウンドに参加している。
Carmen は調達した資金を、シンガポール、マレーシア、タイを始めとする東南アジア一帯での製品展開の拡充に活用する。1億台を超える自動車を抱えるこの地域の市場に狙いを定めたのだ。
2014年に設立された Carmen Automotive の予測技術は、専用の On-Board Diagnostics II(OBD II)ハードウェアを使ってバッテリーの寿命、コードの破損、燃料効率、走行距離といったリアルタイムデータを読み込む。運転手のスマートフォンとの Bluetooth 接続でクラウドのバックエンドにプッシュされるデータについて、継続的なアナリシスが自動的に実行される。問題が発生する前に運転手と修理センターの双方に事前にアラートが送られるので、予期せぬ自動車の故障を防止する目的でサービスセンターは顧客とタイムリーに関わることができる。
この Dingdang に資金を拠出しているのは、2018年の初めに4,300万米ドルの投資を行った SB China Venture Capital(軟銀中国資本)、さらには、多数の非処方医薬品や漢方薬、消毒洗浄用品、化粧品などを扱う中国資本の医薬品コングロマリット、Renhe Group(仁和集団)などだ。
Dingdang で売られている医薬品
2001年設立の Renhe Group が Dingdang に提供するのは、実は医薬品だけではない。このコネクションを通じて、Dingdang は Renhe Group が持つ巨大な産業チェーン全体にアクセスが可能だ。具体的には、3つの製薬研究所、5つの物流センター、十数か所の製薬・ヘルス製品製造センター。そこにさらに、260の提携製薬会社と、32万の薬局・医療専門店とのコネクションが加わる。
また一方で、中国商務部も、e コマース分野を含めた製薬部門の成長促進に積極的だ。現状では、中国のデジタルヘルスケア業界は厳しい規制に縛られており、一般小売業など他分野の e コマースと比較すると、この分野での技術革新は遅れている。
だがその停滞したトレンドも、ようやく変わりつつあるようだ。昨年初め、中国政府は「医療セクターとインターネット」に関する公式見解を発表した。その内容は、業界の将来に楽観的な展望をもたらすものだった。それに続いて、昨年8月には e コマース法が可決された(2019年1月1日施行)。政権側が発したこれらのメッセージは、中国政府が掲げるデジタル病院、処方箋と薬剤師の相談プラットフォーム、サードパーティーの流通サービスを活用した受注配達、さらには、処方薬に関する病院と薬局の情報共有強化など、さまざまな面において中国の医療 e コマースの発展を促すものと期待されている。
現在、中国の医療 e コマースセクターの市場規模は170億米ドルを超えると推定される。ヘルスリサーチ企業 IQVIA によると、中国の処方医薬品市場の規模はそれをはるかに上回り、1,200億米ドルを超えるという。しかしながら、処方医薬品のオンライン規制の緩和は未だに進んでおらず、この分野へのインターネットプラットフォームの参入は今なお禁止されている。
中国ハイテク大手との競合
確かに Dingdang は突出した存在であり、中国で最も有望な医療 e コマースのスタートアップだ。だが、今後の先行きは決して甘くはない。まず予想されるのが、中国ハイテク企業大手との競合だ。Alibaba(阿里巴巴)、JD.com(京東)、Tencent(騰訊)。これらはすべて、デジタルヘルス分野にすでに深く進出しており、今後 Dingdang の強力なライバルとなりうる。