採用イベントのオンライン化ツール「Bizibl(ビジブル)」運営、4,300万円をシード調達——各社ATSとの連携も視野に

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前列左から:青野佑樹氏(インキュベイトファンド アソシエイト)、花谷燿平氏(Bizibl Technologies 代表取締役)、鈴木悠人氏
後列左から:佐々木浩史氏(プライマルキャピタル 代表パートナー)、両角将太氏(F Ventures 代表パートナー)、早坂啓伸氏(F Ventures アソシエイト)
Image credit: Bizibl Technologies

採用イベントのオンライン開催ツール「Bizibl(ビジブル)」を提供する Bizibl Technologies(旧称: リンクハック)は19日、シードラウンドで4,300万円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、プライマルキャピタル、インキュベイトファンド、 F Ventures、鈴木悠人氏、名前非開示の複数の投資家。なお、F Ventures と鈴木氏は、前回エンジェルラウンドに続くフォローオン。エンジェルラウンドの実施時期や調達金額については明らかになっていない。

リンクハックは2018年、当時、大阪大学大学院に在学中だった花谷燿平氏らにより設立。関西の大学出身者が多数在籍するスタートアップだ。創業当初は、飲み会企画アプリ「LET’S DRINK」や、企業毎に転職事例や転職経験者のレポートが閲覧できるサービス「RUUT(ルート)」を開発していた。2019年には、大阪市のイノベーション創出支援拠点「大阪イノベーションハブ(OIH)」の Seed Acceleation Program 第8期に採択された。

その後事業をピボットし、転職潜在層などに向けて採用イベントをライブ配信できるサービスとして昨年 Bizibl をβローンチした。Bizibl は、採用説明会や座談会などのセッションを簡単に開催し効果的に運用できるオンライン説明会運営支援ツールだ。学生に刺さりやすいセッションの企画テンプレートや告知ページ作成、連絡業務の自動化、ソーシャルメディアでの情報拡散、視聴エンゲージメントに関するビッグデータ取得や活用が可能。実施したセッションはライブ配信に加え、アーカイブ保存もできる。

Image credit: Bizibl Technologies

コロナ禍においては、企業は採用イベントのオンライン化・バーチャル化を迫られており、これは Bizibl にとって追い風である。距離を超越してオフラインにまさる体験をオンラインで提供できることが証明されれば、花谷氏の起業の理由の一つにあるように、就職イベントや企業との面接のたびに地方から上京するといった手間はかなり緩和されるだろう。今回の資金調達を受けて Bizibl が取り組むのは、まさにこのオンライン体験のブラッシュアップということになる。

複数の転職希望者を集めた採用イベントをオンラインで開催した場合、同じイベントに集まった他の人の顔や名前が見えてしまうのはプライバシー保護の観点から芳しくないし、心理的な遠慮を生み出して自由な発言を促せないデメリットが生まれる。採用プロセスの効率化や個別面接だけでは個人の適性を見抜けないことを考えると、複数名が同時参加するイベントは不可避であり、既存のテレカンファレンスツールなどでは解決できない問題が生じる。

これまで目的にかかわらず Zoom・Microsoft Teams・Cisco WebEx などのテレカンツールを使ってきた時代は凌駕され、採用ベントにも最適化されたツールが積極的に選べる時代が来ると花谷氏は考えている。今後、企業の採用担当者と候補者という、あくまで立場の違う両者=非対称性を考慮したオンラインイベントの開催環境、採用業務に必要不可欠な付随機能を充実させていく。また、 ATS(採用管理システム)との連携に取り組むほか、合同イベントを主催する企業・自治体向けの管理機能なども実装する予定だ。

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