Food TrustNetwork
(前回からのつづき)確かにHyperledgerはプラットフォームとして見られることも多いが、IBMはツールをただ作るだけでは十分でないと判断した。IBMでは、ブロックチェーンで何をすることができるのかまで表現し実証することで技術に対する信頼を獲得できるのではと考えている。そのため、IBMでは多くの業界で活用できるブロックチェーンのプロジェクトを中心に扱っているのだ。
おそらく、IBMのプロジェクトとして最も注目を集めいるのはIBM Food Trust Networkだろう。Rennie氏は「IBM Food Trust Networkは食糧サプライチェーンの透明性を高めることを目的に設計されています。これは、農場から消費者までに関わる加工業者や小売、輸送業者など全ての関係者と協力し制作したもの」と述べている。
Rennie氏は今まで、上述したような異なるセクターの事業者が独自のITシステムを利用しており、一つのシステム上に統合するのは大きな弊害があったと述べる。また仮に統合できたとしても情報の完全共有は難しく、信頼関係を築く難易度も高い。
これにより、WalmartやCarrefourなどの大手小売業者が参加し、棚に届いた商品をモニターできるようになった。実際、商品の生産から売り場に至るまでの流れは非常に煩雑で、完全に把握することは困難と思われていた。例えばレタスのような食品が店頭に並ぶまで店側はそれがどこから届いたものなのか、ほとんど見当がつかないことが普通であった。
この問題点としてはレタスに大腸菌など何かしらリスクが起きた際に、どの出荷先が汚染されている可能性があるのか判断することができないため、膨大な量のレタスを廃棄することが避けられなかったという点が挙げられる。
IBMの役割としては、Food Trust Networkに参加した場合、そのパートナーがどの様な機密情報を共有し、それに応じてどのような利益が生じるのかを分かりやすく説明する必要があった。
「私たちはビジネスの観点でいかに分散型の信頼関係が築かれるのかを実際に示す必要がありました。また、それに応じてサプライチェーンの動きの中で実例を示す必要もあったのです」。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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