M&A総合研究所、PKSHAと業務提携——AI活用のマッチングに自然言語処理アルゴリズムを追加

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M&A 総合研究所の web サイト

<18日正午更新> 赤字部を追記・訂正。

AI によるマッチングを活用し M&A 仲介を行う M&A 総合研究所は18日、アルゴリズム開発大手 PKSHA Technology(東証:3993)と業務提携したことを明らかにした。PKSHA Technology が持つ自然言語処理のアルゴリズムをマッチングに取り込むことで、M&A マッチングの精度向上を目指す。

M&A 総合研究所は 2018年10月に設立。創業者の佐上峻作氏はマイクロアドで広告配信システム開発に従事し、女性向けファッションメディア「Alpaca」を運営していた Alpaca(現在の社名はメディコマ、2016年にベクトルが買収)を創業した人物。自らの事業を売却する過程で M&A 仲介会社に会った経験から、その仲介プロセスを技術で効率化できると考え創業に至ったという。

M&A 仲介会社においては一人のアドバイザーが同時に抱えられる案件は数件程度で、そのうち M&A が成立するのは会社全体でも年間1〜2件程度だという。全国には現在320社ほどの M&A 仲介会社が存在するが、このうち10人以上の比較的大きな規模で事業展開できている会社は数%に満たない(M&A 総合研究所の社員数は約50人)。

M&A 総合研究所で潜在売却先の企業データベースを自社開発、現在115万社に上る企業のデータを蓄えている。事業が儲かっているが後継者がいない、いわゆる事業承継問題に悩む企業などから依頼を受け、AI を使ったマッチングにより売却先を探す。一般的に M&A 仲介会社では、着手金、中間金、M&A 成立時の手数料を求めることが多いが、M&A 総合研究所では AI によるマッチング効率化により完全成功報酬型(譲渡企業のみ)を実現。これが事業売却を考える企業経営者の M&A に対するハードルを下げることに寄与しているという。

当社の AI マッチングの仕組みでは、事業売却を希望する企業と潜在売却先をマッチングし、M&A が成立しなかった場合も、双方がどのフェーズまでを検討したかを記録している。この機械学習により、今後、より精緻なマッチングを提供できるようになる。

今回の PKSHA Technology との提携により自然言語処理アルゴリズムを取り入れることで、さまざまな企業の web サイトをクロールし、潜在売却先の企業のデータを蓄積するようなことをやりたい。営業活動の一部を自動化するようなことができるかもしれない。(佐上氏)

佐上氏によれば、ディールのマッチングに要する期間が業界平均的では10〜12ヶ月程度かかるのを、M&A 総合研究所では3〜5ヶ月7.7ヶ月程度に短縮できているという。M&A 総合研究所では昨年だけで10件以上のディールを成立させており、今後、ディール成立の確度や数を増やすことで M&A 仲介会社のトップ5入りを目指すとしている。

M&A 仲介の分野では、日本 M&A センター(東証:2127)、M&A キャピタルパートナーズ(東証:6080)、ストライク(東証:6196)のほか、ビズリーチの「ビズリーチ・サクシード」、連続起業家の畑野幸治氏が設立した「FUNDBOOK」などのプレーヤーが存在する。

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