フレキシブルフィルムで理想のARディスプレイを開発する台湾「KDH Design」

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Image Credit:KDH Design

KDH Designは昨年のCES2020に出展したARスマートヘルメット「JARVISH」で、Innovation Awardを受賞した台湾を拠点とするスタートアップです。2014年設立で、優れたデザイン、高品質、アクセス可能なARおよびAI製品を市場に投入するというビジョンを持つ企業です。

製品はJARVISHの他にも、ARスマートコンバットヘルメットシステムがあります。このヘルメットは台湾国防省のデジタル戦術ARプロジェクトでNCSIST(国家中山科学技術研究所)に認定されており、透明なヘッドアップディスプレイ、AI支援の脅威検出と状況認識、4k暗視カメラ、特許出願中の「超光学」性能、長距離ブロードバンドアドホック通信で構成されています。

理想的なARディスプレイの実現に向けて、求められる要求は低くありません。堅牢性があってスタイリッシュな眼鏡にすべてがパッケージされており、使用可能時間が長く低コストで大量生産ができる必要があります。それと同時に光学設計はFOV 60°以上の広い視野角、広いアイボックスを実現しなければなりません。

Image Credit:KDH Design

要件を満たすために様々な光源、様々なレンズが今も盛んに研究開発が進んでいます。その中の一つに「光導波路」があります。光導波路とは屈折率の高い材料で「路」を作り、周りを屈折率の低い材料で囲んでおくと、光は屈折率の高い路に閉じ込められるようになります。

この”全反射”を利用して光を運ぶ手段のことです。同じ原理を用いた例として光ファイバーがあります。この光導波路を用いたARディスプレイ開発技術がKDH Designのコアテクノロジーです。フォームの美しさの要素を向上させるフレキシブルな曲がり導波路のアプローチで次世代の標準となることを目標としています。

今は視野角が低い小型のディスプレイしか製品として発表されていませんが、開発タイムラインには顔全体を覆うフィルムディスプレイが公開されています。これまで導波路で難しかったFOVの確保、大量生産、十分美しい色彩の実現に向けて確実に駒を進めている状況です。柔軟性、薄型、電力効率、超軽量、高透明性、これらはディスプレイ業界に根本的な変化をもたらす可能性があります。

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