バーチャル世界の”触覚”を流体で変えるーーVRトレーニングに特化したHaptX Gloves DK2

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HaptX

ピックアップ:HaptX launches HaptX Gloves DK2 to bring true-contact haptics to VR and robotics

ニュースサマリ:HaptXは1月19日、触覚フィードバックグローブ「HaptX Gloves DK2」を発表している。HaptXはAdvancedInput Systemsと提携して、HaptXグローブの生産を拡大し、製品を世界中で販売およびサービスの開始をする。Advanced Input Systemsは、40年以上にわたり、医療、産業、商業、軍事、およびゲーム市場におけるヒューマンマシンインターフェイス(HMI)を開発する企業。 

話題のポイント: 手や身体にバーチャルの視覚体験と一致するように刺激を与えるハプティクス。ゲーム用途を中心に盛んに研究開発されていますが、その渦中にいて、ひときわ大掛かりでゴテゴテとした印象の触覚フィードバック製品を専門とするのがHaptXです。超人ハルクのようなグローブに、デスクトップPCほどの大きさのコントロール&エアコンプレッサーボックス。2017年のモデルに比べると徐々に小さくなっているものの、重厚感は健在です。

Image Credit:Smarter Every Day

他社のハプティクスグローブと比べると使い勝手が悪いのは否めません。しかし、HaptXはエンタープライズファーストで製品作りをしており、トレーニングとシミュレーション、工業デザイン、およびロボット工学の専門家向けに特別に設計されています。現段階では多くの人のデファクトスタダードではなく、トレーニングのベストプラクティスになるべく強みを磨き続けているわけです。その甲斐あって、昨年の「Best Of Show Award for CES 2020」の受賞に至っています。

HaptXのケーススタディとしては、没入型医療トレーニングソリューションのプロバイダーであるFundamentalVRと協力して、HaptXグローブを忠実度の高い整形外科手術シミュレーターに統合した例や、カリフォルニアの消防署と協力して、ポンプパネルトレーニングシミュレーターを構築するという事例があります。

HaptXが採用しているアプローチはマイクロ流体スキンです。手あたり130個の小さな膨張式ブラダーを触覚アクチュエータとして用い、皮膚を最大2mm変位させる物理的な圧力を加えて現実世界の物体の感覚を再現しています。

さらに軽量のフォースフィードバック外骨格では皮膚と同じ作動技術を実現します。高出力密度の空気圧アクチュエータでグローブのエキソテンドンを最大8ポンドまで適用。この抵抗力はマイクロ流体スキンによって生み出される触覚を補完し、仮想オブジェクトのサイズ、形状、および重量の知覚を強化することができます。

2020年9月からはバージニア工科大学、フロリダ大学、HaptXを含む研究チームで全身触覚フィードバックのプラットフォーム開発も始まっています。全身を使ったVRトレーニングとしてスポーツ分野に進出する目論見です。こちらも楽しみな挑戦です。

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