事業用駐車場マッチング「at PORT」運営、7,000万円をシード調達——モビリティ+不動産テックへの進化を目指す

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ランディットのメンバーと、今回ラウンドに参加した投資家の皆さん
Image credit: Landit

B 向け駐車場の需給マッチングプラットフォーム「at PORT」を展開するランディットは13日、シードラウンドで約7,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、インキュベイトファンド、mint と名前非開示の個人投資家。同社にとっては初の外部調達だ。同社は2021年5月、三菱商事出身の藤林謙太氏(現在、代表取締役)により設立されたスタートアップだ。

at PORT は、工務店やゼネコンなどの建設土木、物流、モビリティ業界向けの駐車場手配プラットフォームだ。こういった事業者向けの駐車ニーズは、コインパーキングや駐車場シェアリングサービスが提供する駐車スペースでは充足することができない。クルマが特殊車だったり大型車だったり、所定の場所に一定期間駐車できる必要があったり、また、駐車スペースまでアプローチする道路の道幅についても一定の考慮が必要になったりするためだ。

ランディットでは、駐車ニーズを持つ事業者と、不動産事業者や駐車場事業者らをマッチングしている。通常はコインパーキングとして時間貸ししている駐車場では、必ず空車の時間帯が存在するため稼働率が100%となることはない。まとまった期間を at PORT を通じて貸し出すことができれば、駐車場オーナーにとっては管理手間が減り、一定売上を事前に見込むことも可能だ。駐車ニーズを持つ事業者には検索・見積・予約・契約・決済・管理といった機能、スペースのオーナーには業務効率を向上する機能も提供する。

「at PORT」
Image credit: Landit

スペースのオーナーにとっては、at PORT はマッチングプラットフォームとしての営業ツールの側面に加え、業務効率を向上する SaaS としての役割が非常に大きいため、料金体系は仲介手数料と SaaS 利用料の2つで構成される予定。この分野の営業チャネルはこれまであまり存在しなかったため、特に大きな努力をしなくてもオーダーが入るためオーナーには重宝されているという。大手不動産の遊休スペースや駐車スペースのリストを、ランディットが丸ごと預かって効率的な運用を委託されているケースもあるそうだ。

このような事業用駐車スペースは、前出した建設土木、物流、モビリティ業界以外の分野にも需要を拡大できる可能性がある。例えば、オンデマンドでギグワーカーがフードデリバリをする部隊の待機場所にしたり、マンションを大規模修繕する際に一定期間にわたって住民の自家用車を駐車スペースとして活用したりなど、通常の駐車場やコインパーキングではうまくフィットしない需要に対しても、サービス体系を柔軟にフィットできる可能性があるわけだ。

ランドディットでは今後、大手や地場不動産事業者とのネットワークに加え、衛星データなども駆使して、地域毎の駐車需要の性質やスペース分布などを分析し、モビリティ全般向けの不動産テックに事業を拡大していく計画。すでにユーザがいることから PMF(プロダクトマーケットフィット)にはあまり時間を要さないと見ていて、次の成長に向けた資金調達にも早々に着手する。この分野では、ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから累積で15億米ドルを調達した REEF Technology がベンチマークになるだろう。

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