#7 スタートアップ業界の歴史とトレンド 〜THE BRIDGE CEO × ACV 唐澤〜

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本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

岸田政権は2022年を「スタートアップ創出元年」として、官民をあげてスタートアップ支援を強化することを表明しました。ひと頃前は新興企業とか、ベンチャーとか呼ばれることが多かったスタートアップですが、この呼称も一般名詞として世の中に随分と定着しました。

スタートアップはいつ頃から生まれ始め、どのような変遷をたどって今日に至るのか。10年以上に 日本のスタートアップシーンを取り上げるメディアを運営する THE BRIDGE の CEO 平野武士氏をゲストに迎え、アクセンチュアのビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター唐澤鵬翔が語ります。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。太字の質問はすべてナビゲーターの松村太郎さん)

ポッドキャストで語られたこと

  • 黎明期における日本のスタートアップシーン
  • 以前のスタートアップと、最近のスタートアップの違い

平野:2000年頃にベンチャブーム(ITバブル)があって、私がスタートアップの界隈に入ったのが2010年以降なので、それ以前の話は分からないんですけれども、境界線が2000年の時とあるとしたら、2010年4月か5月ぐらいにデジタルガレージさんが Open Network Lab を立ち上げたところだと思います。その2〜3年前にYCombiantorやTechStarsのようなところが、アクセラレーション・プログラムを作ってスタートアップの量産を始めたわけじゃないですか。それを日本にも持ってきて仕組み化しようとしたのが2010年代だったのかなと。

結果的にたくさんのプログラムを生んで、VC も最初の頃は本当にコピーしたようなプログラムを立ち上げられました。その中でVCは基本的には情報の対称性を商売にされる訳なので、どんどん情報を吸い上げていって、日本の例えば消費者向けのサービスだったり法人向けのサービスにおける数値、KPI にすべき数字だったりを蓄積していった。

本当にロジカルに組み上げられていって2015年とかメルカリが上場するタイミングで、次の5年間本当に多くのB2B SaaS が生まれていくわけです。最近の起業家の方々は、それこそ戦略コンサルからやってきて、数値をきれいに組み上げていって、積み上げていくみたいな方が多くなってきたなと感じます。大きなパラダイムの中でスマートフォンシフトという波に乗っかって前半にいた有象無象の中から出てきたロジックを後半で皆さん形にしていったのが、大きな流れだったかなと思いますね。

唐澤:あくまでアクセンチュア、そして私の偏った観点になるかもしれないですが、平野さんがおっしゃってた話はすごい共感できます。どうしても中国や海外と比べた時に、今の日本には、有象無象が少ないなと実は思っています。良く言えばちゃんとしてる、悪く言うとどこかで見たことあるようなものが凄く多いなというのは印象としてあります。

日本のスタートアップ界隈では、むしろタイムマシンを追いかける側になっているケースが多いように見えます。我々もオープンイノベーションをやる時に、もちろん、オープンイノベーションありきではなく企業がやりたいことがまずあって、それに合わせてどのスタートアップと組むか考えていくのですが、どうしても日本のスタートアップだけでスクリーニングしようとすると、特に先進的なテーマであればあるほどロングリストが作れない。そして大体イスラエルとかシリコンバレーのスタートアップになってしまう。日本企業のお客さまとの取り組みなので、本当は日本のスタートアップであればコミュニケーションコストが低くて一番組みやすいはずで、本当はそうやりたいのですが、中々できてないのが歯がゆいところです。

平野:(前半から後半にかけて)本質的にゼロイチがなくなった時期なんだろうなとは思うんですよね。本当のゼロイチはKPIも組めないし、何回トライすればいいかも分からない。しかも投資家の人たちはずっと相手してくれる訳じゃないから、人生10年棒に振っていいですかみたいなところに計算をしてここに行ってはいけないと判断した人たちは最初の頃は来なかった。

唐澤:確かにそうですよね。SaaS か SaaS じゃないかみたいな話もそうですけど、どれだけ予測できるかみたいな。VC の方々と話していてもそこが明確に分かれていて、おっしゃるようにバランスは変わってきているなと感じます。

中国のスタートアップだけじゃなく、企業、もっというと国民もそうだと思いますが、その国の発展ステージがあった時に、よくなぜ中国であんなにQR決済が先に流行ったかという話でいうと、既存のペインがすごく大きかったのが要因です。紙幣が破れていたりするのが普通で、そういう既存のインフラの欠如・欠落からのギャップが大きかったところがあり普及したと捉えています。

私も小さい頃中国に住んでいたので、すごく感じたのが、中国においては金儲けっていいことなんですよね。そこは日本と感覚が異なり、国の発展ステージの違いとしてあると思います。ハングリー精神というありきたりの言葉は使いたくないですが、ただそこの動力の違いを凄い感じますよね。それが国民のデジタルリテラシーとかを受け入れる素地にも反映されてますし、スタートアップの姿勢にも反映してるんじゃないかなと思います。

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