あらゆるチェーン&トークンへの対応:Ginco 取締役副社長 房安 × ACV唐澤・村上(9)

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

ポッドキャストで語られたこと

  • 企業が自前でNFTマケプレを作る理由
  • カストディアル vs. ノンカストディアル
  • ウォレット開発から始めた理由
  • 〝繋がるコールドウォレット〟が誕生するまで
  • 暗号資産業者の求めに応えた高いセキュリティ
  • 非Web3企業がWeb3を始める上で重要なこと
  • 事業開発の苦労、高かったハードル
  • インフラ・ウォレットを開発するユニークな存在
  • あらゆるチェーン&トークンへの対応
  • 「経済の巡りを変えていく」ためのアプローチ

あらゆるチェーン&トークンへの対応

唐澤:パブリックチェーンにこだわられている理由はあるんですか。

房安:弊社はプライベートチェーンも結構やってるんですよ。でもパブリックチェーンのこだわりというのは比較的ありますね。最終的にはパブリックチェーンをやっていきたいというのはあります。

唐澤:我々のお客さんもそうなんですが、企業さんでよく悩まれるのは、あんまり本質的な問いじゃないかもしれないですが、パブリックチェーンとプライベートチェーンのどちらなのかというのがあります。最近は少なくなったかもしれないですが、一時期はすごく多かったですよね。

房安:2019年〜2020年ぐらいですかね、相場が大きく下落して、パブリックチェーンのプロジェクトが軒並み価格が低下したときに、まずはエンタープライズチェーンじゃないと企業は危なくて触れないでしょうというような期間がありました。

その時にどのエンタープライズチェーンが良いのかっていう比較が流行ったりしたんですが、やっぱりブロックチェーンの規模のメリットみたいなところは、プライベートだと活かしづらいっていうので実証実験で止まるケースが多かったのかなと思っています。

一方で今、プライベートチェーンを使うところが減っているかというと、実はまだまだいらっしゃって、でも以前よりも未来をちゃんと見据えていますね。いろいろなコンプライアンス上の理由はあるけれども、まずは(イーサリアムと技術互換性のある)EVM系のプライベートチェーンで始めてEVMのパブリックチェーンを目指すとか、他には、Cordaというコンソーシアムチェーンはパブリックチェーンに似た性質を持っているので、このネットワークにいろいろな金融機関が接続してネットワークエフェクトを出す前提で、まずは数社から始めるという事例も出てきているので、あの期間は必要な期間だったのかなと思います。

唐澤:クラウドの議論とすごい似てるなと思いました。プライベートクラウドという謎の存在が当時あったりして、「なんだそれ、オンプレじゃないのか」ということで、すごく説明するのは難しかったです。でも、やっぱりどこかからハイブリッドになって適材適所になっていきます。時間はかかりますよね。

房安:コンソーシアムチェーンやプライベートチェーンでやりつつも、パブリックチェーンを見据える視点でやってさえいれば、すごく良い選択なのかなと僕は思います。

それに関連して言うと、今ブロックチェーンとかWeb3ベンチャーが増えてきてると思うんですが、今からコンソーシアムチェーンやるところはなかなかいないですよね。それが一つの業界課題だと思っています。作れる人が減ってきているんですね。

一方で選択肢としては今も健在なので、誰かがやらないといけないので我々が頑張っているというのはありますね。コンソーシアムチェーンもいろいろありますが、弊社ではメジャーなものだとほとんど実績があります。

村上:コンソーシアムチェーンも結構やられているんですね。そのイメージはあまりなかったです。

房安:公開してるものだとSBIさんとプレスリリースを出してるものがあって、あれもCordaベースで為替の取引システムの開発を一緒にやっていたりもします。

村上:言語とか、どれぐらいオープンに世の中に繋がるかみたいなことは全然違うものの、電子署名の技術だったり、台帳がどう作られるのかだったり、下のコンポーネントで見たときって結構共通する部分がありますよね。だから両方やってても別にすごい無駄にはならないというか。

房安:やっぱりパブリックチェーンしか触っていない、Web3の最先端にいらっしゃる方からすると、「ちょっとあそこは業界が違う」と思われている方も一部はいると思うんですが、私としてはそういう選択も悪く無いかなと思います。やっぱり理想と現実の落としどころというのは常に必要だと思っているので、我々はそういう企業でありたいなと思って接しています。

唐澤:取引所をやられていると、その取引所が扱っているトークンというか、通貨もそうですし、結局複数のパブリックチェーンと繋げているケースもあるじゃないですか。そうすると皆さんとしても対応しなきゃいけないパブリックチェーンは結構幅広いですよね。

房安:おっしゃる通りでして、マルチブロックチェーンのインフラをいかに作るかっていうのは非常に高いレベルで求められていて、プラットフォームをやるにしても一つのチェーンを追加するのには結構時間がかかります。

STEPNも最初Solanaから始めて、BSCが入りましたし。最近LINE Blockchainの発表がありましたが、おそらくこれから開発だと思うので結構時間がかかるんですよね。これをいかに早くかつ安定、安全安心に使えるような状態で拡張していくかというのは、弊社の中ですごく議論を積み重ねて作ってきたシステム基盤があってこそできているというのはありますね。

唐澤:皆さんにとって得手不得手のチェーンってあったりするんですか。

房安:基本的にはもう全部できるという状態ですね。

唐澤:前ある取引所の方と話したら、やっぱりチェーンを1個足そうとするとすごく稼働がかかって、もう二度とやりたくないということでした。

房安:本当そうですね。いわゆるEVMと呼ばれるチェーンですと比較的やりやすいんですが、特にビットコインとか、UTXOタイプと言われるイーサリアム系とは全く異なるチェーンだったり、SolanaとかFlowとかは仕組みが根本的に違ったりするので、系統とが異なるものを追加するときには非常に苦労しますね。

プロダクションレベルまでやろうとしたらおそらく半年とかは平均でかかるんじゃないかと思っています。弊社の場合はそこをかなりスピードアップして開発できる体制ができていまして、今通貨の数でいうと35通貨ぐらい対応していて、チェーンの数でいうと20チェーンぐらい対応しているので、そこが他の業者さんと比べても強みになっています。

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