開始3日で20万人登録サービスもーーChatGPTで激変するネットサービスたち(前半)

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piconが公開したLINE経由でChatGPTを使えるAIチャットくんは3日で20万人を登録した

ニュースサマリー:米OpenAIが3月2日に公開した新たなChatGPTのAPI(GPT3.5-turbo)を活用した事例が日本でも早速お目見えしてきている。アプリ開発を手がけるpiconが2日に公開したLINE連携のチャットサービス「AIチャットくん」は公開3日でLINEの友達登録20万件、総メッセージ数も250万回を突破した。また、CAMPFIREやBASEなど数多くの事業を手がける連続起業家、家入一真氏が個人プロジェクトとしてリリースしているウェルネス宗教ボット「HOTOKE AI」は開発からわずか数日で7,000件近くのお悩み相談を受け付けている。

エンジニアのスキル可視化「Findy」シリーズを手がけるファインディは今日、開発者が自身の紐づけている各種ソースからワンクリックでレジュメを書いてくれるレジュメ自動生成の機能を公開し、ソーシャル上に早速、利用者の投稿が広がっている。開発の容易さや自然な会話を実現した点、そして私たち日本人にとっては日本語が実用レベルに到達しているという点がこれらの動きを後押ししている。

話題のポイント:久々にテック・シーンにいろいろひっくり返りそうな流れがやってきましたね。私も混乱していろいろ誤解していたので(怒られました)少し整理します。話は昨年11月30日に公開されたOpenAIによるChatGPTです。開始2カ月で1億人が使った(TikTokで9カ月)お化けサービスです。

昨年の公開以降、世界のみならず国内でも一気に話題を作ったChatGPT

ただ、正直に言うとChatGPTそのものは面白いんですが、社会実装や実用というレベルで言うともう少し時間がかかるのかもなという印象を持っていました。これを一気に変えたように思うのが、MicrosoftによるBingへの搭載です。2月7日に発表されてから私もウェイティングリストに登録し、現在、モバイルアプリ含めて使えるようになっているのですが、Bingの場合、どちらかというと検索の上位互換としてChatGPTを使うというよりは、自然な会話で検索結果を教えてくれるアシスタントのような存在にしてくれてるんですね。

特に実用で便利なのがソースの提示で、ChatGPTだとその情報どこから?みたいな状態になるのですが、Bingはソースを出してくれます。なので、なんかもっともらしいことを回答しているけど、実はその内容Wikipediaじゃんみたいなのも結構あります。近所のレストラン調べたらほとんどが食べログだったとか。

でもね、それでいいんです。味気ない検索クエリとSEOされまくった結果より、なんか人工知能っぽい何かに答えてもらってるあの感じが。

この体験は結構衝撃で、GoogleがBardを公開して「回答が間違っている」という批判にさらされましたけど、ポイントはやはりそこじゃないだろうなと。検索クエリを投げるという行為が終わりを告げているのを感じています。自然な会話からいろいろ教えてくれるので、検索行為があるような企業、データを持っている企業はこれから続々とインターフェースを変えてくるのではないかなと想像しています。

公開されたAPI

Shopifyは早速ChatGPTをサービスに組み込んで利用シーンを提案している

さて、そんなChatGPTを開発したOpenAIが新たに3月2日にビジネス向けのAPIを公開しました。GPT-3.5-turboというもので、ざっくりとChatGPTの裏側を支える技術です。OpenAIは2020年7月にGPT-3、2022年11月にその次期バージョンの3.5をリリースしているのですが、これらの大きな違いはパラメーターの数で、GPT-3では1,750億あったものが3.5ではより多くなっており、より自然な回答を実現させてくれます。ちなみにこの数字はいろいろ調べてみたのですが確かなソースがなく、ChatGPTに直接聞いても教えてくれませんでした。

話を戻します。このGPT-3.5や3.5-turboを使ったサービスが今、まさに私たちの手元に届き始めているというのが起こっていることですね。こちらの記事にも書きましたが、SnapはChatGPTを搭載した「My AI」というチャットボットを展開し、有料ユーザー向けのサービスを開始しています。

注目なのはShopifyとInstacartですね。Shopifyユーザーは自然言語で質問やリクエストを送って商品を検索できるようになるらしく、食品配達のInstacartはユーザーがChatGPTと会話して献立のお買い物計画を立てられるようになるそうです。買い物や食事で悩むのは何を買えばいいか分からない、何を食べたいのか分からない、つまり「投げるべき検索クエリが分からない」場合です。結果はたとえ同じであろうと、めんどくさい検索ではなく自然な会話から結論を導いてくれるのであれば体験は劇的に変わるはず。

実際、NOT A HOTELでもホテルコンシェルジュのチャットボットを開発中でしたが、十分に可能性を感じられるものになっていました。データを持っている企業が動けば日本というか全世界でこの転換は一気に進むのではないでしょうか。APIの利用料についてOpenAIは、GPT-3.5 TurboモデルをAIが生成するトークン(トークンは約1.5語)1000個につき10分の2セントで提供すると発表しています。同社によると、これは、これまで公開してきた他のGPT-3.5モデルの価格プランに比べて10分の1になるそうです。

記事の後半では国内で早速このAPI(GPT-3.5 Turboモデル)を活用して大きく反響を得ている3つのサービスについて、それぞれショートインタビューしてきたのでお伝えします。

後半につづく:メカニカル仏にエンジニアのレジュメ自動生成ーーChatGPTで激変するネットサービスたち(後半)

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