ChatGPTを「旅ガイド」にしたAVA Travelーーカムスタ!チームワークのお話

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本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載。掲載されているAVA Intelligenceの採用情報はこちらから

カムスタ!「チームワークのお話」は成長しているスタートアップのチームについて、その成り立ちや工夫、日常の何気ない風景をお伝えするインタビューシリーズです。今回はAIが旅先を教えてくれるAVA Travel開発、AVA Intelligenceの宮崎祐一さんと髙橋直也さんにご登場いただきます。

AVA Travelは国内の観光スポット・ホテル・体験アクティビティ・レストランなどの旅行情報がひとつのサイトで見られる旅行ガイドサービスです。ホテルや地図からではなく、行きたい観光名所などの「観光地」から旅先を提案してくれるのが特徴です。複数の旅行予約サイトと連携していてそこからホテル予約なども可能。

そして今年3月には公開されたOpenAIのChatGPTをいち早く取り入れ、LINE経由でAVA Travelを利用できるようにしたサービスを開始しました。ユーザーはLINEでAVA Travelをお友達にし、自然な会話で旅行したい地域やアクティビティを伝えると、おすすめの旅先を提案してくれます。

LINEでお友達になったAVA Travelに自然言語で尋ねると旅先をおすすめしてくれる

宮崎祐一さんは新卒で楽天に入社してインターネット広告事業に携わった後、ホテル向けDynamic Pricing事業を展開するスタートアップを経て2018年10月に同社を創業しました。海外を訪問し、国による文化や価値観の違いにふれ、海外旅行の面白さを見出した宮崎さんは、30カ国以上を訪問する中で、旅行計画に課題があることに気づきます。

キーワードを中心とするメタサーチの方法では本当に訪れるべき場所や選択肢がわからないのでは、という問題です。この原体験に自身のテクノロジー企業での経験を掛け合わせ、現在のAVA Travelのオンライン・ガイドブック形式のアイデアが生まれます。

一方の髙橋直也さんはEC関連のSaaS立ち上げを経験し、商品レコメンデーション設計からバックエンド、フロントエンド、クローラー開発など幅広く担当したエンジニアです。2022年に同社に参画し、今回のChatGPTを活用したサービスの開発も手掛けています。

愛媛の出張でChatGPT対応

AVA Intelligenceの代表取締役、宮崎祐一さん

まずはやはりChatGPTの対応についてお聞きしたいです。LINEでChatGPTを使える機能を3月の末ぐらいにリリースされています。できることに制限があったと思いますが、どういう経緯で作ろうと思われましたか。

宮崎:ChatGPTのAPIが公開されたのは3月の上旬で、AVA Travelの公式LINEは3月29日にリリースなんですが実はこれ、ベータ版は3月15日ぐらいには裏側で使える状態までできていました。きっかけは私と髙橋で愛媛に出張に行って、今後のAVA Travelについてどうするか考えていたときのことです。髙橋から『ChatGPT使って提案をやりたいと』言われたんです。私も絶対AVA Travelのビジョンにも合ってるし、今しかないでしょと。

実際に使わせてもらうと、とても自然に回答してくれるんですよね。やはり旅やECとChatGPT、対話型AIの相性はいいですね。

宮崎:AVA Travelとしては点在してる正しい情報を届けるというところをミッションに置いていたので、そのためにざっくりした条件から探せるUXを考えてましたが、ChatGPTを使うことでより対話型で、ユーザーが求めてる情報を提供することできると思いました。

ChatGPTで旅行代理店などはどんどん変わっていくだろうし、旅行業界はレッドオーシャンなので、ここからはスピード勝負な気もしています。技術には自信のあるスタートアップなので、スピード感を持って、クイックにやってみようかと話しました。

これちなみに出してくれるコンテンツはAVA Travelのものですか?

髙橋:大前提として同じにしようとしています。データとしては同じものを使っていて、AIがリアルタイムでユーザーが何を求めてるか、探しにいっています。ただ、生成型のAIなので同じ人が同じタイミングで同じ質問をしても、違うものが返ってきたりもします。

宮崎:具体的なレストランの情報には、食べログさんのリンクもくっつけて返したりだとか、検索エンジンと連動させて営業時間とか料金とかも返したりもしますね。

少し話が前後しましたが改めてAVA Travelのサービスについて教えてください。

宮崎:旅行計画する際、大体の人がググっていろんな記事とかメディアとかを見て旅先を決めて、ホテルや航空券はそれぞれのサイトで予約して、観光スポットはどこそこのメディアからというように、いろんなサイトにいろんな情報が点在していて、どこにあるどの情報が自分に合ってるかわからないという問題があったんです。

旅行計画する際に、結果的に10個以上ウェブサイト見て、そこから適切な情報を自分たちで拾って組み立てて、予算は行く人とLINEで相談しながら、とか。1つのサービスで旅行全てが計画できるものはないよねというところからサービスの構想が始まりました。

AVA Travelはそれに対して行き先決まってなくても、好みとか条件から適切な情報が見れるようになっています。行ったことがない人は、軽井沢でどう楽しめるのかわからないと思うので、どういう観光スポットがあって、どういう料理が食べられて、どういうホテルがあってという、普段であれば紙のガイドブックで知れるものを、デジタル版として全てひとつにまとめたんです。

情報に適切にたどり着きやすくするために、好みとか条件から検索できたり、一部AIによる提案とかも使いながら、適切な情報にリーチしやすくしてます。

他のOTAサービスでもアクティビティの提案などはありますが、よりガイドブック的な打ち出しを全面に押し出している。

宮崎:見せ方が他のOTAさんでもホテルや体験を紹介していますが、サイトの中で縦割りになってしまってると思うんですよね。一方で、ガイドブックは見開きページでいろんな情報が載っていますよね。僕らはそのようなユーザー体験を目指してるので、そこが大きな違いです。いろいろ載ってるけど、総合的に検討できることが大事だと思っていて、それを体現できるUXにしています。

スピード開発のワケ

AVA Intelligenceのエンジニア、 髙橋直也さん

ChatGPTによって宮崎さんが考える体験がより近いものになった印象ですが、こういった開発の研究は以前からされていたんですか。

宮崎:今年の1月ぐらいに開発メンバーでこれはすごいと、遊んでみたりとか、いろいろプログラミングのことを調べたりしていましたが、本格的に使い始めたのはAPIのリリース後です。リリース前まではおもちゃのように思ってましたが、その後、僕らのデータを埋め込む方法に気づいてから、革命的なものだとみんな気づいて、そこからスピードが出だしました。

髙橋:ChatGPTの3.5(Turbo)のAPIであれば3月上旬に申請してすぐに使えてた記憶ですね。

こういう新しいものにはまずやってみよう、という文化があるんですか。

髙橋:今いるエンジニアは元々AIエンジニアというわけではないんです。検索体験を良くするものとしてAIがあって、それが普通のエンジニアである我々も使えるようになったと捉えています。どういう道具が使えるんだろうというキャッチアップは結構しています。

何人ぐらいでどのような環境で開発してるんですか。

髙橋:全部合わせると5人です。業務委託が2人と、インターン生が1人います。正社員は実際に集まっていて、現在はANRIのインキュベーション施設に週に4日ぐらいは行っています。業務委託は1週間、または2週間に1回集まる感じですね。

愛媛でよしやろう、となってみなさんリモート中心なわけですがどのようなプロセスで開発は進んでいったんですか。

宮崎:前提として私たちは旅行の消費者向けサービスなので、我々自身がユーザーになれるので、ユーザー目線でアイデアや開発を進めました。あと、LINE公式だと管理画面入れば皆さんがどういうふうに聞いてるかチャットが履歴見れるので、そこから学んだりしていました。一番は実際のユーザーの声や、使われる状況を見ながら、どういうふうに作っていくかを決めてます。確かにプラグインでもExpediaなどが事例として出ていましたが、これを使ってない理由はプラグインが出てくる前に早くやりたかったからです。自分たちが元々持っているデータを使って、自分たちで開発してしまおうという感じでした。

個人的にAVA TravelというインターフェースがあるのにLINEを使ったところが驚きでもあって。やはりみなさん、外のサービスではなく自社のものとして組み込みたい気持ちが働くと思うんですが、そのあたりどう判断されましたか。

宮崎:一番クイックにできたからです。実はウェブの方でもChatGPTを使った提案ができるように改装中なんですけど、ウェブサイトの改修は結構時間かかるんですよね。実際にChatGPTによる提案をユーザーがどうやって使うのか出してみたくて、一番手っ取り早くできるのがLINEでした。立ち位置としてはLINEはChatGPTを使ってAVA Travelの提案のUXを良くできるのかの検証ツール的な位置づけです。

髙橋:愛媛出張の翌日か翌々日には作っちゃおうとなってましたね。使えるものを作ろうとなったときに、僕はバックエンドは得意なんですけど、LINEだとフロントエンドを何も作らなくていいというところがあって、スピード感を最優先でやってました。

現在はまだ体制もコンパクトでスピード重視、やってみようというのが実現できると。

宮崎:開発の仕方でもスプリント体制で、1・2週間でユーザーにミニマムなMVPをどういうふうに提供するかという目線でやっているので、スピード感は常に会社として意識しています。だからこそLINEでやる判断もできたのかなと思います。

ChatGPTなど生成型AIが大きなムーブメントになるのはもう間違いなく、AIとトラベルで勝負してきたAVA Travelとしてはここからがさらに挑戦となると思いますが、どのような方々とチームを大きくしたいですか。

宮崎:ChatGPTで、旅行の相談とか提案が間違いなく変わることは、誰もがわかってることです。しかし、現状トラベル系で組み込んでるところはまだ多くなくて、その中でAVA Travelは当初からAIを使って提案するというコンセプトがありました。

そこにChatGPTが来たので、我々としてはど真ん中のAIを使って旅行の検索計画体験を変えるところを取り組めるようになったんです。だからこそAPIが公開された同月にはLINEで検証するリリースができて、ウェブの方も今、改善を進行できています。ChatGPTを使えば旅行業界旅行の検索の仕組みが変わることは明らかだけども、先頭に立って本気で変えていく熱量があるのは間違いなく、僕らかなと思っています。チャレンジングな世界で、スピード感を体験したい人は、僕と一緒に働いてみませんかと伝えたいです。

髙橋:スタートアップ特有のスピード感と、あとお客さんに価値を届けるスピード。お客さんにすごく近くて、お客さんがLINEを触ってこんなこと考えてるんだったら、こういうことを叶えようというのは、エンジニアとして喜びを感じられるところです。あとは、検索の体験とか物を探すときの体験はもっとよくなるよねとか、同じ課題感を持っている方であれば、一緒に良い体験を作っていけると思います。そのような方と一緒に働きたいなと思っています。

ありがとうございました。期待してます。

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