データクラウドのSnowflake、非構造化情報を活用できるLLMツール「Document AI」などローンチ〜Snowflake Summit 2023から

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Snowflake Summit の会場
Image credit:Snowflake

Snowflake は、ジェネレーティブ AI をさらに推し進めようとしている。同社は27日、年次カンファレンスで、企業が大量のドキュメントから迅速に価値を抽出できる、大規模言語モデル(LLM)ベースの新しいインターフェース「Document AI」を発表した。この動きは、構造化データに焦点を当ててスタートした同社にとって大きな進展であり、サイロに散在しがちな有用な非構造化情報を活用する簡単な方法を提供する。

Snowflake の製品担当 SVP Christian Kleinerman 氏は次のように語った。

我々は AI を活用し、これまでフォーマットや場所などに縛られていたサイロを排除することで、データクラウドを活用した組織のデータ活用とインサイトの推進方法に革命を起こし、顧客のために新しいデータ時代を切り開こうとしている。

モンタナ州を拠点とする同社は、このイベントで新しい Iceberg テーブル、ML(機械学習)を活用した SQL 関数、コスト最適化ツールも発表した。

非構造化情報を活用する新しい方法

2022年9月、Snowflake はポーランドを拠点とするドキュメント理解のためのAIプラットフォーム「Applica」の買収を完了した。このテクノロジーは現在、新しい「Document AI」を動かしている。

同社が説明するように、企業ユーザが行うべきことは、自然言語で必要なことを詳細に説明することだけである。インターフェースは自動的にそのクエリーを処理し、請求書や契約書など、問題のドキュメントから必要なコンテンツと分析的インサイトを抽出する。

Kleinerman 氏は記者会見で次のようにで説明した。

顧客は、Snowflake にドキュメントを持ち、それらのドキュメントから構造化された質問(従業員の名前、住所、請求書の合計金額など)をすることができるエンド・ツー・エンドのエクスペリエンスを目にすることになる。これは、非構造化ファイルであるドキュメントを構造化データに変換するトリガーとなる。

いったん利用可能になれば、この変換されたデータは、従来のアナリティクス、BI、またはその他の下流の ML プロセスに使用することができる。

Document AI の中核をなすのは、言語クエリを処理して出力を提供する、専用に構築された Applica のマルチモーダル LLM だ。Snowflake は、より多くの種類の非構造化データをカバーするためにこのシステムの拡張に取り組んでいると述べたが、次に何が行われるかは明らかにしていない。なお、非構造化データは非常に包括的で、画像、テキストファイル、ビデオ、その他多くを含むことができる。

IDC は、今後5年間で世界のデータの90%超が非構造化データになると予測しているため、この動きは Snowflake の成長ストーリーに大きな役割を果たす可能性がある。

「Document AI」の仕組み
Image credit: Snowflake

Snowflake Summit 2023 で他に発表されたこと

Document AI以外にも、Snowflake は Iceberg テーブルとデータクラウド用の ML パワー SQL 関数のアップデートを発表した。

前者は、企業が Iceberg のネイティブテーブルと外部テーブルを統一されたテーブルタイプに収束させ、データクラウドの価値を Iceberg データに拡張しやすくするもので、後者は、非技術系データユーザの手に ML をもたらし、予測や異常検知のようなユースケースを簡単に扱えるようにするものだと Kleinerman 氏は指摘した。

最後に、「Snowflake Performance Index」は、企業向けのクエリパフォーマンスを定量化する集計指標であり、2つの新しいコスト最適化ツールを公開した。「Budgets」と「Warehouse Utilization」だ。

Budgets は、特定期間中のコンピュートへの最大支出のしきい値を設定し、制限に達しそうになるとアラートを発する。一方、Warehouse Utilization は、企業がコンピュートクラスタをどの程度活用しているかを可視化し、可能な限り規模を縮小してコストを削減できるようにする。

Snowflake Summit は6月26日から29日までラスベガスで開催されている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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