調査機関 Destination Analytics の旅行調査報告書によると、2023年4月に調査対象となった数千人のアメリカ人のうち、93%が来年の旅行計画を立てており、これにより旅行保険の需要も大幅に増加している。
しかし、人々にとって保険は常に頭の痛い問題であり、保険の専門用語のせいで当事者間のコミュニケーションが不十分になり、保険金請求のプロセスは長くて時間がかかるものだ。
それがまさに、インシュアテックスタートアップ Faye が解決したいことだ。Faye は、24時間カスタマサービス、48時間以内の保険金受取、フライトの遅延などのリアルタイム情報の積極通知により、旅行保険サービスのスピードと柔軟性を向上させることに重点を置いている。創業者 Elad Schaffer 氏は、旅行保険が単なる奇妙な払い戻しプロセスやサービス以上のものにしたいと考えている。
創業者の2人は共に旅行愛好家で、旅行保険に「即時のインタラクティブ性」が必要と考えた
Faye の共同創業者 Schaffer 氏と Daniel Green 氏は、熱心な旅行者であるだけでなく、連続起業家でもある。彼らは大学在学中に共に起業し、世界初の地理戦略・ビジネス分析のアウトソーシングコンサルティングプラットフォーム「Wikistrat」を構築した。独自のデータモデルと世界中のオンライン専門家を通じ、政府と企業にコンサルティングサービスを提供し、毎年数百万ドル米の収益を上げている。
Faye 共同創業者の2人。左から:Elad Schaffer 氏と Daniel Green 氏
将来の旅行保険への期待から、2人は Faye を共同創業し、Android と iOS をサポートする Faye 用アプリを開発した。これにより、保険が100%デジタル化されるだけでなく、乗客が実際の顧客サービスと対話し、保険のステータスを確認できるようになる。すべての申し立ては適時に行われる。
Wikistrat のビジネスが徐々に安定してきたのを受け、 Schaffer 氏と Green 氏はプロの経営者を CEO として雇用し、二人は2番目の事業の計画を立て始めた。
旅行好きである彼らは、旅行のプロセスにおいて、旅行保険おは重要だが、非常に骨の折れる作業であることに気づいた。
保険には難解な業界専門用語が多く、乗客は無知でどのプランが自分に最適なのかもわからないし、保険金請求の手続きには常に多くの事務手続や長い待ち時間が伴う。
我々はこの複雑かつ異常なシステムとエコシステムに魅了され、将来の保険をどのように改善するかを考え始めた。
Forbes とのインタビューで Schaffer 氏は、将来の旅行保険についての見解を語った。現在も将来も使用可能であり、より適切に運用するには、モバイルでユーザフレンドリーなアプリに作り替える必要がある。最も重要なことは、保険契約や業界の専門用語を表示するためにアプリをダウンロードさせるのではなく、消費者と保険との対話を改善することだ。
そこで、Schaffer 氏と Green 氏は協力して Faye を開発し、Android と iOS をサポートする Faye 用アプリを構築した。このアプリにより、保険を100%デジタル化するだけでなく、乗客がすべての請求状況をリアルタイムで確認できるようにした。
48時間以内の保険金支払には、旅行中にアプリで請求できるようにすることがカギ
Faye はデジタル保険会社とも言える。旅行者は Web サイト上で旅行情報を入力し、指示に従ってアプリをダウンロードするだけで、幅広いデジタル旅行保険や関連サービスを利用できる。
旅程やフライトの遅延、手荷物やその他の貴重品をカバーする旅行保険、迷惑保険、補助金などの一般的な旅行保険に加えて、Faye は、ほとんどの旅行保険には含まれていないペット保険やエクストリームスポーツ保険もカバーしている。
ペットに関しては、ペットを連れて旅行する際に発生する獣医の診察料や、旅行が遅れてペットを迎えに行けなかった場合に追加で支払う必要があるペットホテルの料金もカバーできる。オフロードバイクやフリーダイビングなど、エクストリームスポーツに参加した場合の不慮の事故によるケガも補償される。しかも、これらの保険金は、請求じから2日以内に受け取ることができるのだ。
どうやって、請求プロセスを48時間に短縮できたのか
重要なのは、乗客が旅行中にアプリを使用してリアルタイムで情報を報告できることだ。乗客が誤ってケガをしたり、荷物が盗まれたりした場合、Faye のカスタマサービスにすぐに報告して情報を確認し、すぐに申告することができる。
そして、Faye はイスラエルのクラウド型損害賠償ソリューションプラットフォーム「Five Sigma」と連携しており、Five Sigma の完全なエンドツーエンドのデジタル損害賠償決済システムを通じて、損害賠償業務や文書分類などを自動化し、 保険金支払を迅速化することに成功した。保険金が支払われると、旅行者は Google Pay や Apple Pay と同様、Faye ウォレットで直接受け取ることができ、旅行が終わる前に保険金を受けとることができる。
従来の旅行保険の単なる保険金請求と払い戻しサービスを覆し、旅行者が問題に遭遇した場合の優先連絡先として Faye が提供される24時間カスタマサービスは、複雑でわかりにくい保険用語の問題も解決し、真の意味での「人の立場に立った」の保険サービスを実現している。
Faye は、保険業界の世界的信用格付け機関 AM Best から A 評価を獲得しただけでなく、Wall Street Journal の2023年のベスト旅行保険会社の一つにも選ばれた。Faye の顧客は、TrustPilot に Faye のレビューを書くよりも早く保険金が支払われたとフィードバックで報告している。Faye は保険をシンプルで安心なものにしてくれる。
累積で1,800万米ドルを調達、アメリカの旅行保険エコシステムを再構築
Fayeは最近、Munich Re Ventures がリードしたシリーズ A ラウンドで1,000万米ドルを調達したと発表した。このラウンドには、既存投資家の Viola Ventures、F2 Venture Capital、Menora Tech、Allianz Global Travel Insurance の元 CEO Mike Nelson 氏らも参加した。このラウンドを含め、Faye の累積調達額は1,800万米ドルに達した。
Munich Re Venturesの投資ディレクタ Sidra Ahmed 氏は、 Faye の主張を肯定し、Faye が最終消費者のニーズを真剣に考慮し、透明性のある包括的なデジタルサービスと、旅行者が旅行中に発生する可能性のある潜在的な問題を管理するためのリアルタイム追跡を提供したと述べた。Viola Ventures のパートナー Omry Ben David 氏は、「Faye がアメリカの旅行保険エコシステム全体を再構築している」とさえ信じている。
Faye は現在、アメリカの48の州でデジタル保険サービスを提供しており、その数はさらに増え続けているが、Schaffer 氏は、調達した資金を新たな保険商品の開発、デジタルシステムの最適化、他の販売パートナーとの新たな提携開始にに活用すると述べた。
【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup
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