精密農業・自動運転システム「PLUVA」が17億円調達、EV充電系3社が資金調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(7月3日~7日)

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「PLUVA」
Image credit: Gint

7月3日~7月7日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは14件で、資金総額は826億ウォン(約82.6億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • EV 充電ソリューション Evar(에바)が220億ウォン(約22億円)を調達した。サムスン電子の社内ベンチャーでからスピンアウトした Evar は、自律走行自動充電ロボットなど移動型充電ソリューションでスタートした。現在、韓国全土に緩速充電器2万台を供給しており、スマートロードバランシング充電インフラを普及させているところだ。調達した資金で人材を確保し、アメリカや日本など海外進出に注力する。
  • 精密農業自律走行企業 Gint(긴트)が165億ウォン(約17億円)を調達した。既存の農機械を自律走行にアップグレードできるソリューションを開発しており、国内外の主要ブランドトラクターなどに、着脱式でリアルタイム位置データなどの把握・自律走行操作が可能になる。
  • 代替食品開発フード企業 Intake(인테이크)が80億ウォン(約8億円)を調達した。植物性および微生物を用いた代替食品素材技術に基づいて、代替肉、代替卵、および代替糖類事業に注力している。フードテック1号 KOSDAQ 上場目標。
  • 教育スタートアップ FreeWheelin(프리윌린)が70億ウォン(約7億円)を調達した。数学教育サービス「MathFlat(매쓰플랫)」を運営しており、自社製作した70万コンテンツを保有し、カスタマイズされた数学コンテンツを提供する。調達した資金で、人材の獲得と製品の高度化する計画だ。
  • Beyond Honeycomb(비욘드허니컴)が70億ウォン(約7億円)を調達した。同社は、有名シェフの料理を再現できるロボットを開発し、料理が売れたらシェフに著作権料を支払う。食材・分子単位の特性変化を感知する分子センサーをロボットに搭載し、均一な食感と味を再現する。調達した資金は、アメリカ法人の設立などに活用する予定だ。

トレンド分析

上半期に浮上した投資分野3つ

すでに2023年下半期が始まっている。スタートアップは上半期過酷な〝資金調達の冬〟に苦しんでいた。Statup Recipe のデータによると、今年上半期の投資は昨年下半期より36%下落し、同四半期に比べて57%も減少したことがわかった。悲観的な投資市場でも投資家が注目する分野は出てくる。多くの分野の中で、今年上半期に投資家が注目した3つの分野を挙げてみた。

<ジェネレーティブ AI>

世界的に ChatGPT ブームが吹く中で、国内でも急浮上した投資分野は断然ジェネレーティブ AI だ。スタートアップ各社は、まるで流行のように ChatGP を連携したサービスを披露した。ジェネレーティブ AI をキーワードに付けたスタートアップは、アーリーステージでも関心を集めている。

今年浮上した主要な企業としては、150億ウォン(約15億円)を調達した wrtn technologies(뤼튼테크놀로지)を筆頭に広告映像を自動制作する「VCAT(브이캣)」を運営する Pion Corporation(파이온코퍼레이션)や、人のように親しみのある会話を交わせるチャットボット「Luda(이루다)」を披露した ScatterLab(스캐터랩)も注目された。

<コンテンツ IP>

資金調達が厳しい時期にもかかわらず、コンテンツ IP スタートアップの資金調達は上半期、順調に推移した。OTT プラットフォームの拡散に Kコンテンツが人気を集めており、映画、ウェブトゥーン、ゲームなど多様な領域に拡張できることを強みに、関連スタートアップに資金が集まっているのだ。成長への期待からアーリーステージのスタートアップにも資金が集中している。

4th Creative Party(포스크리에이티브파티) や The Grimm Entertainment(더그림엔터테인먼트)など、アニメーションやウェブトゥーン IP 制作力を持つスタートアップをはじめ、シードステージだけで133億ウォン(約13億円)を調達した The Origin(디오리진)が代表的だ。また、コンテンツ制作ではありないが、今年上半期の調達額上位に名を連ねた主なスタートアップは、音源 IP 投資企業 Beyond Music(비욘드뮤직)、音楽収益証券プラットフォーム「Musicow(뮤직카우)」などコンテンツ IP 金融サービスだった。

<システム半導体>

政府が「未来の価値創造だ」というシステム半導体スタートアップを積極的に支援する中、投資家も半導体スタートアップに競争的に資金を投入している。SemiFive(세미파이브)FuriosaAI(퓨리오사 AI)Rebellions(리벨리온)Deep X(딥엑스)などを筆頭に、今年は半導体分野初のユニコーンで今年上場を控えた Fadu(파두)が大きな注目を集めている。

また、半導体製造工程用装備を作る EN2CORE Technology(인투코어테놀로지스)、電力半導体開発企業 Gwanak Analog(관악아날로그)、半導体素材や部品スタートアップ VanaM(반암)などが資金調達に成功し、車両半導体スタートアップ Bos Semiconductor(보스반도체)は Hyndai Motors Group(현대자동차그룹)の採択を受けた。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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