藍箭航天が初の液体酸素メタン燃料ロケットを打上成功、全AIモデルが事前審査制へ——中国スタートアップシーン週間振り返り(7月10日~14日)

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酒泉衛星発射センターから打ち上げられた「朱雀二号」
Image credit: LandSpace(藍箭航天)

本稿は、Technode(動点科技)が、7月10日〜7月14日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

JD が分野別特化 AI モデルを発表——小売・金融・教育分野がターゲット(6月14日)

中国の e コマース大手 JD(京東)は14日、技術サミット「JD Discovery(京東全球科技探索者大会)」で独自の大規模 AI モデル「ChatRhino」を発表した。業界に特化したユースケースを提供するバーティカル AI モデルとして位置づけられる JD の AI は、競合の Alibaba や Baidu(百度)より数ヶ月遅れて登場した。

JDは、AIと大規模なモデルで提供サービスをアップグレードしようとしている最新の中国のハイテク大手である。同社は、ChatRhinoは70%の一般化されたデータと30%のネイティブなインテリジェントサプライチェーンデータを組み合わせ、小売、金融、教育、政府を含む多くのセクターをターゲットにしていると述べた。

JDの技術委員会委員長で JD Cloud(京東雲)社長の Cao Peng(曹鵬)氏は、発表会で次のように述べた。

大規模モデルは、チャットや詩を書いたり、絵を描いたりするおもちゃに限定されるべきではない。

今月初めに北京で開催された Global Digital Economy Conference(全球数字経済大会)でスピーチを行った北京市経済と情報化局(北京市経済和信息化局)局長の Jiang Guangzhi(姜広智)氏によると、北京には現在、中国で利用可能な80以上の大規模モデルの約半分があるという。動点科技

中国政府、ChatGPT 的サービスに「包括的かつ慎重」な姿勢(6月14日)

中国政府は、AI 分野での革新的な開発を奨励しながら、ジェネレーティブ AI サービスの「分類」と「段階的監督」を実施する予定だ。この規則は、ジェネレーティブ AI 技術を利用して生成されたテキスト、画像、音声、動画を一般に提供するサービスに適用され、8月15日に施行される。

新たに発表された規則はまた、AI を使った製品のプロバイダとユーザに対し、社会主義の中核的価値観を遵守するよう求めるとともに、独占的かつ不公正な競争慣行によるアルゴリズムの優位性の悪用を禁止している。4月に公表された最初の意見募集の草案と比較すると、この規則では、様々な分野にわたるAIの高品質な応用の奨励が強調されており、技術規則に違反した場合、1〜10万人民元(約19.3〜193万円)の罰金を科すという規定が削除されている。国家家互聯網信息弁公室

Alibaba(阿里巴巴)のデータインテリジェンスサービス子会社、e コマース加盟店向けの新製品を発表(6月13日)

Alibaba(阿里巴巴)のデータインテリジェンスサービス子会社 Lingyang(瓴羊)は12日、Lingyang One(瓴羊 One)と呼ばれる新しいプラットフォームを発表した。アリババの新部門は、1年前の設立時に「Data Intelligence as a Service(DAAS)」というマーケティング用語を生み出し、データを通じて顧客の効率性と意思決定の向上を支援することを目指している。

Lingyang の CEO であるPeng Xinyu(彭新宇)氏は、新製品の記者会見で、企業はいつでもマルチチャネルの業務データにアクセスでき、 Lingyang One を通じて、「DingTalk(釘釘)」「Lark(中文名:Feishu=飛書)」、「WeCom(企業微信)」などさまざまな職場連携システムに業務指示を自動的に同期させることができると述べた。また、記者会見では、この新しく立ち上げられたプラットフォームがまもなく Alibaba の AI モデル「Tongyi Qianwen(通義千問)」に連携されることも発表された。動点科技

民間宇宙企業 LandSpace(藍箭航天)、初の液体酸素メタン燃料ロケットをローンチ(6月13日)

中国の民間宇宙企業 LandSpace(藍箭航天)は12日、同社初の液体酸素メタン燃料ロケット「Zhuque-2(朱雀二号)」を中国の酒泉衛星発射センターから計画通りの軌道で打ち上げた。このミッションは大成功を収め、世界で初めて軌道に到達した液体酸素メタンロケットとなった。この成果は、中国が革新的な低コストの推進剤を使用する上で極めて重要なブレークスルーを意味する。

Zhuque-2 ロケットの勝利は、商業打ち上げのコストを削減し、業界を変革する可能性を目指している。液体酸素とメタン(天然ガスの主成分)を混合した液体酸素メタンロケット燃料は、燃焼効率が高いことで知られている。また、環境に優しく、低コストで製造が容易である。澎湃

JD(京東)が大型モデル「Yanxi(言犀)」を初披露、正式ローンチは8月の見込み(6月13日)

中国 EC 大手の JD(京東)は13日、技術サミット「JD Discovery(京東全球科技探索者大会)」で大規模モデル「Yanxi(言犀)」を正式デビューさせた。同時に、AI 開発コンピューティングプラットフォーム「Yanxi」も発表され、事前登録が開始され、8月に正式発表される見通しだ。36気

政府当局、すべての AI モデルを公開前に審査へ(6月12日)

中国のインターネット監視当局は、AI が生成するコンテンツに対する規制を強化することを検討していると報じられている。このニュースは Financial Times が最初に報じたもので、中国の規制当局に近い2人の情報源を引用している。

テック大手の Baidu(百度)と Alibaba(阿里巴巴)は今年初め、独自の ChatGPT のようなサービスを展開したが、両社とも、ジェネレーティブ AI 製品が規則に違反していないことを確認するため、製品ローンチまでの数カ月間、規制当局と連絡を取り合っていたという。

より多くのパラメータを備えた大規模言語モデルは、トレーニングに必要なデータ量が増えることを意味し、そのことが、信頼性が高く制御可能な国産 AI モデルに注力する中国当局に拍車をかけている、とこの報道は付け加えている。Financial Times

Tencent(騰訊)の麻雀 AI 、国際麻雀プラットフォームでゲーム新記録を達成(6月12日)

Tencent(騰訊)は11日、自社開発の麻雀 AI「LuckyJ」が、日本を拠点とする国際麻雀ゲームプラットフォーム「天鳳」で十段を獲得し、安定段位で10.68を収めたと発表した。この記録は、麻雀分野における AI 性能の新記録となる。天鳳は、麻雀プレイヤーの専門知識レベルを測定するために「安定段位」を使用しており、人間のトップ麻雀プレイヤーは通常、総合安定段位が7.4である。現在、天鳳における麻雀 AI のトップ3は、LuckyJ、Suphx、NAGAである。

Tencent の発表によると、LuckyJ は1,321回の対局で十段に到達し、他の AI プレイヤー Suphx は5,373回、NAGA は26,598回の対局でこのレベルに到達した。LuckyJ は、中国公式麻雀ルールのもとで標準化された麻雀ゲーム「Guobiao Mahjong(国標麻将)」でも好成績を収めている。Luckjy J はオフラインのプロプレイヤー招待トーナメントで6人のプロプレイヤーを破り、Guobiao Mahjong でトッププロプレイヤーに勝利した初の麻雀 AI となった。騰訊

Sogou(搜狗)創業者の AI スタートアップ、最初の LLM から1ヶ月後に2番目の LLM を発表(6月11日)

Sogou(搜狗)の創業者が設立した AI ベンチャー Baichuan Intelligence(百川智能)は、130億パラメータを誇る「Baichuan-13B」と名付けられた新しい汎用大規模モデルを発表した。この発表は、同社が70億パラメータを特徴とする最初の LLM を発表してからわずか1ヶ月後のことだ。注目すべきは、今回発表されたモデルはオープンソースであるため、開発者は同社の許可を得れば無料で利用・商用化できることだ。

TechNode(動点科技)と共有したニュースリリースの中で、Baichuan Intelligence は、中国が独自のオープンソース大規模モデルのエコシステムを確立することが急務であることを強調した。創業者の Wang Xiaochuan(王小川)氏は、国内のオープンソースコミュニティの成長と繁栄を促進するために、他の企業や開発者と協力する意欲を表明した。動点科技

Kuaishou(快手)、AI 質疑応答機能をテスト(6月10日)

中国第2位の短編動画プラットフォーム「Kuaishou(快手)」は、大規模言語モデルによるスマート Q&A 機能の内部テストを実施している。この新機能は、テキスト作成とインテリジェントな回答を提供すると報じられている。Kuaishou アプリ内の検索バーに質問を入力すると、ユーザは AI が提供する情報と回答を受け取ることができる。これは、短編動画ライブストリーミング業界で初めて大規模言語モデルを適用したものである。全天候科技

DataGrand(達観数据)、テキスト処理用言語モデル「Cao Zhi(曹植)」を発表(6月10日)

中国のテック企業 DataGrand(達観数据)は7日、世界人工知能会議で「Cao Zhi(曹植)」と呼ばれる先進的な言語モデルを発表した。この国産言語モデルは、長文の処理、特殊化、多言語処理に顕著な能力を発揮する。Cao Zhi は、多様なモデルと知識グラフの組み合わせを活用することで、多言語の長文合成や翻訳などのタスクをサポートすることができる。

その能力は、詳細なテキスト作成、機械翻訳、意味解析、知識ベースの質問への回答、テキストから SQL への変換など、いくつかのアプリケーションに拡張される。さらに、さまざまな業界や領域における独自のコンテンツ作成ニーズに対応するため、徹底的な最適化と個別カスタマイズが可能だ。快科技

Temu、海外で Slack ライクなアプリを発表(6月10日)

中国の e コマース企業「Pinduoduo(拼多多)」傘下で SHEIN の競合と目されているバリュー志向のショッピングサイト「Temu」は、主に Temu 加盟店向けに設計された Slack のような職場コミュニケーションツール「Whalek( iOSAndroid )」を発表した。

この企業向けツールは、インスタントメッセージ、音声通話、ビデオ通話、カレンダー機能を備えており、現在アプリストアで入手可能だ。Temu 昨年9月にアメリカしてローンチし、それ以来、初めてアジア市場に参入として、日本に進出した。

この超低価格の Eコマースプラットフォームは中国国外に積極的に進出している。今回の連携コミュニケーションプラットフォームは、企業の業務効率化を支援するよう設計されており、製品ポートフォリオにオフィスツールが加わることなった。Tech 星球

【via TechNode】 @technodechina

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