植物代替肉業界に暗雲?——英Meatless Farmが倒産、1社に留まらず業界全体に危機が囁かれる理由

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Image credit: Meatless Farm

<ピックアップ> Job losses as lack of sales forces Meatless Farm to close

最近、イギリスのスタートアップ Meatless Farm の倒産が懸念され、植物代替肉産業の将来について意見が分かれている。一部の専門家は、誇大宣伝が行き過ぎて消費者の本当のニーズを無視しており、今後3年以内に多くのブランドが経営難に陥る可能性があると予測されている。また、財務状況も厳しく、業界全体がインフレ圧力や投資家の不安に直面している。

サステナビリティや CO2 削減への関心が高まる中、野菜や肉を使わない食生活が世界的なトレンドとなっているが、この新しい食生活の流行は長続きするのだろうか。Meatless Farm の倒産を受け、楽観的な意見と対照的に、植物代替肉が失敗すると考える意見ありし、大胆な予測として3年以内に多くの類似ブランドが閉鎖される可能性が示唆されている。

Meatless Farm は2016年にイギリスで設立されたが、わずか6〜7年で経営危機に直面し、50人のスタッフを解雇する事態となった。同様の状況にあるブランドとして、ソーセージメーカーの Plant & Bean も挙げられている。植物代替肉業界が厳しい時期を迎えていることを示す兆候だ。

専門家の報告書によると、Meatless Farm の経営危機は、業界全体の生き残りをかけた過剰なマーケティングの結果だと分析されている。業界が消費者のニーズから逸脱し、投資家やメディアの誇大宣伝に頼っているため、多くの消費者が離れていく可能性があると指摘されている。

また、植物代替肉業界は技術や消費者の需要について深い理解を持っておらず、業界無知な投資家によって動かされていて、その結果、植物代替肉はニッチな市場にとどまり、多くのブランドがシャットダウンに追い込まれるという見方もある。

植物代替肉ブランドの多くは赤字であり、市場が過剰に宣伝されているとも指摘されている。イギリスの上位20社の財務状況を調査した結果、9社の年間売上高は6,000万ポンド(約110億円)に過ぎず、累積損失は1.3億ポンド(約237億円)に上っていた。専門家は、伝統的な食肉業者を含む多くの食品企業がインフレ圧力に苦しむ中、植物代替肉スタートアップは特にリスクにさらされていると指摘した。

一部の消費者は、加工された植物代替肉よりも天然素材を好む傾向がある。BMPA(英国食肉加工協会)は、加工された代用肉は、健康的でバランスの取れた食生活には向かないと考えている。新鮮な食品を食べることが健康的であり、消費者が植物代替肉に懸念を抱いていることに気づけば、それを買うことはなくなるだろうと述べている。

ただ、一部の専門家は市場の将来に楽観的な見方をしており、研究開発や設備への資金援助が増えることを期待している。イギリスの植物代替肉市場は2022年に初めて売上が減少したが、EFSA(は依然として楽観的な見方をしている。イギリスは植物代替肉市場でドイツに次いで2位であり、成人の半数近くが動物性食品の摂取を控えることを表明しており、市場成長の余地はまだある。

via Farmers Guadian

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