Google、機械学習プラットフォーム「Vertex AI」の次なる展開を披露〜Google Cloud Next 2023から

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Image credit: Google

今や AI は Google で中枢を担っている。8月29日に開催されたイベント「Google Cloud Next」では、同社はジェネレーティブ AI の力を活用した一連のアップデートを発表した。

開発者向けツールと基盤モデルの両方を含む、Google の「Vertex AI」プラットフォーム全体の機能強化と新機能が前面に押し出されている。

5月のカンファレンス「Google I/O」で初めて発表された Google の大規模言語モデル(LLM)「PaLM 2」は、対応言語の拡大とトークン長の延長により、さらに進化している。コード生成 LLM「Codey」と画像生成 LLM「Imagen」も、パフォーマンスと品質を向上させるアップデートが行われている。

Vertex AI は、開発者がデータソースに接続しやすくするための新しい拡張機能で拡張されている。Google は「Vertex AI Search」と「Vertex AI Conversation」の両サービスを一般公開し、Googleの企業ユーザーに検索とチャットボットの機能を提供する。

Google の Vertex AI アップデートを締めくくるのは、データサイエンスノートブックプラットフォームにコンプライアンスとセキュリティ機能を提供するサービス「Colab Enterprise」だ。

PaLM がトークン長を拡大してオープン化

Google Cloud Next に先立ち行われた記者会見で、Google のクラウド AI および産業ソリューション担当副社長 June Yang 氏は、Vertex AI 関連のアップデートについて詳しく説明した。

AI は、基盤モデルの台頭によって大きな転換期を迎えています。今では、ML(機械学習)の専門知識がなくても、さまざまなユースケースにこれらの基盤モデルを活用することができます。これは、特に企業にとって、AI を大きく変えるものです。(Yang 氏)

June Yang 氏

Google は独自の基盤モデルを構築し、Google Cloud 上で実行可能な数多くのサードパーティ製モデルのサポートも提供している。Google のフラッグシップモデルは PaLM 2 で、さまざまな構成で利用できる。そのひとつがテキストモデルで、入力トークンの長さのコンテキストウィンドウを拡大することで強化されている。4,000トークンから32,000トークンに拡張された PaLM 2 のコンテキストウィンドウにより、テキストユーザは以前よりも長い形式の文書を処理できるようになる。

また、PaLM 2 の言語サポートも拡大され、アラビア語、中国語、日本語、ドイツ語、スペイン語を含む38カ国語に対応している。

コード開発と画像生成が強化される

Codey の text-to-code LLM は、アップデートを受けたもう一つの基盤モデルであり、Google によればコード生成の品質を最大25%向上させるものである。

GitLab のようなパートナーは、私たちの Codey 基盤モデルを活用し、コードの予測と完了、テストケースの生成、コードの説明、その他多くのユースケースによって、開発者がフローにとどまることを支援しています。(Yang 氏)

Imagen の text-to-image LLM もアップグレードされる。大きな新機能は Yang 氏が今まで見た中で最もクールだと言っていたもので、Google がスタイルチューニングと呼んでいるものだ。

当社の顧客は、わずか10枚の参考画像で、特定のブランドガイドラインやその他のクリエイティブニーズに沿った画像を作成できるようになりました。(Yang 氏)

たとえば、スタイルチューニングを使えば Imagen のユーザは、新しく生成された画像にも、既存の画像にも、企業のガイドラインを適用することができ、その結果、Imagen の画像には適切なスタイルが組み込まれると Yang 氏は言う。

Llama 2 が Google の基盤モデルのラインナップに加わる

PaLM 2は Google のフラッグシップ基盤モデルだが、同社はサードパーティのLLMアクセスもGoogle Cloud上で提供している。複数の基盤モデルをサポートする能力は、クラウドプロバイダーにとってますます重要な要素になってきている。例えば Amazonは、 Bedrock サービスで複数のサードパーティモデルをサポートしている。

Googleが新たにサポートするサードパーティーモデルの中には、7月にリリースされたばかりの Meta の Llama 2 がある。Yan g氏によると、Googleはユーザが人間によるフィードバックを伴う強化学習(RLHF)を使用できるようにすることで、企業は、より適切で正確な結果を得るために、自社の企業データで Llama 2 をさらに訓練できるようになるという。

また、Googleは Anthropic のモデル「Claude 2」TII の「Falcon」 をサポートすることを約束している。

Vertex AI の拡張

基盤モデル単体でも興味深いが、企業がそれを自社のデータと結びつけてアクションを起こせるようになると、もっともっと面白くなる。そこで、新しい Vertex AI Extensions のツールが適している。

Yang氏 は、開発者はエクステンションを使用して、デジタルアシスタント、カスタマイズされた検索エンジン、自動化されたワークフローなどの強力なジェネレーティブ AI アプリケーションを構築できると述べた。

Vertex AI Extensions は、完全に管理された開発者ツールのセットであり、APIを 介してモデルを実世界のデータに接続し、モデルが実世界のアクションを実行できるようにします。(Yang 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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