世界を旅するデジタルノマドに照準、3大陸45カ国以上で〝中期賃貸〟展開する「Habyt」が63億円を調達

観光客は Booking.com や Airbnb で部屋を予約するが、オフサイトで仕事をしたいデジタルノマドの場合、どこで宿泊先を見つけるのだろうか？

仕事とレジャーを両立させるデジタルノマドは、多くの人が夢見る働き方だ。しかし、デジタルノマドは6〜9ヶ月間都市に滞在するため、この期間の宿泊施設は市場で満たされていない需要となっている。

デジタルノマドのペインポイントを狙ったプラットフォーム「Habyt」は、ワンストップの中期賃貸サービスを提供している。同社は最近4,000万ユーロ（約63億円）を調達し、北米、ヨーロッパ、アジアで最大の賃貸会社となった。

賃貸市場の需給ギャップに着目、中期宿泊施設の「スイートスポット」を見つける

Habyt の創業者 Luca Bovone 氏は、仕事の関係でさまざまな都市を訪れ、数カ月間滞在することが多かったが、経験の浅い人々にとって、さまざまな言語で家主とコミュニケーションをとり、関連書類にサインし、ニーズに合った宿泊先を見つけるのは難しいことだと感じていた。

Habyt のチームは、エージェントを通さずに物件を借りることができるデジタルで標準化されたサービスを提供し、物件を借りるプロセスをシンプルかつ迅速にすると同時に、中期賃貸の供給ギャップを埋めたいと考えた。

中期賃貸とは数週間から数ヶ月の賃貸のことで、Habyt がターゲットとしているのは、6〜9ヶ月間都市に滞在することが多いデジタルノマドの層だ。ホテルや B&B に宿泊すると日数に応じて課金され、他方、賃貸市場に目を向けると、家主は1年以上その都市に滞在する安定したテナントを探す傾向がある。したがって、デジタルノマドが宿泊先を見つけるのは難しい。

そこで Habyt は、Bovone 氏が「中期宿泊施設のスイートスポット」と呼ぶ、短期滞在の旅行者に数ヶ月間借りられる中期賃貸を提供することで、短期賃貸と長期賃貸の間のギャップを埋めたいと考えている。

賃貸プロセスをオンラインで完結、3大陸で最大の賃貸会社に

予約プラットフォームはすでに混雑しており、ほとんどの企業がすでに地位を確立している。

Bovone 氏にとって、事業の高さを決めるのは起業家の野心である

起業家は最初から国際的な野心を持ち、そのための基盤を組織内に構築する必要があると思います。（Bovone 氏）

Bovone 氏は、当初から国際的なチームを作りたかったので、適切な不動産パートナーや物件を見つけるべく、大陸から大陸へと渡り歩いた。

長年の努力の末、Habyt は現在50カ国以上で400人の従業員を抱え、ホテルや物件と提携して多くの物件を獲得している。2023年1月、Habyt と北米最大の賃貸会社 Common は合併し、Habyt Group を設立すると発表した。Habyt Group は、ヨーロッパ、アジア、北米で最大の賃貸会社となり、3大陸の14カ国、45都市以上でサービスを提供する。

Habyt は、家主と協力し、長期賃貸や管理契約を通じて物件を取得する。Habytのシステムは、空室状況と現在の市場需要に直接基づいて、宿泊施設の価格を自動的に調整し、旅行者に貸し出す。また、プラットフォーム上でバーチャル内覧を提供し、すべての契約、書類、本人確認をオンラインで行うことができます。

4,000万ユーロを調達、賃貸市場を楽観視

Habyt は2023年10月、シリーズ C ラウンドで4,000万ユーロ（約63億円）を調達したと発表した。

投資家の Giuseppe Donvito 氏は、次のように語った。

世界的な住宅難に直面する中、Habyt は若者のニーズを満たす新たなソリューションを提供します。この需要は高まっており、今後も伸び続けると予想されます。

現在、Habyt は3大陸で市場を拡大しており、カナダ、ドイツ、フランス、オーストリアで新市場を開拓し、東南アジアの近隣諸国にも進出している。今後、Habyt は製品の品質と市場の拡大を目指していく。また今年、Habyt はベルリンに初のホテル「The Waterfront」をオープンし短期滞在市場に参入したが、オープンから数日で満室となった。