Googleの新AIツール「MusicFX」はたった数単語で音楽を作曲する

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Image Credit : ChatGPT made by BRIDGE

Googleがまたやってくれた。検索大手のGoogleは13日、MusicFXを開始した。MusicFXは、ユーザーがAIを使って独自の音楽を生成できる画期的な実験ツールである。このイノベーションは、GoogleのMusicLMとDeepMindの電子透かし技術SynthIDを使用して、出力にユニークなデジタル透かしを作成し、創作の信憑性とソースを保証する。

MusicFXはミュージシャン、プロデューサー、愛好家が音楽を試したり作曲するための新たな可能性を開くもので、AI領域における重要なマイルストーンとなる。しかし、このツールには重要な制限がある。オリジナルのアーティストの声やスタイルを保護する動きとして、特定のアーティストに言及したり、ボーカルを含む特定のクエリに対しては音楽を生成しない。

Image credit:labs.google

このサービスは、Googleが最新のAI技術を一般の人々にいち早く体験してもらうために設けたプラットフォーム「AI Test Kitchen」の一部として提供される。目的は、人々が早期にフィードバックを提供できる環境をつくり、Googleが責任を持って包括的にAI技術を進歩させられるようにすることだ。

米国、ケニア、ニュージーランド、オーストラリアの人々は、テキストを入力してアイデアを音楽やテキストに変換できるTextFXと並んで、MusicFXを使用できる。生成AI技術を紹介する一方、Googleは不正確な回答や、不適切な回答の可能性などの課題を認めている。このようなリスクを軽減するために、Googleは何重もの保護策を講じている。

イノベーションへの責任あるアプローチ

GoogleのAI原則に従い、同社は責任あるAI開発の重要性を強調している。この協力的なアプローチは、倫理基準を守りながら技術を洗練させることを目的としている。

プライバシーに関しては、GoogleはMusicFXとのインタラクション中に収集されたデータがユーザーのGoogleアカウントにリンクされず、匿名で保存されることを保証している。人間のレビュアーは、分析とモデル改良の目的でデータにアクセスすることが可能だ。ユーザーはツールを使用している間、データを削除することができるが、セッションが終了すると、データは個人を特定できず、削除不可となり、最大18カ月間保持される。

MusicFXの意味

MusicFXのリリースは、単に音楽生成のための新しいツールを提供するだけではなく、AIの構築と改良における一般ユーザーの役割がますます重要になるという、AIにおけるより広範な傾向を表している。初期段階からユーザーを巻き込むことで、Googleは技術を向上させるだけでなく、潜在的な倫理的懸念にも積極的に対処している。

一方でMusicFXの導入は、音楽制作の民主化によって音楽業界を混乱させる可能性がある。MusicFXの導入は音楽教育を受けていない人や、高度な制作ツールを利用できない人の参入障壁を低くする。

しかし、この革命には課題がないわけではない。AIが生成するコンテンツの著作権、所有権、音楽のオリジナリティへの影響はまだ完全に理解されていない。Googleが電子透かし技術の採用を決めたことは、こうした問題に対する意識の高さを示唆している。それでも、テクノロジーが進化するにつれて、それを取り巻く議論や規制も進化していくだろう。

次に来るもの

Googleが一般ユーザーの意見を取り入れながらMusicFXの改良を続けているように、AIテストキッチンは将来のAI開発のモデルとなりそうだ。このアプローチは、テクノロジーが社会の価値観や規範と手を携えて進歩する、責任あるAIの新時代への道を開くかもしれない。

AIと人間の創造性の融合を試みながら、ユーザーがこの新しい音楽の世界へ第一歩を踏み出すのを世界は今、見守っている。MusicFXは、AI主導のイノベーションの交響曲の最初の音符になるかもしれない。MusicFXやその他のGoogle Labsの実験は、labs.googleにアクセスするか、ここをクリックすれば今すぐ試すことができる。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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