SlackやGoogle Driveのデータに接続、企業が会話型AI構築を支援する「Cohere」

SHARE:

12月12日、OpenAIの競合であるCohereは企業向けの大規模言語モデル(LLM)に焦点を当て、企業がSlackやGoogle Drive、Service NowやWordPressのようなサードパーティのアプリケーションにある企業データをCohereのCommand LLMに安全に接続できるようにするための「Build-your-ownコネクタ」のサービスを発表した。

同社の担当者は、「我々が知る限りでは」この種のサービスは初めてであり、Cohereが最近「4つのクラウドプロバイダーすべてにわたってファイン・チューニングを提供する最初で唯一のAI企業」になったことに続く発表だと伝えている。Cohereのブログによると、このオープンβリリースにより、企業はCohereのアップグレードされたAIプラットフォーム上でAIアシスタントを構築することが可能になり、日常業務で使用される数百のツールから情報を活用し、コンテキストにあった正確な応答を提供する。

企業モデルによる企業データへの安全なアクセスを可能にする

Cohereのシニア・プロダクト・マネージャーで、このプロジェクトのリーダーを務めたRoy Eldar(ロイ・エルダー)氏は、VentureBeatに以下のように語った。

エンタープライズ・モデルが、何十ものサードパーティ・アプリケーションにまたがる企業データに安全にアクセスできるようにすることは、AIが企業に提供できるものを大きく変えるでしょう

どのクラウドやサードパーティーのアプリケーションを使用しているかにかかわらず、データがある場所で企業と接点を持つという、Cohereの次のステップに繋がるものだ。企業は自社のクラウド内で安全に、データをモデルにプラグインすることができ、検索拡張世代(RAG)を使用して、回答がどこから来たかを正確に確認し、回答の精度を向上させ、幻覚を最小限に抑えることができるとCohereはブログに記載している。

ブログの中でCohereは、アップグレードされたCommandフレームワークにより、企業は検索APIを提供するサードパーティのデータをRAGに接続することができると説明している。これは重要なアップグレードであり、AIが生成した回答の隣に引用した文献を表示することで、ユーザーはソースリンクをクリックし、検証や追加コンテキストのためにオリジナルのドキュメントを読むことができる。

Cohereが会話型AIに「劇的な改善」をもたらす

企業のユースケースにおけるRAGのシームレスな連携と、Cohereを介してのサードパーティデータ活用は、企業にとっての会話型AIソリューションの有用性を飛躍的に向上させるとブログで伝えている。社内の開発者を支援するため、Cohereは、GitHub、Asana、Slack、Dropbox、Google Drive、Pineconeなど、企業がデータを保存する最も人気のあるアプリケーションのための約100の「クイックスタート・コネクター」をGithubで公開しているという。さらに同社は、その他のサードパーティ製データストアにも完全なサポートを提供できると述べる。

コネクターの発表がCohereにとって大きな1年となる

トロントを拠点とするCohereにとって、このコネクターの発表は非常に大きな1年の終わりにふさわしいだろう。

11月にOpenAIのCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏が同社の非営利理事会から解雇され、5日後に復職するというドラマが起きた後、Cohereの元には企業からの問い合わせが増えたとCNBCは報じている。その頃、Cohereの共同設立者でCEOであるAidan Gomez(エイダン・ゴメス)氏は、技術スタッフの機械学習メンバーを募集する同社の採用ページへのリンクをXに投稿していた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する