日本からも出展者・登壇者が多数、10回目を迎えた台湾最大級のスタートアップイベント「Meet Taipei」が開幕

Photo by Ling-Wai Tsang(曾令懷)

Meet Taipei(創新創業嘉年華)は、2014年に Business Next(数位時代)によって開始され、毎年数百社に上る台湾内外のスタートアップが参加している。このイベントは、台湾のスタートアップエコシステムが砂漠から熱帯雨林に移行する過程を目撃してきただけでなく、Meet Taipei を通じて台湾の市場を探索し、人材を探す海外のスタートアップを引き付けてきた。

今年で10周年を迎える Meet Taipei のテーマは「The Future of the Future(未来的未来)」で、出展するスタートアップ400社や、スタートアップメディア「Meet(創業小衆)」が毎年選出する「Neo Star」を通じて未来を展望し、国際交流を通じて台湾のスタートアップエコシステムと世界とのつながりを強化したいと考えている。

台湾のサステナブルな変革を促すべく、国内外のスタートアップ資源を連携

Meet Taipei には、4年連続で台湾副総統の Ching-te Lai(頼清徳)氏が出席している。Lai 氏は Meet Taipei が過去10年間で築き上げた国際的な評価と影響力を認め、100近い国際チームが会議に参加するために台湾に来ることを希望したことは、台湾のエコシステムが健全で魅力的であることを証明しており、台湾の発展のために、より多くの国際的なベンチャーキャピタルとスタートアップの人材を採用するために、今後の政策が継続的に推進され、洗練されていくことを示唆した。

4年連続で出席した台湾副総統の Ching-te Lai(頼清徳)氏
Photo by Ling-Wai Tsang(曾令懷)

Lai 氏は、起業家らで構成されたバンドによるライブパフォーマンスで、「憨人」という曲がスタートアップ精神とどんなに困難でも前進する必要性を、「向前走」という曲の歌詞が、台湾のスタートアップのエコシステムにとって台北が重要であることを強調し、「台北は夢を追い求める場所です」と語った。

Photo by Ling-Wai Tsang(曾令懷)

台北市長の Chiang Wan-an(蔣万安)氏は、台北市は台湾のイノベーション産業を牽引する機関車であり、台北市を起業家に優しい都市にすること、AI を活用したスマートシティにすること、という2つの大きな目標があると語った。

日本の福岡市長とお会いした際、起業家精神について多くのことを話し合いました。福岡と台北のスタートアップが互いのリソースを利用して成長し、繁栄できるよう、「どこでも起業家パスポート(仮訳、原文:創業家任意通護照)」を立ち上げたいと考えています。

台北市長の Wan-an Chiang(蔣万安)氏
Photo by Ling-Wai Tsang(曾令懷)

Business Next 名誉発行人 Feipeng He(何飛鵬)氏は、今回の Meet Taipei にはスタートアップ400社が参加したと述べ、近年台湾のスタートアップは Gogoro(睿能)、17LIVE、KKCompany(科科科技集団) など IPO ブームが起きており、台湾のスタートアップが堅実に発展していることを示唆した。

Business Next 名誉発行人 Feipeng He(何飛鵬)氏
Photo by Ling-Wai Tsang(曾令懷)

日本台湾交流協会台北事務所副代表の服部崇氏も会場に駆けつけ、日本政府は2022年に5カ年の「新機軸創造計画」を打ち出した後、デジタルトランスフォーメーションと持続可能なトランスフォーメーションという2つの軸をターゲットに、台湾のスタートアップとの交流を強化していくと強調した。台日の交流、特に JETRO や Garage+ などの組織の存在により、スタートアップ間の交流がより活発化している。

スタートアップのエネルギーを集め、国際社会とつなぎ、台北の未来を探求

10年を経て、Meet Taipei は台湾からアジア最大のイノベーションカンファレンスに成長し、スタートアップ400社以上、エンタープライズ31社、国家発展委員会、デジタル産業署、中小企業署、香港証券取引所(SEHK)などの政府機関が集結した。

イノベーションと起業のアジア最大の国際展示会として、コロナ明けで初めての回となる今年は、海外からの出展スタートアップが約100社に達した。

展示会初日に開催されたフォーラム「イノベーションと起業のトレンド(創新創業趨勢論壇)」と「イノベーションと企業のテーマ(創新創業主題論壇)」も、過去数年で最も国際化され、500 Global 共同創設者 Christine Tsai(蔡李成美)氏、Silicon Valley Ventures 創業者で CEO 森若幸次郎氏、Cool Japan Fund ディレクター 澤谷賢一氏、韓国キョンサンナムト(慶尚南道)ベンチャー投資のディレクター Ahram Chui 氏、東南アジア市場に精通する Ondine Capital(活水資本)創業パートナー Yen-An Cho(卓彥安)氏らが参加し、台湾を中心とした第一列島線各国のイノベーションに関する議論がなされた。地政学的な混乱が続き、経済状況がまだ回復していない中、登壇者は台湾の可能性と将来展望に期待を示した。

数ある国際交流の中でも、日本市場は近年、台湾のスタートアップにとって注目の的であり、今年の Meet Taipei でも、日本のスタートアップ と SMBC 日興証券を招き、12月1日に「台日交流フォーラム」を開催するなど、日本での発展のためのリソースを提供し、スタートアップが日本との交流を深められるよう支援している。

Meet Taipei は、スタートアップの主要プレーヤーにとって重要な場として、今年は AI とデータインテリジェンス、グリーン・サステイナビリティ、IoT ハードウェアとソフトウェアの連携、モバイルネットワークアプリケーション、デジタルコンテンツとエクスペリエンステクノロジー、ブロックチェーンと Web3、5Gとクラウドソリューション、マーテックとニューリテール、ヘルステック、フィンテック、ニュービジネスとイノベーション、プロフェッショナルサービスなど12のカテゴリにスタートアップ400社以上が出展した。

12月1日には、台湾のスタートアップシーンで最も象徴的な年次イベント「Meet Neo Star デモデイ」が開催される。Meet Neo Star は、過去2年間に取材したスタートアップ250社の中から、Business Next と Meet が推薦したもので、国内外の審査員約20人に、将来を見据えた技術、革新的な製品、国際的な発展の可能性で審査してもらう。

例えば、アメリカで展開する中国人市場に特化した AI 英会話練習アプリ「Toko」、フランスで持続可能な食器を推進する renouvo(鉅田潔浄技術)、オーストラリアで起業しフォーブスの「30 under 30」に選ばれたコンテンツ管理ツール「Storipress」などは、すでに海外市場で成果を上げており、台湾のスタートアップがすでに国際的な力をつけていることを示している。廃棄物を経済的な材料に変える技術を持つ Longshun(隆順緑能)や、廃棄物リサイクルの仕組みに注目した ECOCO(凡立橙)は、持続可能性の問題に目を向けた先進的なアプリケーションである。

12月2日に開催された持続可能なイノベーション講演会「持続可能な方程式:新しいビジネスモデル×新しい生活」もイノベーションから未来を探求する Meet Taipei の精神を引き継いでおり、マクドナルド、圓山大飯店、和平島地質公園など8社を招待しスタートアップと対話する。また、今年設立された台湾カーボンクレジット取引所(臺灣碳權交易所)は、台湾企業が国際的な持続可能性基準に適応するのを支援する方法を共有する。

資本の冬と地政学的な混乱する中で、スタートアップは常に回復力と絶え間ない創造性を発揮し、新常態の世界で異なる可能性を創造しようとしている。国内外のスタートアップ、企業、VC、アクセラレータが一堂に会する Meet Taipei は、これからの3日間、さらに多くのイノベーションの火花をもたらすだろう。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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