OpenAIが支援するロボ開発「1X Technologies」シリーズBで1億ドル調達

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1X Technologiesウェブサイトより

ノルウェーのロボット開発を手掛ける1X Technologiesは11日、OpenAIを含む複数の大手企業からの支援を受け、シリーズBラウンドで1億ドルの資金を調達した。VentureBeatなど複数のテックメディアが報じている。このラウンドはスウェーデンを拠点とするEQT Venturesがリードし、Samsung NEXT、Nistad Group、および既存の投資家であるSandwaterとSkagerak Capitalも参加した。1X Technologiesは、この資金を使用して既存顧客のサポートおよび新たな二足歩行アンドロイド「NEO」を市場に導入する計画だ。

1X Technologiesとは

1X TechnologiesはBernt Øivind Børnich(ベルント・オイヴィン・ボルニッチ)氏によって2014年に設立されたスタートアップ。労働集約的な作業に特化した汎用ロボットを製造するHalodi Roboticsとしてスタートし、柔軟で有機的な動きを再現する高トルク駆動サーボモーターなどの技術を長年にわたり開発してきた。2022年にはOpenAIとの提携により、同社はAIモデルを用いてロボットにインテリジェンスを付加することに成功した。特に注目されるのは、企業向けの車輪付きロボット「Eve」で、非構造化および構造化された環境で機器の移動やドアの開閉などを行いながらタスクを実行する能力を持っている。これらのロボットは、ノルウェーのスタジオで実世界のタスクを学習している。

今回の調達の前回ラウンドとなるシリーズA2の資金調達ラウンドでは、OpenAIのスタートアップ・ファンドが主導し、Tigar Globalと、Sandwater、Alliance Ventures、Skagerak Capitalを含むノルウェーを拠点とする投資家のコンソーシアムが参加して、2,350万ドルを調達している。

消費者市場向け「Neo」の開発

1X Technologiesは、家事をサポートする二足歩行ヒューマノイド「Neo」も開発している。これは、掃除や整理整頓などの日常的な家庭内作業を支援することを目的として設計されている。今回の調達を伝えているThe Robot ReportにてBørnich氏がインタビューに答えており、同社の最新開発モデルであるNEOは平均身長167cm、体重30kgで、最大75kgまで持ち上げることができるという。

NEOは他のヒューマノイドロボットと異なり、軽く、柔らかく、本質的に安全で、ピンチポイントやその他の危険性がない。様々な環境で人間と安全に共存できるアンドロイドを作るというのが1Xの設計思想なのだそうだ。なお、EveもNeoもデフォルトでは自律的に動作するが、1Xは、特定のタスクに対応できない場合や危険地帯に突入した場合に備えてロボットを遠隔操作するオプションも残している。

現在、1X Technologiesは商業ベースのアンドロイドを製造しており、VentureBeatの記事によると、Sunnass HospitalとEveronなど限られた顧客が、商業ビルの夜間警備用に約250体のアンドロイドを導入しているとのことだ。今回の資金調達により、同社の総調達額は約1億3,700万ドルに達したことになる。

ライバルたち

Milan Kovac氏のXより

なお、ヒューマノイドロボットについては長らくBoston Dynamicsが手掛けてきたが、ここ数年はSpaceXによるオプティマスの開発も注目を集めている。

2023年の急速な進歩 テスラのエンジニア、Milan Kovac氏は、2023年のオプティマスの目覚ましい進歩について年始にXへ投稿している。ロボットはプロトタイプであるBumblebee/ceeから、オプティマスGen-1として知られる、より安定したテスラ設計のプラットフォームへと移行した。このバージョンは、より人間に近い歩行と強化された安定性により、改善された運動能力を披露しており、さらにTeslaは、ロボットが人間の行うタスクを模倣するAIトレーニング用に、低レイテンシーで忠実度の高い遠隔操作システムを開発しのだそうだ。

最新バージョンのOptimus Gen 2は、スピード、精度、器用さが向上している。Teslaが設計したアクチュエーターとセンサーにより30%速く歩くことができるようになった。大きな改良点は、ロボットの重量が10kg軽量化され、敏捷性と精度が向上したことだ。Gen 2バージョンはより高速なアクチュエーター、すべての指に触覚センサーを備えた新しいハンドを装備しており、物体をより器用に操作することができる。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、オプティマスの重要性を強調し、長期的にはテスラの自動車事業よりも重要になる可能性があるとも述べている。

via VentureBeat

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