「Apple Vision Pro」は、これまで約1年間にわたり話題に上ったのを経て、いよいよ2月に発売される。CES テーマディレクター Brian Comiskey 氏は、次のように述べた。

Vision Pro の発売は、一般消費者の生活における VR／AR 製品の人気を変える可能性があり、そのユーザ体験は VR 市場に影響を与え、AR／VR 市場にとって大きなターニングポイントになるだろう。

VR には無限の可能性があり、旅行はそんな VR の数あるアプリケーションのひとつだ。静止画よりもリアルに感じられる没入体験によって、人々は家から出ることなく休暇を楽しむことができるのだろうか? 少なくとも VResorts は、VR 体験を通じて、ホテル・宿泊業界が、率先して旅行者に宿泊環境を事前に知ってもらう試みができると考えている。

VResorts は、ホテル経営者向けの VR 映像を制作するスタートアップだ。同社は2018年、VR への事業展開を開始した。Vision Pro の登場で注目されたことで、VResorts 創業者 Vladimir Varnavskii 氏は、より多くの旅行・宿泊業界のプレーヤーと協力する機会を活用する機は熟していると考えている。

没入型 VR 体験で宿泊客の滞在意欲を高める

アフターコロナにおいて、人々はより頻繁に、より長期間旅行するようになり、それぞれの旅行体験に対する期待が高まっている。ホテル経営者は、宿泊客の信頼から始め、感情的につながり、宿泊に関する意思決定の効率を向上させたいと考えている。

部屋を予約する前に VR を使って環境を体験することは、誰かに案内してもらうようなものだ。（Varnavskii 氏）

Varnavskii 氏は、これまで宿泊客は複数のオンライン写真やレビューを閲覧して部屋を決めるしかなかったが、現在は予約前に VR で環境を体験することができ、静止画では不可能だった遠近感や臨場感を補うことができると述べた。

宿泊客は VR デバイスを web サイトに接続するだけで、移動時間や場所に応じて VResorts が提携するホテルを閲覧し、環境、価格、予約などを確認することができる。さらに便利なのは、体験後、VR デバイス上で直接、支払と予約ができることだ。VR デバイスを持っていない場合は、VResorts の web サイトや YouTube チャンネルで動画を閲覧することもできる。

VResorts はパートナーのホテルやリゾートと共同で VR 動画を制作している。360°カメラを使って客室、会議場、公共施設、ロビーなどの環境をパノラマ撮影し、完成した VR 動画は VResorts の web サイトにアップロードされ、宿泊客は自宅で自分の VR デバイスを使って見ることができる。このようなナビゲーションは、宿泊客だけでなく、会議や披露宴、展示会などをフォーマルの機会で利用する場合にも有効であり、web サイト上で写真を見比べて会場の広さを推測するのに比べ、より現実的で実用的である。

トレンドの台頭とともに、VR の応用範囲は今後拡大する

VResorts は2018年に設立され、2019年には AI の緩やかな台頭もあり、国際観光団体 TEZ Tour やドイツ・ベルリンのトラベルフェア「ITB」、香港の「Wedding Expo」など各国の展示会に登場するようになった。また、VResorts はタイのプーケットリゾートホテル向けに制作した VR ツアー動画を展示した。

VResorts が協力したタイのリゾートホテルからも、「VResorts の VR 動画は、海外投資家を訪問する際に見せるのに適している。VR デバイスを持参するだけで、投資家や顧客にホテルのすべての施設や客室タイプを、ホテルのサンプルを持ち歩くように簡単に見せることができるからだ」と好意的なフィードバックがあった。

Varnavskii 氏は、The Vergeとのインタビューで、VR 関連産業の今後の発展について、VR アプリケーションは今後ますます普及するだろうとの見解を示し、一般の人々の生活に変化をもたらした Apple Vision Pro の発売とは別に、VR が今後エンターテイメントや教育の主流となり、私たちの生活を変える可能性は大いにあると述べた。

【via Meet Global by Business Next（数位時代） 】 @meet_startup

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