先週発表された Meta の強力なオープンソース AI モデル「Llama 3」に続き、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が設立・経営に携わる Meta は22日、業界を震撼させる新たな発表を行った。最新の Meta Quest 3を含む Meta Quest のヘッドセットラインを駆動するオペレーティングシステム(OS)「Horizon」は、サードパーティ企業にもハードウェアの構築を開放される。
正確なライセンス条件はまだ Meta から公開されていないが、同社はブログの投稿で「Meta Quest デバイスを駆動する OS をサードパーティのハードウェアメーカーに開放し、消費者にはより多くの選択肢を、開発者にはより大きなエコシステムを提供する」と述べている。
Zuckerberg 氏 は自身のインスタグラムにこのニュースを投稿し、消費者が特定のアプリストアを通さずに PC ハードウェアに様々な OS やプログラムをインストールできた「PC 時代」になぞらえ、Apple がモバイルソフトウェア iOS を厳しく管理していることをその対極にある「クローズドモデル」だと指摘した。しかし彼は、Horizon OS が完全に「オープンソース」になるとは明言しなかった。
その代わりに Meta は、Meta Horizons OS を「オープン化」し、Asus、Lenovo、Microsoft といった数社のハードウェアパートナーを選び、それを使って新しいバーチャルリアリティ/複合現実(VR/XR)ハードウェアを設計してもらうと位置づけている。すでに新ハードウェアの開発が進んでいるとされる最初の3社は以下の通りだ。
ASUS
ASUS は、没入型ゲーム体験への革新的なアプローチで、新しい高性能ゲーミングヘッドセットを開発中とされている。
Lenovo
過去に Oculus Rift S ハードウェアを製造した経験と、ThinkPad シリーズのようなトップクラスのデバイスを設計する専門知識を活かして、生産性、学習、エンターテイメントを強化するために設計された複合現実デバイスを開発すると言われている。
Microsoft
昨年、Xbox Cloud Gaming と Meta Quest を統合するために協力したのに続き、Meta と Microsoft の Xbox 部門は、Xbox のゲーム体験と Meta の複合現実プラットフォームを融合させる幅広い取り組みの一環として、Xbox にインスパイアされた特別版の Meta Quest ヘッドセットで協力する。
これらの新しいプロジェクトについては、まだ多くの詳細が発表されていない。私たちが今持っているのは、ほんのわずかな概要と、Meta のウェブサイトに「実際の製品レンダリングではありません」と大きく記されている空想上のイラストだけだ。
それでもなお、技術関係者や VR/XR デザイナー、インフルエンサーたちがこのニュースに興奮して歓声を上げるのを止めることはない。
Big news! Meta has just announced that they're opening up Meta Horizon OS, the operating system powering Quest, to allow others to design more headsets using their ecosystem. Lenovo, Microsoft, and ASUS are among Meta's initial partners. This move could spark a new wave of… pic.twitter.com/xu6A0LfcZX
— Nathie (@NathieVR) April 22, 2024
Llama3による AI だけでなく、VR/XR や、Facebook から改名して物議を醸した「メタバース」においても、「オープン性」と選択肢の砦として自らを位置づけ直すという、Meta の興味深い取り組みだ。
Google は数年前、携帯電話搭載の安価な VR ヘッドセット向けに Google の Cardboard デザインで似たようなことを試みたが、完全なプログラマブル OS を提供するものではなく、ノベルティ/パーティー用以外の大きな意味での普及には失敗した(10年近く前に働いていた頃、私と VentureBeat の同僚 Michael F. Nuñez 氏が主催した Popular Science のパーティーでは、デッキにいくつか用意されていた)。
いずれにせよ、昨年は VR/XR ヘッドセットの売上が減少し、Apple の Vision Pro などとの競争が激化している。また、同社の仮想空間創造プラットフォーム「Horizon Worlds」は、現在までのところ、さまざまな仮想空間において数十人から数百人のユーザしかいない「ゴーストタウン」であるとの報道もある。Meta がこのソフトウェアを成功させ、メインストリームのプラットフォームにするつもりなら、ソフトウェアを提供するデバイスの数を増やすという動きは非常に理にかなっている。
Meta Horizon OS のライセンス条件と計画について、Meta に問い合わせ中だ。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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