トロント生まれのAI検索エンジン「Upend」が登場、使えるLLMの多さや割安料金で先行の「Perplexity」を圧倒

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Image credit: Upend

Google や Microsoft が生成的な AI モデルで検索エンジンを刷新し続ける中、中小企業が AI ファーストの製品で対抗しようとしている。

その一例、Upend はカナダのスタートアップで、最高の大規模言語モデル(LLM)によって学生や専門家に AI 検索を提供する。

Upend は、トロント大学スクールズ(トロント大学と提携している独立した中等学校)の Jeevan Arora 氏による夏のプロジェクトとしてスタートした。好意的な初期反応の後、彼はこれを企業チームがサインアップできる本格的なプラットフォームへと進化させた。これは、AI 検索(月間クエリ数1億6,900万件)で現在この分野をリードしていると多くの人が信じている Perplexity によく似ている。

私の目標は、高度な AI モデルをより手頃な価格にすることで、アクセスを民主化し、誰もが明日のツールを利用できるようにすることです。(Arora 氏)

Upend の特徴は?

Upend の核心は、ユーザが提供されているオプションから任意の LLM を選択し、仕事や日常生活に関する質問をすることができる生成 AI 検索バーを提供することだ。このモデルは、クエリを使用し、web 検索または選択したソースを組み合わせて、根拠のある答えを提供する。

「Upend AI プラットフォーム」
Image credit: Upend

Upend は明らかに初期段階の製品のように見えるが、全体は Perplexity と非常によく似ている。

Perplexity は、AI 画像検索やデータ保持コントロールなど、より包括的な機能を提供している。

しかし、Upend はより多くのモデルから選択できることで差別化を図っている。Perplexity が主流の LLM を5つほどから選べるのとは異なり、Upend は100のパッケージを用意している。

これには、OpenAI、Claude、Mistral の汎用モデルから、Meta の「Code Llama」や「Deepseek Coder」のようなタスクに特化したものまで、大小すべてのクローズドオープンモデルが含まれる。新プラットフォームでは、Perplexity にはない、ウィキペディアをベースとした回答も選択できる。

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Arora 氏は VentureBeat の取材に対し、次のように語った。

我々は現在、Word や Excel のような分析のためのより多くのオフィスファイル形式をサポートしています。大きな差別化要因のひとつは、私たちの価格設定に対するアプローチです。私たちは、チーム内のユーザ数に基づいて課金するのではなく、チーム全体の使用量に基づいて課金することで、アクセスを民主化したいと考えています。

現在、この製品のチームプランは月額20米ドルだ。このプランでは、あるトークンの閾値までライブラリ内のすべてのモデルにアクセスできる。それ以降は、使用量に応じて支払う必要がある。月額5米ドルの学生割引プランもある。

一方、Perplexity のコンシューマ向け Pro プランは1シートあたり40米ドル/月または400米ドル/年、ChatGPT Team プランは年間課金で1ユーザあたり25米ドル/月、月次課金で1ユーザあたり30米ドル/月となっている。Upend は、これらのサービスと比較して最大90%のコスト削減が可能であると主張している。

タスクの処理とその他のパイプライン

この製品は非常に新しく、特に UX の面ではまだ多くの問題が残っているが、CEO の Arora 氏は、Upend が最終的には本格的なタスクエンジンとなり、ユーザに回答を提供するだけでなく、タスクも実行できるようになると考えている。

一例として、「PNG 画像を JPG に変換する方法」を検索したユーザは、回答を得るだけでなく、タスクを完了するよう促されるでしょう。(Arora 氏)

当面は、モデル・ライブラリーを充実させ、企業がチーム全体に簡単に導入できるようにするシングルサインオン(SSO)など、必要とされる機能を製品に追加する予定だ。彼は、API とともに Upend のモバイル版の立ち上げを検討している。

とはいえ、Upend や Perplexity のような製品が人気を集めているため、従来の検索市場は打撃を受けることが予想される。Gartner によると、従来の検索エンジンのボリュームは2026年までに25%減少し、検索マーケティングは AI チャットボットやその他のバーチャルエージェントにシェアを奪われるという。

Gartner のバイスプレジデントアナリスト Alan Antin(アラン・アンティン)氏は2月に次のように述べている。

生成 AI ソリューションは、従来型の検索エンジンで実行されていたかもしれないユーザのクエリを置き換える、回答エンジンの代用となりつつあります。これは、生成 AI が企業のあらゆる側面に組み込まれるようになるにつれて、企業がマーケティング・チャネル戦略を再考する必要に迫られるでしょう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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