YCらが支援する22歳の起業家、データ収集を革新する生成AIスプレッドシートを公開——毎分500セルの入力を実現

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Image credit: Paradigm

スプレッドシートは、ドキュメントと並んで、物理的な世界からデジタルへと移行する最も重要なファイルタイプのひとつである。

しかし、Google Sheets と Microsoft Excel 以外に、スプレッドシート・プロバイダの名前を挙げるのは難しい。さらに重要なのは、これらのソフトウェアプログラムはどちらも、生成 AI 以前の時代に発明されたものだということだ。

ペンシルバニア大学を卒業したばかりの22歳 Anna Monaco 氏が設立した、サンフランシスコの有名なアクセラレータ Y Combinator が支援する新しいスタートアップは、生成 AI を使ってすべてのセルを動かすことで、現代のホワイトカラー労働者のためにスプレッドシートを再構築しようとしている。

Fortune の Sharon Goldman 氏(そして、かつて VentureBeat のシニアレポーターだった)によると、Paradigm と名付けられたこの企業は、Y Combinator、Soma Capita、Pioneer Fundのほか、Dropbox の共同創業者 Arash Ferdowsi 氏、LangChain の共同創業者 Harrison Chase 氏、Intercom の創業者 Eoghan McCabe 氏、Diagram の創業者兼 CEO Jordan Singer 氏から(比較的控えめな)200万米ドルのシード資金を調達し、4日にステルス状態から脱した。

すべてのセルは AI になる

Anna Moroco 氏

Paradigm のローンチプロモーション動画では、ユーザ(この場合は Paradigm の潜在的な採用担当者と思われる)が同社のソフトウェアで新しいスプレッドシートを作成し、GitHub で最も生産性の高いエンジニアを探し、その活動順(最も活動的なものから→最も活動的でないもの)にリストアップするよう指示するというシナリオ例を含め、その機能を紹介している。

Fortune によると、Paradigm のソフトウェアは、OpenAI の「GPT-4o」やMetaの「Llama」ファミリーを含むサードパーティが提供する独自実かつオープンソースの生成 AI モデルの上に構築された AI エージェントを使用して、ユーザが望む情報を web から探し出し、それに応じてスプレッドシートのセルに自動的に入力する。

Monaco 氏の X への発表記事によると、「Paradigm は手作業によるデータ収集の1,000倍速く、1分間に平均500セルを完了する」。

動画ではこれをリアルタイムで紹介しており、仮想のユーザが1回クリックするだけで、セルが情報で埋まっていくのがわかる。

その後、ユーザは Paradigm の AI エージェントを使用してスプレッドシートをさらに編集・拡張することができる。クリックして新しい列を追加し、必要な情報のカテゴリーを自然言語で入力する(このケースでは、LinkedIn、Github、Twitter/X などから集めたデータを組み合わせて技術スタックを要約する)。

Image credit: Paradigm

Monaco 氏の X の投稿にあるように、「Paradigm の真のパワーはスケールによってもたらされる」。

動画では、仮想のユーザが自分たちのチームのデータベースをアップロードして、エンジニア候補者を現在のチームと比較し、コネクションを見つける列を追加したり、さらに別の列を追加して、各エンジニアの資格や経験を求人情報の説明と比較し、どの程度マッチしているかを1から10で評価したりする様子が紹介されている。

精度に疑問が残る中でも、初期の利用者は目立つ

これはほんの一例に過ぎず、Paradigm の AI エージェントが、大規模言語モデル(LLM)が時折見せる幻覚や、「strawberry(イチゴ)」という単語の「r」の文字数を数え間違うといったような不正確な計算といった悪名高い問題に関与しないようにするための本当の答えにはならないが、説得力のある一例である。

さらに、Monaco 氏は Fortune に対し、同社にはすでに Google、スタンフォード大学、Bain、McKinsey から数百人の初期ユーザがおり、月額500米ドルから利用できると語った。現在、web サイト「paradigmai.com」のウェイティングリストを通じて新規ユーザを募集している。

企業の意思決定者にとって、この開発は生産性向上ツールの大きな飛躍を意味し、特にコンサルティング、リクルート、営業などデータ操作の多い業界にとっては重要な意味を持つ。反復作業を自動化し、データの正確性を高めることができれば、コスト削減、意思決定の迅速化、人的資源の効率的活用につながる可能性がある。企業は Paradigm の動向を注視し、競争力を維持し、社内業務を改善するために、このような AI 搭載ツールの連携を検討すべきである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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