お弁当やケータリングの宅配サービス「ごちクル」を運営するスターフェスティバルは29日、8月1日から企業向けのランチ弁当デリバリサービス「シャショクル」を本格開始すると発表した。スターフェスティバルは、かねてから東京都内の企業を対象にシャショクルをテスト運用していたが、十分な市場ニーズがあることを確認、安定したサービスを提供できる体制が確立できたことから、今回の本格サービス開始の発表に至った。
8月1日からは、札幌、仙台、東京、名古屋、広島、大阪、福岡および首都圏各都市で、4,000種類の弁当メニューを提供開始。テスト期間中からサービスを利用している東京中心部5区の企業50社に加え、8月中以降に100社がシャショクルを導入する意思を表明しているという。
スターフェスティバルが従来から提供する「ごちクル」は現在、800ブランド8,200種類のお弁当を提供。飲食店のアイドリングタイムを活用してお弁当を作ってもらい、商品開発・販売促進・販売・配達など調理以外の雑務をスターフェスティバルが請け負うことからスタートしたこのサービスも、現在では1,000800店舗以上と提携し、これまでに累積で820万人以上のユーザに820万食以上の弁当やケータリングを届けた。有名店や行列店などテイクアウトが無い店の商品さえオーダーできるのが特徴で、提携先は飲食店から、現在では全国のセントラルキッチン会社や料理製造工場など多岐にわたっている。
「ごちクル」から派生して生まれた「シャショクル」だが、その経緯について、ごちクル主宰の濱野亜紀氏は次のように説明した。
「ごちクル」では2日前の正午までに予約してもらうことになっていて、ランチ会議、役員会議、研修セミナー、接待やおもてなし、社内パーティーやイベントで利用されるケースが多い。つまり、法人顧客が多く、会社の経費で支払われているケースがほとんど。合計金額1万円以上で無料配送となっており、逆に小ロットでの対応は難しい。
一方、コールセンターには、(予約の締切時間を過ぎているが)今日お弁当を届けてほしい、自分だけに届けてほしい、という個人ユーザからの相談が寄せられていた。このような要望に応えられないかと考え、「シャショクル」の開発に至った。
シャショクルの事業長を務める大野暉(おおの・ひかる)氏によれば、日本には6,200万人の労働者がいて、うち昼食休憩時に昼食を食べられ無い人が38%、オフィス周辺のランチ環境に飽きを感じている人が75%いるという。全国の労働者の65%に相当する4,000万人が社内で昼食を摂っており、彼らがシャショクルのターゲットとなるユーザ層だ。
シャショクルには、毎日数種類の日替わり弁当を企業に届け、スターフェスティバルの販売スタッフがオフィスの空きスペースで弁当を社員に販売する「対面販売プラン」(社員400名以上の大企業向け)と、スタッフのつかない「定期配送プラン」(社員20名以上の中小企業向け)の2つのメニューが用意されている。対面販売プランでは、モデルの卵、子育て中のママ、スポーツ選手、元キャビンアテンダントなどが販売スタッフを担当するそうだ。
多くの企業では、昼食休憩は1時間しかない。しかし、高層ビルにあるオフィスなら、昼食時に混雑するエレベータで地上に降りるまでに10分、飲食店に入店するまでの待ち時間に10分…と時間がかかってしまい、正味のランチを楽しめる時間が減っていく。シャショクルであれば、ランチの方からやってくるので、忙しいビジネスマンにとっても時間を節約することができる。(大野氏)
29日開催された記者会見では、テスト運用時からシャショクルを導入している企業のユースケースが紹介されたが、健康に配慮されたメニューが複数種類提供され、食事をしながら社員同士の親睦にもつながっていると、評判も上々のようだ。シャショクルのテストユーザの中には、弁当代の一部を負担したり、曜日によっては全額を拠出したりしている企業もあるとのことで、シャショクルの名前の通り、擬似的な社員食堂としての機能も満たせるようになっている。
また、スターフェスティバルでは近い将来、シャショクルに対応するモバイルアプリもリリースする計画とのことだ。このアプリでは、4,000種類あるシャショクルのメニューから4,000種類あるシャショクルのメニューのうち、その日におすすめの約10種類の中から好きな弁当を事前予約することができる。想定できるシーンとしては、普段は自分で弁当を作って持参している OL が、朝忙しかったため弁当を作る時間が無いとき、通勤時の電車の中でシャショクルアプリで好きな弁当をオーダーしておき、昼食休憩時にお弁当を受け取ることができるようなユースケースだ。将来的には、弁当代のモバイル決済や給料天引きなども可能だろう。
スターフェスティバルでは、1年以内にシャショクルで提供できるメニューを6,000種類に拡充、サービス提供先の顧客企業数を1,000社にまで増やしたいとしている。
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