請求書支払いのスタートアップ Payfazz は、インドネシア人によって設立された企業として初めて Y Combinator のアクセラレータプログラムに参加した。
各バッチはおよそ100社とかなり多数だが、何千という志願者の中から選ばれたことで箔がつく。このシリコンバレーのスタートアッププログラムは、有名どころでは Airbnb、Dropbox、そして Twitch などの企業を生み出してきた。
スタートアップ各社は YC から12万米ドルの投資を受けるが、より重要なのは、経験豊富な起業家と YC 同窓生で構成されるグローバルネットワークの一員になるということだ。
Payfazz の共同設立者で CEO の Hendra Kwik 氏は Google Hangout の通話で Tech in Asia にこう語った。
素晴らしい経験をさせてもらっています。スタートアップを設立する MBA のようです。
彼は今米国に2ヶ月間滞在し、デモデイを2週間後に控えている(原文掲載日:8月4日)。彼は小さな寮の机に向かい、ルームメイトが彼の後ろで動き回っている。
Kwik 氏は彼のチームを代表して一人で出席している。全ての共同設立者が顔を見せることが普通な YC では珍しい。彼の二人の共同設立者である Jefriyanto 氏と Ricky Winata 氏とは小学生の時からの幼馴染だ。彼らはビザが下りなかった。インドネシア人にとって米国に入国することは簡単ではない。YC が Payfazz のために特別に手配したのだ。
請求書支払いからローンへ
Payfazz のアプリを使用すると、プリペイド携帯のチャージ金額を使うように物が買えたり、電気料金の支払いができたりする。これは銀行口座を持っておらず、現金に頼るしかない大部分のインドネシア人のためにデザインされている。ユーザは代理店を通じてモバイル携帯に料金を追加チャージし、その残高を簡単なオンラインでの支払いに使用する。
これは Payfazz だけの取り組みではない。請求書支払いや携帯電話でのプリペイド決済は、すでに Tokopedia、Bukalapak、Go-Jek など既存のローカル企業が手がけている。また Ayopop や Sepulsa など、他のスタンドアロン型アプリも同様のサービスを提供している。
Go-Jek や Tokopedia の e ウォレットの問題点は、依然銀行口座を通じてチャージする必要があることです。(Kwik 氏)
Go-Jek はオンデマンドの配車サービスで、ユーザはドライバーを通じてチャージすることができる。これは代理店の仕組みと似ている。しかし Go-Jek には限界があると Kwik 氏は指摘する。
Go-Jek は農村部でそれほど強くありません。私たちは銀行口座を持たない人々をターゲットにしています。
彼らは、請求書支払いサービスからユーザ同士が送金できるようにすること、そしてゆくゆくは消費者向けローンへと移行することを計画している。
最終的には、この3つのユースケースの全て、とりわけローンサービスを収益に貢献させたいと Kwik 氏は言う。しかし彼らはまだ第一段階にいるに過ぎない。というのもユーザ間の送金やローン提供を可能にするためには認可が必要で、同社は現在申請中の身なのだ。
Kwik 氏によると、アプリでは一日2万5,000件から4万件の取引があり、取引額は一取引当たり平均で2米ドルから4米ドルとかなり少額である。
彼が今まとめ上げているのは、近所に住む人々からサービスを受けている顧客ベースであり、Kwik 氏は消費者向けローンのような将来の目玉事業の基盤作りをしている。
私たちは代理店を通してユーザを知ることができます。彼らは互いに知り合いで、それが私たちの有利な点です。私たちはこれを用いてクレジット・スコアリングシステムを作ることができます。
Kudo から学んだこと
2016年6月に Payfazz を共同設立する前は、Kwik 氏は Kudo というこれもまた代理店ネットワークとともに仕事をする地元のスタートアップの一員だった。Kudo は小さな店の店主が e コマースストアで商品を販売することを可能にし、手数料を収益とした。
Kudo にいた当時、Kwik 氏はそのアプリが金融サービスを提供していないことに気づいた。
それで自分がやろうと思ったのです。(Kwik 氏)
Kudo は今や東南アジアで最大の配車決済企業 Grab の一部であり、彼の競合相手になりうる。
しかし Payfazz は慌てていない。
私たちは今や5万5,000回ダウンロードされ、1万7,000の代理店が取引しています。私たちは従来の方法でビジネスを行っていません。全てデジタルに頼っているのです。倹約でないといけないのです。
YC からの投資の他に、Payfazz はインドネシア最大の電話会社 Telkom からも戦略的投資を受けた。
YC 創設者の Paul Graham 氏のブログの熱心な読者である Kwik 氏は、YC フィロソフィーに心酔している。
私たちは、代理店が何を欲しているのか知っています。うまく機能し、彼らにお金を落としてくれるプロダクトです。私たちのソリューションがうまく機能しなければ、代理店は競合他社へと移っていくはずでしょうが、彼らはそうしていません。
すでにあるものは問題ではありません。Wufoo は Survey Monkey より後に登場しました。品質とユーザインタフェースが良かったため、彼らは市場で勝ちました。多くの人が解決しようと試みているもののまだ解決できていない何かがあるのなら、それはビジネスチャンスなのです。
(午後2:40更新: 先ほど、3人の共同設立者全てがバンドン工科大学の出身であると記載した。Hendra Kwik 氏のみがバンドン工科大学の出身で、他の2人はジャカルタのビナ・ヌサンタラ大学の出身である。3人は皆小学生の時からの幼馴染である。また、ダウンロード数とアクティブな代理店の数を更新した。)
【via Tech in Asia】 @techinasia
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