開発した人工知能の予測精度は94%ーー不動産投資家に相場価格から乖離した物件情報を届ける「VALUE」

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2015.7.8

VALUE-website

仲介手数料0円の賃貸物件を扱う会員制仲介サービス「ヘヤジンプライム」や、総合賃貸管理システム「ヘヤジンコネクト」などを運営するイタンジ。同社は、2代続く不動産家系出身の代表取締役社長 伊藤 嘉盛氏が、古い不動産業界特有のグレーな慣習をITで変えることを目指して2012年に立ち上げました。

そんなイタンジが新たに開発したのが、不動産の成約価格を推定する人工知能のテクノロジー。米国などを中心に注目を集め、人間の脳神経細胞の動きをモデル化し、自ら学習することで答えを予測する技術「ディープラーニング」。このディープラーニングの技術を用いることで、イタンジが開発した人工知能は94%の予測精度を達成しています。

この人工知能を活用したプロダクト第一弾が、不動産投資家向けサービス「VALUE(バリュー)」です。バリュー投資、転売益を狙った国内外の不動産投資家たちを利用者に想定するVALUEでは、市場に流通した物件の価格解析を行い、相場価格から乖離した裁定取引の可能性がある物件を抽出。こうした物件情報を、月額5,000円の登録ユーザーに対して配信します。

VALUEが配信するメールのサンプル
VALUEが配信するメールのサンプル

本日の正式リリースに先駆けて試験運用されていた「VALUEβ版」。2ヶ月間β版を使った約100名のテストユーザーに対して実施したアンケート調査では、「VALUEが投資判断に役立つ」と回答した人が90%、「実際に購入したい物件があった」との回答は80%に及びました。

従来、不動産価格の推定は、統計的手法であるヘドニック・アプローチを用いたものが大半を占め、価格予測も出るの説得力を示す決定係数は0.8〜0.9程度の水準だったと言います。イタンジが開発した人工知能は、さまざまなマクロデータを学習。例えば、東京都内における過去25年間の不動産取引情報、売買事例、成約賃料、金利や公示価格など。その結果、決定係数0.94%、実際の成約価格との誤差は±5%が35%、±10%以内が64%と高い予測精度が実現しています。

日本の不動産市場の透明度は26位で、経済の成熟性や市場規模からみると低い水準に留まります。この不透明な市場状況の要因は、売買価格、成約賃料、新築着工戸数など、取引に関する情報が他国と比べて不足していること。また商品特性上、不動産は個別性が高く、経済動向にも影響を受けるため、価格変動を免れません。イタンジ代表の伊藤さんも、不動産売買の業務経験の中で、不動産価格のとっつきにくさを感じていました。

「日本では、募集事例や成約事例など取引価格の情報を探すのも一苦労です。プロですら確信を持った根付けができないのに、一握りの情報で一般消費者が不動産価格を割り出すのは無理があります。不動産の価格情報を切り口としたサービスを提供できないかと思うようになりました」

リリース時から海外展開を視野に入れているVALUE。β版で英語と中国語配信も行ったところ、1割の人が中国語配信を希望しました。日本の不動産に関して、海外投資家の意思決定を支援することで、円安を背景に加速するインバウンド投資の需要も取り込んでいく予定です。将来的には、アジア圏の不動産情報も取扱っていくとのこと。

目下のゴールは、日本国内の会員数1,000人。その後は、海外を含めて10,000人の会員数を目標に掲げています。人工知能を活用したVALUEで、不動産投資市場の参加者にどこまでの透明性をもたらすことができるのか。テクノロジーで不動産業界に新しい風を吹き込むイタンジの新たなる挑戦を見守りたいと思います。

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