スタートアップ・ゲノムが「インベスター・コンパス」を開始、スタートアップはデータで経営する時代へ

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【原文】

過去一年間にわたり、スタートアップ・ゲノムは、スタートアップがより良い判断を行い、さらなる成功をおさめるためのフレームワーク、レポート、ツールを開発した。私たちの目標は、起業家たちの知恵をシリコンバレーに集め、より多くのストラクチャー、科学、データをスタートアップ・ゲノムというプラットフォームに注ぎ込み、神話と事実をうまく切り離し、学んだことを世界中の人々と共有することである。確実性が低いということ、また世の中はめまぐるしく変化することから、起業は「お絵かきのような」簡単なアクティビティには絶対になり得ない。だが、スタートアップ・ライフサイクルの行程にもあるように、フレームワーク、初期段階での規模拡大などの失敗例、スタートアップ・コンパスのようなベンチマークツールを起業家に提供することで、起業家の洞察力と、事業に必要な情報を理解する力を改善することができる。

だが、スタートアップは単独では成功できない。子を育て上げるには村の力が必要であるように、スタートアップの構築にもエコシステムの力が必要となる。しかし、ちょうど起業家の例のように、スタートアップのエコシステムを構成している投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーは、スタートアップを評価し共に仕事をする上で、多くの場合、直感的なパターン認識に頼っている。そして彼らは定期的に時間をかけて数百もの問いを起業家に投げかけ、投資判断を行う上での何らかのヒントを探り出そうとする。

私たちは、スタートアップと投資家のやり取りの多くは、スタートアップ・エコシステムに関わる者がスタートアップとよりうまくやってけるような、合理的なものであると考えている。そして今、これらの問題を解決すべく新しいスタートアップ・ゲノム・ツールの「インベスター・コンパス」をプライベートベータ版で開始した。

「インベスター・コンパス」を利用することで、投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーは、関係する企業との進捗状況をダッシュボード1つで確認することができる。彼らはスタートアップ・コンパス上に数百もの重要なデータポイントを入力しているため、各スタートアップのKPIを示すカラーコード化されたベンチマークをはじめ、初期の規模拡大におけるリスク評価とリスクを知らせるデューディリジェンス・テストなど、通常であれば多くの時間と手間がかかるさまざまな分析を、自動的に提供することができる。これにより、投資家とアドバイザーは、ポートフォリオであるスタートアップ各社を広い視点で分析することができ、それぞれのスタートアップの是非を見て、次に取るべき措置を決断することができる。

前回の記事で、世界中でスタートアップ・エコシステムが急激に増大していることを伝えた。また、個人投資家がエンジェル投資家になる例も同様に増えている。昨年、エンジェル投資家は、3万以上ものスタートアップに投資した。JOBS Act(新規事業活性化法案、詳細はホワイトハウス発表の資料を参照)の通過とエクイティ・クラウドファンディング市場の急速な伸びを受け、私たちは、さらに多くのスタートアップとエンジェル投資家のブームを目にすることになるだろう。アーリーステージ・ビジネスへの投資の拡大により、新人の投資家やベテラン投資家は、直観的かつ(データというより)社会的裏付けに基づいていた従来の投資評価ツールが、今後は使えないようになるだろう。

さらに大きなエコシステムでは、社会的裏付けの尺度がオーバーフローしてしまい、投資家はノイズの中で情報整理することが困難となり、多くの素晴らしいスタートアップが見逃される原因となってしまう。

スタートアップ資金が効率的に運用されるには、適切で一定額の資金が、より多くのスタートアップに配分される必要があるにもかかわらず、単に資金を増額する対応がとられ、この問題を増幅している。さらに、これら新しいスタートアップ投資家の多くは、良いスタートアップとはどのようなものかについて、あまり良い直観を持っているとは言えない。正しい指標と自動化されたデューデリジェンス・テストのベンチマークは、未熟な投資家の直感をより経験豊かな投資家のそれに近づけることができるし、経験豊富な投資家の貴重な時間を節約することができる。データによるアプローチは、増え続ける取扱量を迅速に処理し、測定可能な基準を構築するパズルの一つのようなのだ。

このデータ・アプリケーションの特徴は、使えば使うほど便利になることである。「インベスター・コンパス」はスタートアップ・コンパスのベンチマークを採用しており、数ヶ月前のローンチ以来、17,000社以上の企業によって使用されている。「インベスター・コンパス」を使い、多くの案件を取り扱う処理方法へのシフトは、データによるビジネス・フロンティアを開いていく、大きなステップであると私たちは信じている。

このフロンティアが早道であることを考えると、特にイノベーションの分野に適用するときは、私たちはデータツールの限界を視野に入れなければならない。まず第一に、スタートアップはどう成長していくかがカギとなり、自分自身との闘いであるから、アーリーステージでの成功を予測することは目指すべきゴールではない。各段階にはそれぞれ新しい挑戦があり、1つのステージにおける成功は、次のステージで成功する可能性を高めることにはつながらない。例えるなら、あるプロダクトがアーリーアダプターに大きく取り上げられたからといって、マーケティングや組織的な観点から、会社をうまく拡大できていることにはならない。それよりも、次のステージに到達しようとする際、起こりうる状況を予測する方が現実的だ。考えるべき内容の多くは、これまでに同じビジネス領域を進み、多くの企業が犠牲となった地雷や落とし穴をいかにして避けるか、ということになる。これこそ、スタートアップ・コンパスからパフォーマンスが振るわないベンチマークを発見することでしか気づけない話であり、「インベスター・コンパス」では、自動で行われる50回以上に及ぶデューデリジェンス・テストを用い、情報のインデックス化に着手している。この点において、成功とは、少なくとも部分的には、失敗という否定的なものの中にも存在する。それに対して、ブレークスルーした企業とは、自ら慣習を破った企業のことだと反論する人も多い。だが、もし企業が慣習ルールを破っているなら、うっかり破ってしまうべきではないし、これこそが私たちが企業に問題を認識させてあげられることなのだ。また、慣習のルールブックを全部放り捨てたからといって、イノベーションがもたらされるわけではない。むしろ、イノベーションをやる企業は、頭の中にあるいくつかの大きな仮定をひっくり返してみて、その成功に賭けている。そして、それ以外については、かなりの部分で標準を守っているのだ。

それと同時に、私たちは今までになかった新しいアプリケーションを実現するデータの力を、低く見積もるべきではない。データが流れ込んでくるようになった業界には、いずれも大きな変化が生じる。野球の世界で言えば、Billy Beaneが統計的な手法を持ち込んでから変化が起きた。ウォール街では現在、主に統計的手法で設計された高頻度取引のアルゴリズムに基づいて運用されている。なぜスタートアップの世界では、今のところデータが業界を揺るがすものではないのだろうか?

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1) 私たちは、正しい指標を使って測定していない

定量的にスタートアップを分析する試みの多くは失敗している、なぜなら、人々は上場企業に対して伝統的に使われてきたのと同じ財務モデルを、スタートアップにも適用しようとするからだ 。しかし、スタートアップは大企業がそのまま小さくなったものではない。これは、「人形の家の迷信」(仮訳、原語=dollhouse fallacy。リーン・スタートアップの第一人者 Eric Ries が言う「スタートアップは、大企業のミニチュア版(人形の家)ではない」という考え方。)という陥りがちな間違った見方だ。収益の成長は、スタートアップにとって進歩とは見なされない。スタートアップ・ゲノムでは、スタートアップにとっての進歩とは、大企業へと成長する課程における7つの段階、すなわち、発見、検証、効率、拡大、維持、対話、縮小だと説明している。スタートアップのライフサイクルの始めの4つのステージで、進歩を測定するのに最適な指標は、どれくらい顧客がそのプロダクトについてやりとりを行ったかだ。拡大ステージの後になって、ようやく事業は財務モデルが適用できる程度に安定するのである。

2) 正しい指標を入手して、情報を集約し、分析することが難しい

今のところ、スタートアップ・ゲノムは調査を行うことで、こうした顧客が行ったやりとりについてのデータを手に入れている。しかし、このやり方をずっと続けるつもりはない。起ころうとしているビッグウェーブは、今や頂点へと達しようとしているのだ。

今日、スタートアップが利用しているソフトウェア・アプリケーションは、ほとんどすべてクラウド上で機能するものである。まもなく、このデータには、すべてAPIを通して容易にアクセスできるようになるだろう。このトレンドにスタートアップ・ゲノムは大きく賭けている。これからの1年間を使って、スタートアップがGoogle Analytics、Salesforce、Quickbooks など、多くのアプリケーションから得ているデータを、自動的に私たちと共有できるAPIを作る予定だ。データ提供の見返りとして、私たちは、よりうまく企業を運営するため、そしてより大きく成功するための、これまで以上に正確な洞察を企業へ提供する。いったんこのデータストリームが利用できるようになれば、ビジネスがデータに基づいて動くという新たな世界がすぐに到来する。こうした画期的なことを実現するため、スタートアップ・ゲノムはシードラウンドの資金調達に向け、エンジェルリストに掲載してもらっているところだ。

もし、あなたが投資家、アドバイザー、サービスプロバイダーとしてスタートアップに協力しているならば、ここからプライベートベータ版の「インベスター・コンパス」に登録することができる。そして、もしあなたが起業家なら、関係するステイクホルダーがあなたの進歩について最新情報を得ることができるよう、彼らをここから招待することができる。

どのように利用するか、どのように発展させればよいか、ぜひ私たちに意見を聞かせてほしい。あなたと共に、この可能性に満ちあふれた領域を探索できることを楽しみにしている。

【via Startup Compass】 @startupcompass

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