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2017年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングが発表

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世界のスタートアップ・エコシステムをモニターする Startup Genome は先ごろ、例年発表している「Global Startup Ecosystem Report」の2017年版を公開した。このレポートの中でも毎年関心を集めるのが、世界中の20のスタートアップ・エコシステムの情報をランキングしたコンポーネント・インデックスだ。このインデックスは、パフォーマンス、ファンディング (資金調達)…

世界のスタートアップ・エコシステムをモニターする Startup Genome は先ごろ、例年発表している「Global Startup Ecosystem Report」の2017年版を公開した。このレポートの中でも毎年関心を集めるのが、世界中の20のスタートアップ・エコシステムの情報をランキングしたコンポーネント・インデックスだ。このインデックスは、パフォーマンス、ファンディング (資金調達)、タレント(人材)、マーケットリーチ、スタートアップ・エクスペリエンスの5つの主要なコンポーネントの評価を数値化しランキングしたものだ。

このランキングでは言語障壁などの理由から日本や東京は調査対象には含まれていないが、上位10位までを見てみると、アメリカ以外から北京・上海と中国から二都市がランクイン。2015年のランキングと比べてみると、5位だったテルアビブが6位にランクダウン、ベルリンは9位から7位に追い上げた。

アジアについて見てみると、アーリーステージ・スタートアップにおける資金調達成功率が世界平均5.0%なのに対し、シンガポールでは4.6%と低い数字に落ちていることをレポートでは懸念しているが、依然として強力な政府支援や Google による Pie の買収やGrab の7.5億ドルに及ぶ資金調達が市場の勢いを牽引しているとする。また、シンガポールは世界の中でも、起業家の平均年齢が30.2歳と最も若い。

北京と上海は、VC がスタートアップへの投資に失敗しても、そのマイナスを回収しやすいだけでなく、スタートアップが最大3万ドル相当の補助金が受け取れることも、スタートアップの増加に貢献している。北京には世界で2番目に多くのユニコーンが集積していて、現在までに24社のユニコーンが北京から生まれている。上海は、世界のアーリーステージ投資の11%、世界におけるイグジットの10%を占めている。

バンガロールの成長も有望視されているが、エンジニアが職に就きにくいこと、経験が平均的であること、ビザの取得成功が低いことを、レポートでは問題点に上げている。バンガロールのエンジニアは世界で最も賃金が安いため、能力に見合った費用を払うべきという考えが、依然受け入れられにくい点があると指摘している。

「Global Startup Ecosystem 2017」は、ここから閲覧するか、ここからダウンロードできる。

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スタートアップ・ベンチマークのCompassによる、香港のスタートアップ・エコシステムに関するレポート(3/3)

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この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。 著者:JF Gauthier 氏(Compass)。 香港のスタートアップエコシステムに関するレポートをダウンロードする場合はこちら…

この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。

著者:JF Gauthier 氏(Compass)。

香港のスタートアップエコシステムに関するレポートをダウンロードする場合はこちら

Compass の無料アプリで成長基準を分析し、運用成績を測る場合はこちらから

前回からの続き>

Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong
Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong

関連事項

アクティベーション段階のエコシステムは、地元と世界的ステークホルダーたちの交流を促進することにより、世界レベルのノウハウを引き込み、「追いつくための成長」活動へ投資しなければならない。

したがって、香港の最優先事項は、起業家が世界レベルのノウハウに追いつくよう支援することである。(前に論じた通り、投資家は追いつく必要はない。)その時まで、スタートアップは不利な立場に置かれることになるだろう。つまり、大きなグローバル市場機会へと取り組むトップエコシステムにあるスタートアップの、急速に進化するビジネスモデルとテクノロジーにいつも後れを取るということだ。ゆえに、香港のスタートアップはより小規模な地元の機会を任されることになり、後期ステージの大型資本にそぐわない、より遅い成長収益と、より数少ない少額のイグジットを産出できるのみである。

他の優先事項は具体的には、様々な要因のギャップを埋めることが含まれる。スタートアップがハイクオリティな技術系人材と接触できるよう改善する。シード出資のギャップを減らす。サブセクターの戦略(例:フィンテックとIoT)を練り、実践する。そして起業家活動を増やすために思考態度の変化を促進する。

目標

目標は香港経済を多面化し、技術系スタートアップエコシステムの成長に積極的に投資することで長期的な繁栄を確実にすることだ。これは、Hong Kong Startup Ecosystem Report で推奨されているいくつかのプログラムを統合した戦略的なプランを発展させ、ステークホルダーたちによる協調された行動のコンセンサスを構築することで達成できる。

地元のステークホルダーたちの間で実行される戦略と戦術について一度コンセンサスが成立すれば、それ以外のステークホルダーたちはリードするか、共に参加することができる。政府の役割は、各所でなされる取り組みをまとめ、民間企業によって行なわれる活動を促進し、投資するかさもなければ特定の要因のギャップに関する活動を促していくことである。

民間セクターが直接扱えない、多々の課題への取り組みとなる後者は非常に重要だ。しかしいったんエコシステムが成熟して、多額のイグジット案件が定期的に成立すると、若者が技術系の学位を取得してテック系起業家になる動機となり、同時に活発なテック系エンジェル投資家となる高額の自己資本を持つ個人を生み出すであろう。それまでは、政府の努力は不可欠である。

提案

勧められている戦略およびプログラムは、発展初期段階にあるすべての中小規模のエコシステムにとって適切なものである。

Cyberport via Flickr by Jo Schmaltz
Cyberport via Flickr by Jo Schmaltz

短期的な優先事項

A)起業家たちの間で世界レベルのノウハウを強化する
この問題は複雑で、一晩で解決できるようなものではない。レポートの中に詳述される多くの戦略目標である。短期的解決策の一連案は、世界的なアクセラレータを香港へ引き寄せ、トップクラスのエコシステム(例:シリコンバレー、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、北京、深圳)で、香港スタートアップが海外アクセラレータプログラムへ参加できるよう特別に計らう、というものだ。

世界的なアクセラレータは証明されている一つの解決策だ。最新のノウハウと、世界的に最良の実践法を起業家に教えることができるからである。それこそまさに香港が必要としているものだ。さらに、アクセラレータはエコシステム(あるいは産業クラスター)の中で、特別な役割を演じることができる。「Porter氏によると、経済活動は社会活動のなかに埋め込まれている。その『社会的つながりはクラスターを結び付けることになる。』」アクセラレータは専門的そして社会的なつながりとして機能し、スタートアップと地元の投資家、企業団体との関係を強めれば、例えばデモデイなどを通してリーダーたちが彼らのプログラムに興味を持つことになる。多くの地元ステークホルダーが世界レベルのノウハウを持っているため、アクセラレータの活動は起業家がそれに追いつくよう支援することである。

B)トップクラスの技術系人材を利用できるよう改善する
他のいくつかのプログラムはこの課題に取り組んでおり、短期的解決策は、様々な国からのハイクオリティの技術的人材である若い卒業生たちによって移民を増加させることから始まる。格好の対象となるのは、ロシア、旧ソ連圏諸国、東ヨーロッパ諸国、中国本土などである。香港にはそれらのどの国からの技術系人材にも提供できるものがたくさんある。コスモポリタン文化、経済的自由、興味深い社会的活動など、すべての国からの若者にとって魅力的である。IoT関連のスタートアップ(対中国本土を除く)とフィンテック関連のスタートアップを設立するための大きな資産、そしてより強いスタートアップエコシステム(対モスクワ、そして中国本土を除く)などもだ。

海外の技術系人材は香港の起業家活動にも良い影響を与えられる。第一に、この技術系人材の一部はスタートアップを設立したいという望みのもとに来る。そして第二に、一般的な移民は起業家になる傾向が高い。

C)エンジェル投資家のコミュニティを発達させる
シード出資のギャップを埋める最善の方法の一つは、マッチングファンド・プログラムを実行することである。というのも、シードラウンドに利用される資本を直接増やせば、資金調達に成功するスタートアップが順に増えていくからだ。マッチングファンドは公的および私的な資金源、大企業、投資家グループや協会などから資本を得るとよいだろう。

香港政府の最近の施政方針演説によれば、マッチングによる共同投資のための基金を設立するため、20億米ドルを確保するという。香港のエコシステムはシリーズAやBラウンドでもそれ以降のラウンドにおいても資金調達ギャップは存在していないため、これらのファンドは「スーパーエンジェル」企業による資金調達を含め、シードラウンドのために割り当てられたものから利益を得ることになるだろう。

マッチングファンドの管理を、それぞれ経験あるファンドマネージャーのガイダンスの下で、正式に組織化されたグループや個人的なエンジェルに引き渡すことは大きな利益につながる。例えば、コミュニティの中でエンジェル投資の専門知識が確立される。加えて、ファンド間で競争を引き起こすことで、いくらかの投資決定権を認め、資本が最も有望なスタートアップへ流れるよう導く助けにもなる。

D)サブセクターの戦略を発展させ実践する
どのステージにあるスタートアップのエコシステムであっても、技術系サブセクターの急成長の波に乗ることで、成長速度を高めることができる。シリコンバレーはそうやってソーシャルネットワークのとてつもない成長を利用し、アプリケーション、テクノロジー、サービスなどのサブエコシステムを専門化した。

サブセクターに最も重要なユニコーン企業が現れるとエコシステムには予測できないが、今後5年から10年の間に劇的な成長が見込まれているサブセクターで戦略的に取り組んでおけば、ある程度のリーダシップを確保し、強大な影響力を持つことができるだろう。

香港の強みは、長期にわたって戦略的に取り組むサブセクターとしてIoTとフィンテックを選択できることだ。確かにどちらも今後5年から10年の間の急成長が見込まれているとして、一般的に受け入れられている。

そのような戦略的取り組みはリーダーシップを手に入れるために短期的になされるものだ。HKSTPのCEOであるAllen Ma氏がこう述べている。「香港がIoTのハブへと発展するためにはこれからの2、3年がカギとなります。」他のエコシステムもすでにそういったリーダーシップのために位置付けていることを考えると、同様のことがフィンテックにも言える。これは香港の様々な革新プログラムに割り当てられた予算と努力の一部を、IoTとフィンテックに捧げることを意味するだろう。

長期的な優先事項

E)起業家活動を増やし続ける
15年前のシンガポールのように、エコシステムは起業家精神レベルのギャップを埋めることなく成功することはあり得ない。これは難しいことではあるが、献身的な努力によって10年のうちに起業家活動に重大なインパクトを与えることができる。効果的なプログラムを作成することは一般的で、それらの情報は広く利用できる。先述した通り、移民によって人材の不足を埋めることは起業家活動への積極的な影響をもたらしてくれる。

結論

香港は、パフォーマンスといくつかのインプット要素において、トップ20のエコシステムより後れを取っているものの、さらなる資産と最も資本化すべきところの戦略的強みから利益を得ている。香港の可能性は認識され始めており、最近の成長に見られる通り、トップ20のエコシステムのうち5番目の成長速度と同等である。ステークホルダーたちの努力によってカギとなる課題に対処し、世界的にリードするスタートアップとユニコーンを生み出すとともに、技術系スタートアップエコシステムの成長をさらに速めることができるのは疑いの余地がない。

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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スタートアップ・ベンチマークのCompassによる、香港のスタートアップ・エコシステムに関するレポート(2/3)

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この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。 著者:JF Gauthier 氏(Compass)。 香港のスタートアップエコシステムに関するレポートをダウンロードする場合はこちら…

この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。

著者:JF Gauthier 氏(Compass)。

香港のスタートアップエコシステムに関するレポートをダウンロードする場合はこちら

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Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong
Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong

エコシステム・アセスメント

Compass のエコシステム・ライフサイクル・モデルによる分析は、香港のスタートアップエコシステムが、アクティベーションと呼ばれる発展の初期段階にあるという事実を示している。同Compass のインプット要素のギャップ分析と合わせて、それは香港のエコシステムにおける課題とフレームソリューションを理解するために用いられた中心的ストラクチャーである。

香港のエコシステム発展が初期段階にあることは、Compass の調査(図1)により明らかになった。創業者の平均年齢が低めであること、そしてより年齢層の高いテック・シリアルアントレプレナーの割合が低いことによって、ある程度は説明がつく。興味深いことに、香港の女性創業者の数は他のエコシステムに比べるとかなり少ない(図2)。

図1 設立者の平均年齢
図1:各国別のスタートアップ創業者の平均年齢
図2 女性設立者の割合
図2:各国別の女性創業者の割合

A)エコシステム・ライフサイクル・モデル(図3と図4)

スタートアップエコシステムのアクティベーション段階における典型的な特徴と課題すべてを、香港も持ち合わせている。この段階で健全なエコシステムは、「追いつくための成長」と呼ばれるプロセスを経る。特に香港では、起業家らは世界のトップエコシステムにいる国際的なステークホルダーとの交流を通して、世界レベルのノウハウに追いつき始めている。

このプロセスを通し、地元のステークホルダーは地元の資源の生産性を向上させる。最新のビジネスモデル、最新のグローバルなチャンスがどういうものか、あるいは Steve Blank 氏の顧客開発モデルといったような、技術系スタートアップ特有にしてグローバルかつ最良の方法を学べるからだ。

アクティベーションの段階は、スタートアップ、人材、資本、トップエコシステムからの投資家といった資源の吸引力が弱いことによっても特徴づけられる。経済の他の産業から引き継がれた資源を除いて、この段階のエコシステムは、地元のステークホルダーたちが一致した努力によって補うべき資源が不足していることを意味している。

同時に、資源と世界レベルのノウハウの不足は、エコシステムの発展、世界をリードするスタートアップの産出、ユニコーン、エコシステムをインテグレーション段階まで進歩させるきっかけとなる多額のイグジット案件などを押しとどめてしまう。その段階のエコシステムは、不足要素を補う助けになり成長を加速させる外的資源を引き付け始める。

図3 エコシステム・ライフサイクル・モデル
図3:エコシステム・ライフサイクル・モデル
図4 各エコシステムのライフサイクル段階
図4:各エコシステムのライフサイクル段階

要約すると、テックスタートアップは基本的に最近の現象であり、地元の若者がキャリアを築く道としてスタートアップを選ぶ動機となるような多額のイグジット案件が欠如しているため、香港は技術人材と起業家活動との差異に苦戦しているということだ。イグジット案件が少ないのは言い換えれば、活発なテック系エンジェル投資家が不足しているということでもある。

起業家達の世界レベルのノウハウが不足していることと合わせて——発展初期段階にあるエコシステムには典型的なことではあるが——様々な要素が不足していることはエコシステムのパフォーマンスが低い理由を物語っている。

B)インプット要素のギャップ分析

エコシステムのパフォーマンス
香港のエコシステム価値は28億米ドルから35億米ドル(図5)で、人口が非常に少ないにもかかわらず同等数のスタートアップ(2,000社台前半)を有するモントリオールやバンクーバー(それぞれ20位と18位にランクイン)よりも、はるか下につけている。シンガポールに比べると香港のエコシステムバリューは約4分の1と低い。

パフォーマンスの問題は他の指標からも明らかである。香港の低いイグジット評価額(合計14億米ドルから17億米ドルのイグジット評価額)、ユニコーン、そして10億米ドル以上のイグジット案件の絶対的不足、すべてのテックスタートアップのプレイグジット合計評価額は15億米ドルから18億米ドル―シンガポールの6分の1以下である。一方で、香港のスタートアップのパフォーマンス、言い換えれば長期にわたるスタートアップ評価額総和の成長推移は、ニューヨークの3分の1となっている(図6)。

図5 エコシステム・バリュー
図5:各エコシステムにおけるスタートアップの評価額総和(単位:10億ドル)
図6 スタートアップ評価額の推移
図6:スタートアップ評価額の推移

アクティベーション段階の常として、香港も小規模ながら急速に成長している。成長指数は3.0であり、トップ20のうち成長速度が5番目に速いアムステルダムのエコシステムと肩を並べるほどだ。これはVC投資が21%減少したにもかかわらず、香港のスタートアップの数とイグジットバリューが成長したことによる。

インプット要素

資金調達

香港にはシード出資のギャップがある。とりわけ活発なエンジェル投資家が不足しているためだ。「通常のシード」ラウンドに達しているスタートアップの割合に注目すればそれは明らかだ。シンガポールとニューヨークで見られる割合の半分以下である(図7)。

図7 シリコンバレーと比較した資金提供を受けるスタートアップの比率
図7:資金調達できるスタートアップの割合(シリコンバレーを100%としている)

アクティベーション段階にある他のエコシステムと異なり、香港の組織化されているベンチャー投資家はすでに世界レベルのノウハウに追いついている。これは彼らが香港をアジアの本部として用い、トップのエコシステムにあるスタートアップに活発に投資するためである。

こうした理由で、そして長い間国際的金融センターをリードしてきた立場ゆえに、香港はシリーズAとBラウンドに関して資金調達のギャップがない。この結論は、資金調達総額とシリーズBへのアトリションファネル(図8、9、10)から導き出される。同じように、レイターステージでの資金調達イベントがほとんどないため、出資のギャップによるのではなく、レイターステージにあるスタートアップへの投資に対する高いポテンシャルが欠如していることに起因する。

図8 シリーズA資金調達額(100万米ドル)
図8:シリーズAラウンド資金調達額(100万米ドル)
図9 シリーズBラウンド資金調達額(100万米ドル)
図9:シリーズBラウンド資金調達額(100万米ドル)
図10 アトリションファネル
図10:資金調達ラウンドでみる、アトリションファネル

市場リーチ

香港のアーリーステージにあるスタートアップは海外の顧客に働きかける点で、テルアビブ(74%)を除くトップ20のエコシステムすべてよりも高い割合を示し(図11)、素晴らしい結果を出している。それぞれの小さな市場と長期間保持してきた世界的な商業中心地としての地位を含む要因がグローバルな売上の発展やマーケティング専門知識、他の建設的な特質を生み出した。

図11 海外顧客の割合
図11:海外顧客の割合

しかしながら、ここ2、3年のシリーズCとDの資金調達ラウンドがほとんど行われていない事実で示される通り、香港スタートアップの起業家とチームは、グローバル市場のチャンスをつかみ発展させるために必要とされるテックスタートアップ特有のスキルとノウハウを確立しなければならない。

人材

香港は人材不足にも悩んでいる。特にスタートアップにとっては良質の技術系人材を見つけるのは困難だ。香港には良質の人材がいるが、優秀な卒業生はスタートアップに伴うハイリスクで負担の大きい仕事よりも、大企業での高収入で安定した仕事を好む傾向にある。

香港のスタートアップも、中国本土や他の場所から海外の技術系人材を呼び寄せることで、移民によって地元の人材不足を埋め合わせようと苦心している。

スタートアップの経験

香港はエコシステムの初期段階、アクティべーション段階にあるため、スタートアップの経験値が低く、シンガポールと比べるとかなり低いのも不思議ではない。例えば、香港の技術系人材にはスタートアップでの過去の経験が不足していて(図12)、創業者にはハイパーグロース・スタートアップの経験がない(図13)。スタートアップの経験は、エコシステムを成熟させ、成功するイグジット案件を蓄えさせるよう、徐々に改善していく要因である。

(※訳者注:文脈から、下の図12と図13を入れ替えました。)

図12 スタートアップの経験がある被雇用者
図12:スタートアップの経験がある被雇用者
図13 ハイパーグロース・スタートアップの経験がある設立者
図13:ハイパーグロース・スタートアップの経験がある創業者

政策

CITIE (City initiative for technology, inovation and entrepreneurship) のリサーチをもとに行われた分析で、香港は4分割のうちの第3集団―ビルダーグループに振り分けられた。ビルダーグループの都市は、活発にイノベーションとアントレプレナー湿布を自都市のポリシー発展に取り込み始めている。同グループの中で、香港は戦略政策の点でリードしているが、他の役割のほとんどは世界の他の都市やシンガポールに後れを取っている(図14)。

図14 香港CITIE vs. シンガポールCITIE
図14:香港 CITIE(濃色) vs. シンガポール CITIE(淡色)

技術系人材不足ゆえ、香港の移民政策は最優先事項となっている。ほとんどの専門家はスタートアップエコシステムの成長の妨げとなっている最たるものの一つが移民政策であると述べている。

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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スタートアップ・ベンチマークのCompassによる、香港のスタートアップ・エコシステムに関するレポート(1/3)

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この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。 著者:JF Gauthier 氏(Compass)。 香港のスタートアップエコシステムに関するレポートをダウンロードする場合はこちら…

この新たな Compass のレポートは、香港のエコシステムに関する深い分析を行ったグローバルレポート2015のために集められた豊富なデータを用いている。また、中小規模のエコシステムがいかに成長を加速しトップクラスのエコシステムと競合できるかに関しても提言している。

著者:JF Gauthier 氏(Compass)。

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Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong
Hong Kong Annual Reports via Flickr by Dennis Wong

香港は、技術系スタートアップエコシステムが急成長しているというだけではなく、その独特の強みによって加速する膨大な可能性を秘めてもいる。世界有数の金融産業および珠江デルタのハードウェア製造集積地と隣合わせという最高のロケーションが、香港にタイムリーな戦略的機会をもたらしている。フィンテックや IoT がその技術セクターの地域成長のカギとなったのと同様である。

しかしながら、それらのチャンスをものにするために、香港はテック起業家が世界レベルのノウハウに追いつき、人材とエンジェル投資のギャップを埋める支援をするプログラムに投資する必要がある。

大企業が労働力を削減し続ける一方、スタートアップが経済成長と雇用創出における一番の推進力となっている世界で、香港は過去の業績とレガシー産業に頼ってばかりではいられない。さらにまた、ソフトウェアがバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、生命科学、クリーンテクノロジーなどすべての革新セクターの基礎的な構成要素となっているため、テックスタートアップはただ成長セクターとして重要なだけではなく、戦略的にも欠かせないものとなっている。

Cyberport via Flickr by Jo Schmaltz
Cyberport via Flickr by Jo Schmaltz

エコシステムの相対的強さを評価し成長させることの重要性は、Michael Porter 氏の著書「国の競争優位(原題:Competitive Advantage of Nations)」の中で初めて記述された、ビジネスクラスター論により知られるようになった。特定のセクターや産業の「相互連結する企業、供給元、関連施設が地理的に集積すること」で、それぞれの企業の平均的生産性を向上させ、イノベーションを促し、新たなビジネス(スタートアップ)の創出につながる。このように大型かつバランスの良い産業クラスターは、他の場所に比べ持続可能で競争的な利点を生かし、あるいは支配的位置を獲得するかもしれない(例:シリコンバレーやハリウッド)。

香港はシリコンバレーには決してなり得ず、なろうとするべきでもない。そしてこれは他のすべてのスタートアップエコシステムにとっても同様の事実である。トップ20のエコシステムそれぞれは異なる道をたどっている。各々特有の資産を活用し、最終的に異なる強みが組み合わされ、スタートアップが混ざり合って成功を収めているのだ。

香港には、強いテックスタートアップ・エコシステムの発展を成功させる能力が完全に備わっている。香港にはエコシステムトップ10のうちのいくつかと並ぶほどの、基盤となる強みと戦略上の資産がある。事実、エコシステムトップ20の他の場所よりはるかに多くの資源を所有している。さらに、香港の成長速度はすさまじく、トップレベルのスタートアップエコシステムのうち、そのスピードと同等か勝っているのはわずか5つのみである。明らかに香港は正しい道をたどっており、鼓舞される結果となっている。

しかしながら、その強みにもかかわらず、香港のテックスタートアップエコシステムのランクはトップ20のはるか下位にあって未だ発展の初期段階であり、自立を持続できているとは言い難い。技術セクターは資源のための激しい国際競争の対象となる事実と考え合わせると、香港は他に追いつくために積極的な投資を行う必要がある。

香港にとって当面の目標は、スタートアップエコシステムのトップ10に入ることではなく、経済を多様化して長期繁栄を確実なものとし、革新を取り入れテックスタートアップのエコシステムを成長させることによって、世界をリードする都市の一つとなることである。

エコシステム概説

香港特別自治区は人口730万人で、1平方キロメートルあたり6,600人と世界で最も人口密度の高いエリアの一つである。国際ビジネスの世界では、香港はしっかりした法律環境、地理的優位性などから仕事がしやすい場所として広く知られている。ヘリテージ財団によれば、香港は21年連続(1995年から2015年)で、経済的自由において世界で1位に格付けされている

香港はいくつか重要な強みをもっているが、そのうちの2つは、フィンテックと IoT という急成長中の二大技術系サブセクターに関して、地元のスタートアップに競争的利点をもたらすものである。第一に、香港はニューヨーク、ロンドン、シンガポールと並び、世界で最も重要な国際的金融センターの一つだ。このためフィンテックスタートアップは、世界的な B2B 事業の顧客ニーズを代表する最高決定者との接触が可能になる。そして、世界的 B2B および B2C 事業の顧客ニーズを扱う新たなビジネスモデルの展開を知らせる深い産業専門知識を得ることができる。

第二に、中国の深圳市を含む珠江デルタとの地理的近さがある。グローバルに競合する(もしリードしていないなら)ハードウェアの試作・製造能力は、香港の IoT とウェアラブル関連のスタートアップに対し戦略的に成長する機会を与えてくれる。

他のスタートアップエコシステムと同じように、香港にも課題がある。世界経済フォーラムのグローバル競争力レポートの定義によれば、香港の主要な課題とは、「世界最先端の金融ハブの一つから革新的なパワーハウスへと進化する必要がある。イノベーションは経済的パフォーマンスの最も弱い側面である。

さらに、Global Entrepreneurship Development Institute(GEDI)は、2016年の世界起業家精神指数(GEI)で香港を世界第40位に格付けした。過去5年間に起業家精神を促進しサポートする努力が払われてきたにもかかわらず、2012年の第30位よりさらに下がっている。

(次回に続く)

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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スタートアップにベンチーマーク分析を提供するCompassが、2016年のEコマース向け目標値を提言

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世界のeコマース業界は急速な成長をみせている。2015年には1,000万を超えるeコマースストアが1.8兆米ドルも売り上げた。2016年、この業界は15%ほどさらに成長すると見込まれている。 多くの人の期待に反して、このような成長をもたらしているのは世界中で誕生しているニッチなオンラインストアだ。その多くは、デジタル世界への進出を目指して事業機会を掴もうとしているオフラインの小売店である。ただ市場…

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世界のeコマース業界は急速な成長をみせている。2015年には1,000万を超えるeコマースストアが1.8兆米ドルも売り上げた。2016年、この業界は15%ほどさらに成長すると見込まれている。

多くの人の期待に反して、このような成長をもたらしているのは世界中で誕生しているニッチなオンラインストアだ。その多くは、デジタル世界への進出を目指して事業機会を掴もうとしているオフラインの小売店である。ただ市場全体は成長しているとはいえ競争は激しいため、中小プレーヤーは世界的なマーケットプレイスでの競争に向けてオンライン販売とマーケティングにおいて肝となる要素を素早く学ばなければならない。

Compass は2015年6月、最新の「Analyst as a Service」アプリケーションを試していただけるよう複数のeコマース企業向けのゲートウェイを開設した。Compass を利用している企業は1,400社を超えており、これらの企業の2015年における売上合計は25億米ドルだった。

以下、これらの企業がいかにして最も重要な計数実績を残したかについて概観する。 平均的な企業との比較を示すことにより、貴社のビジネスにとって重要な洞察を提供し、2016年が素晴らしい年になるよう計画立案に役立てていただければ幸いである。

※ 貴社のビジネスにカスタマイズされたベンチマークは、Compass.coのダッシュボードで利用できる。全てのベンチマークは販売商品、顧客セグメント、価格等に基づいて決められる。

1. Google Adwords は、コンバージョン率の最も高い顧客獲得チャネルだった

2015年、Google Adwords と Facebook Ads が最もよく利用された顧客獲得チャネルだった。これらの費用は高くつくものの、Google Adwordsと Facebook Adsのコンバージョン率は最も高かった。Google Adwords の方が高く、平均コンバージョン率は1.75%、続くFacebookは1.42%だった。

オンライン事業をスケールさせるのに有料チャネルは最も簡単で信頼できる手段である。ここでの課題はコンバージョン率を高く保つ一方で、獲得一人あたりの費用を低くすることである。そのため、チャネルの専門家を採用することのほか、ヘッドラインや広告イメージからランディングページ、購買フローに至るまであらゆるテストを行うことの重要性を過小評価してはいけない。

新しい手段でしかも実績をあげられるため、最近の獲得チャネルで実験してみたいと思われるかもしれない。その良い例は Instagram や Twitter Ads だ。

2. 平均コンバージョン率は1.4%、最上位企業は3%

2015年におけるウェブサイト訪問から購入取引までの全体的なコンバージョン率は1.4%であったが、最上位の企業は3%であった。購買行動は年間での時期が重要な要素となる(下のグラフを参照)。当然ながらクリスマスのある12月はeコマースにとって最もコンバージョン率が高い時期である。3月と7月は低いが、このような季節変動は業界によって異なることに留意してほしい。

利益を増やすことに関しては、コンバージョン率とは低い場所に実っている果実のようなものだ。収益に対してダイレクトな影響を及ぼすほか、他のマーケティング活動と比較して最適化のための費用が低い。多くのオンライン企業はコンバージョン率最適化の機会を生かしていない。なぜならコンバージョン率の30~100%の改善は達成が容易な場合が多いからだ。この重要な計数の改善方法については、「eコマース企業向けコンバージョン率最適化のROI」についての Compass 記事を参照してほしい。

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3. 平均直帰率は57%、最上位企業は35%

直帰率とは、あるページを訪問したのにそのウェブサイト上で何の行動も起こさず去ってしまったユーザの割合のことである。2015年におけるeコマース企業の平均的な直帰率は57%であった。一方、優良企業は35%だった。

一般的に、高い直帰率はユーザの望むものがなかったことを意味している。ユーザが見つけようとしているものとは違うものを店が提供していたか、そのサイトで好ましくない体験をしたときに起こり得る。直帰率はコンバージョン率にダイレクトに反映するので、ひいては売上にも直接的な影響をもたらす。

当社は、御社で最も直帰率が高いページはどこにあるかを特定し、ユーザが逃げてしまう理由を理解するための品質テストとして Google Analytics などの分析ツールを使用するよう推奨している。様々なデザインやテキスト要素を使って問題のあるページにA/Bテストを試行したらどうだろうか。ユーザが期待しているものに対してどのように対処すればよいかがわかるだろう。

4. 平均的な月間再購買率は9%、最上位企業は16%

間違いなく、顧客がどれほど満足しているかを評価するための最も重要な計数である月間再購買率は2015年におけるオンライン小売店について言えば相対的に高い9%ほどであった。上位企業の再購買率は16%であった。

再購買率とは、どれほどの購入取引が既存顧客からなされたかを示している。新規顧客を獲得するためにはかなりの費用を必要とするケースがあるため、一人一人の顧客からどれほどの売上をあげられるかで収益性は大きく左右される。

オンライン小売店は最初の購買がなされた後、その顧客に再度購入してもらうためにあらゆる働きかけをするのが重要である。その例として加入者向けのオプション提供などが挙げられる。再購買率を高める方法についてもっと知りたい場合は、「いかにして収益性の高いビジネスを構築するか—顧客の生涯価値(LTV)に関する詳しい説明」という Compass 記事を参照してほしい。

2015年、御社の事業はこれまでに述べた計数で平均を上回っていただろうか?どの分野の業績が低調だっただろうか?最高の機会が期待できる分野で改善を行い2016年をスタートさせよう。貴社の目標はベンチマークとなるべきものであり、前月よりも優れた実績を常にあげられるような取り組みをすべきである。

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ウォータールー~カナダの小都市が世界的なスタートアップハブになりえた理由(3/3)

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本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる 教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステム がトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。…

本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる 教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステム がトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。

前回からの続き>

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中心部の King Street を南側へ臨む。(Image Credit: Wikipedia

資金調達

カナダ、および一般的に他のパフォーマンスの低いエコシステムが大きなイグジットを生み出せない第二の要因は、地元のファンディングの差である。

最も重要なこととして、プライベート投資家からシードファンディングを調達できているのは、きわめて少数のスタートアップに過ぎない。図7では、シリコンバレーを100%としたときの、各エコシステムがシードファンディングを調達できている割合である。アメリカの上位のエコシステムはシリコンバレーに近い数値である。しかしウォータールー、トロント、そしてバンクーバーははるかに低い。全体的に見てどのラウンドでも、資金調達できているスタートアップは、シリコンバレーと比較すると、最高でも1/3となっている。

各ラウンドでの解約(契約解除)率は、カナダのトップのエコシステムのほうがシリコンバレーより高いこともあり、シードファンディングの差が、シリーズAおよびシリーズBのファンディングを調達できるカナダのスタートアップが極めて少ないことに結びついている。1/5から1/9という数値の低さである。

ニューヨーク、ロサンゼルスおよびボストンの平均と比較すると、カナダやウォータールーのスタートアップで、各ラウンドで資金調達できているのは、1/3から1/5となっている。オースチンのパフォーマンスはニューヨーク、ロサンゼルスおよびボストンの平均に近く、それが意味するのは、シードファンディングが行われる率が低いのは、小さいエコシステムの宿命というわけではないということだ。

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図7 資金調達できるスタートアップの割合(シリコンバレー比)

グラフ左から、シードラウンド、シリーズAラウンド、シリーズBラウンド。
グラフのバーは、左から順にトロント、バンクーバ、ウォータールー、オースティン、ニューヨーク市・ロサンゼルス・ボストンの平均。

これらの調査結果は、専門家の発言(およびデータ)であるところの、

  • A)ウォータールー発のアイデアは他のエコシステムより質が高い、
  • B)ウォータールーの技術人材の質は北米一である、

……とはまったく異なっている。ウォータールーは優れたビジネスアイデアと優秀な技術人材を生み出しながら、シードやシリーズAファンディングを受けられるスタートアップは少ないのである。

これらすべてが、重要なファンディングの差に行き当たる。それをさらに補強する調査結果として、ファンディング額の中間値および平均値を分析したものを図8および図9に示す。ウォータールーやカナダのスタートアッがシードおよびシリーズAラウンドで調達できている額は、アメリカのスタートアップより小さい。シードラウンドにおいて、ウォータールーはアメリカトップ4のエコシステムと比較して、平均で25%、中間値で76%も低い額しか調達できていない。

ここからわかるのは、シードラウンドでの国内でのファンディングにおける深刻なギャップである。シリーズAラウンドでの差分はそれほど重要ではなく、ウォータールーで見ると平均で33%低く、中間値は同じになっている。しかし、回帰分析からわかることは、ウォータールーでのスタートアップは、シリーズAラウンドで国内投資家だけに頼る場合、ひとつでも海外投資家を含めている場合と比較して250万米ドル少ない額しか調達できていないということである。これがシリーズAにおける国内ファンディングの差である。

しかしここで注意しておきたいのは、カナダのエコシステムにおけるソフトウェアエンジニアの給料が低く、アメリカの半分以下ということである。これはシリーズAの調達額の低さを補うことが可能で、シードラウンドでの額の差も、いくらかは生めることができる。これはアメリカ以外のエコシステムでしばしば当てはまることである。

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図8 シードラウンド 資金調達額(米ドル)

 

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図9 シリーズAラウンド 資金調達額(米ドル)

ウォータールーのような中小規模のエコシステムにとっての鍵は、海外顧客とグローバル市場のニーズを見据えた顧客獲得活動であり、それは成長のためのチームを、選択した海外市場で立ち上げることで可能になる。アメリカ市場をターゲットにするのであれば、経験豊かなアメリカ人セールス、マーケティング人員を活用し、彼らの知り合いリスト、持っている交流関係や、身に着けている仕事のプロセス、カルチャーを持ち込んでもらうのだ。これらの行動は、スタートアップ企業自らが行えるものである。

その他のアクションは、エコシステムリーダー、政策立案者その他のステークホルダーの同意や、調整済みの活動が必要になる。彼らが一体になり、国際的なコミュニティを活用し、スタートアップの成長にフォーカスした、アメリカベースの経験豊かなハブやプログラムにファンディングして、スタートアップが「世界を目指す」のをサポートするのである。

他のエコシステムで成功した政策に倣い、政策立案者はシードおよびシリーズAファンディングにおける差分の解決をサポートできるはずである。たとえばマッチングファンド(一定割合での資金援助)や、特定のラウンドに特化した税額控除プログラム、また、リミテッドパートナーシップとして、エコシステム内にオフィスを構えようとしている国内ファンドおよび海外ファンドに投資をするようなことが考えられる。

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ウォータールー大学(Image credit: University of Waterloo)

別の面からの解決策として、近傍の都市と融合し、より大きく世界的に競争力のあるスタートアップ・エコシステムを形成することである。たとえばサンフランシスコとサンノゼ、ロンドンとケンブリッジがあげられ、いずれも似たような地理的距離があるが、電車やバスといった共通の公共交通機関を用いて、そのハンデを緩和するのに成功している。

同様に重要なこととして、ステークホルダーは2都市に対する活動を完全に統合しなければならず、さらにその後は、コミュニケーションも同様である。これにより、世界のスタートアップコミュニティは、2都市を真に統合されたエコシステムと認識することになる。例えば、トロントとウォータールーが統合されたエコシステムとなれば、国内外の起業家や投資家にはより魅力的に映り、規模やファンディングのハンデを解決する助けとなるだろう。

ウォータールーについて具体的に言えば、エコシステムとスタートアップの成長を加速させるために、ステークホルダーが注力すべきことは以下である。

  1. アメリカ市場およびグローバル展開にあわせてゆき、問題を解決する
  2. ファンディングのギャップを、特にシード段階において、そしてシリーズAにおいても縮めていく
  3. トロントとウォータールーを統合し、より大きく、世界的にも魅力あるスタートアップ・エコシステムにする

ウォータールーのトップクラスの技術人材および、革新的技術やスタートアップを生み出す飛びぬけた生産性を加えていけば、これらの問題を解決することで、高額のイグジットやユニコーンが生まれる可能性があり、結果として世界中の起業家、資金、その他のリソースをひきつけ、エコシステムをより速く、ノンオーガニックの成長率で伸ばすことが可能になる。より重要なことに、その結果として、同地域を、経済成長と雇用創出のより強力な動力源とすることができるのである。

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ウォータールー~カナダの小都市が世界的なスタートアップハブになりえた理由(2/3)

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本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる 教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステム がトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。…

本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる 教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステム がトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。

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中心部の King Street を南側へ臨む。(Image Credit: Wikipedia

スタートアップパフォーマンス

ウォータールーおよびその他のカナダのエコシステムは、エコシステムの問題と、結果として得られる指針を検証するための良い事例である。

図2と3において、評価額の成長率でみたカナダのスタートアップのパフォーマンスが、トップクラスのエコシステムと比較して、はるかに~63%も低いことを明らかにしている。この評価額成長率の低さが、大きなイグジットやユニコーンの少なさ、または存在しないことの一因となっている。この問題は、パフォーマンスの低いエコシステムにおしなべて共通のものである。例えばオースチンは2015年のグローバルランキングで14位であるが、スタートアップ評価額成長率ではシリコンバレーより62%低くなっている。

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図2 ファンディング評価額の推移(シリーズA以降)
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図3 イグジット評価額の推移(シリーズA以降)

ウォータールーやその他のカナダのエコシステムで多額のイグジットやユニコーンが現れないことの原因となっている2つの重要な要素があり、それはパフォーマンスの上がらないエコシステムに共通の問題でもある。

グローバルマーケットへのリーチ

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ウォータールー大学(Image credit: University of Waterloo)

第一に、売り上げの成長率がより低いために、スタートアップ評価額の成長率は低くなる。その根本原因はグローバルマーケットへのリーチの差であり、(Steve Blank 氏が定義するところの)顧客開拓と増加に付随してくるものである。

スタートアップの最終目標は、急速に成長して市場で支配的ポジションを追及することであるというのは、多くが認めるところであり、投資家は特にそれを強調する。市場を独占していない場合、または製品やサービスが強いネットワーク外部性を有し、したがって「独り勝ち」となりやすい性質である場合はなおさらである。この目標を達成するためには、スタートアップは世界中から注目されるきっかけを作らねばならず、実際には、アメリカ市場を最重要視することでそれを達成できることが最も多い。Reid Hoffman氏が(Wiredに)記しているように、シリコンバレーでの成功の秘訣は、スタートアップでなく、スケールアップなのである。

アメリカ市場は100マイル以下の距離にあるのだから、ウォータールーのスタートアップはそのチャンスを最大限活用し、アメリカ市場に集中し、地理的に離れているその他のエコシステムより早く参入することを予想する人もいるだろう。しかし、ウォータールーのスタートアップの顧客は、平均すると海外顧客が半分しかいない。それに対して、アメリカ以外のエコシステムでありながらより高いパフォーマンスを発揮しているテルアビブは、74%である。テルアビブのスタートアップは、当初からグローバルを目指すのである。

図4はこの問題をより明確にあらわしており、グローバル展開に注力するスタートアップ(半数以上の顧客が海外顧客であることが定義である)の割合は、テルアビブがウォータールーを14%上回っており、カナダのトップ3エコシステム(モントリオール、トロント、バンクーバー)よりも10%高い数値である。

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図4 グローバル展開に注力するスタートアップ


グローバル展開への注力度合いは、スタートアップの売上の成長に大きな影響を及ぼす。図5は、グローバルに注力する全世界のB2Bスタートアップが、他より2.1倍の速さで成長していることを示している。

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図5 B2Bスタートアップ(アメリカ、カナダを除く)の、海外顧客割合で分類したときの売上成長

図6は、海外顧客比率と売上の関係が、カナダのスタートアップでも同様であることを示している。具体的に言えば、北米で最も経済的に反映している都市のひとつであるトロントを優先していると、スタートアップのパフォーマンスは低くなるということだ。

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図6 カナダのB2Bスタートアップの、海外顧客割合で分類したときの売上成長

しかし、興味深いことに、グローバル展開に注力する(アメリカとカナダを除く)世界中のスタートアップが、非グローバル展開のそれらより110%速く成長しているのに対して、カナダではその差が60%でしかない。言い換えれば、カナダのスタートアップは、地元よりグローバル顧客に注力することを選んだ見返りで得られる収穫が、他国のスタートアップより少ないわけだ。

なぜこのようなことが起きるのか?

世界中のスタートアップおよび専門家へのインタビューからわかったことは、カナダのスタートアップがアメリカ市場に攻め入るときに、他と異なる、効率の低い方法をとっているということである。アメリカと同じ言語で、アメリカの大都市に近いこともあり、また、かかるコストの低さも影響して、カナダのスタートアップはたいてい、カナダからアメリカ市場に参入しようとする。彼らはセールス、マーケティング、ビジネスの基盤をカナダの本社におき、アメリカ人やアメリカ在住のカナダ人を雇うことはあっても、チームはカナダ人のエグゼクティブによりマネージされている。

カナダのスタートアップは、テルアビブや他のパフォーマンスが高いエコシステムから、セールス、マーケティングチームを直接アメリカに設け、経験豊富なアメリカ人エグゼクティブとアメリカ人従業員を中心に据え、ビジネスカルチャーやプロセス知識、顧客やパートナーとの価値ある関係性を持ち込んでもらうやり方を学ぶべきだろう。アメリカでのビジネスのコストは高くなるが、得られる純利益は結果として、カナダのスタートアップが成しえなかった、より大きく迅速なイグジットを可能にし、エコシステムの成長を加速することができる。

(続編はこちら

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ウォータールー~カナダの小都市が世界的なスタートアップハブになりえた理由(1/3)

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本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステムがトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。 C…

本レポートはCompass(元 Startup Genome)の最新レポートであり、エコシステム・ライフサイクルモデルを最初に紹介し、世界中のスタートアップとエコシステムのリーダーが活用できる教訓を提供している。2015年グローバルレポートのために編纂された膨大なデータを用いてエコシステムを深く解析した本レポートは、中小のエコシステムがトップクラスのそれらと対等に戦うための指針を提供している。

Compass.coサイトで貴社の成長性の指標を即座に知ることが可能である。こちらのリンクを参照されたい。

レポート全文はこちらのリンクからダウンロード可能である。

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中心部の King Street を南側へ臨む。(Image Credit: Wikipedia

スタートアップ革命は世界的に起きている現象である。スタートアップが世界中で雇用創出と経済成長を加速させる主役となっているのに対して、大企業は資産に対する利益の低下を補うために、雇用を減らし続けている。

しかし、多くの都市はスタートアップ・エコシステムの成功の仲間入りをすることに難儀しており、世界から起業家や投資家を呼び込む競争で多くの困難を強いられている。彼らはシリコンバレーのような、トップクラスのスタートアップ・エコシステムの成功談の多さに惹かれて集まるものである。

幸いなことに、いくつかの中規模の都市は、「殻を打ち破る」ことができ、先頭に踊り出ている。人口200~300万規模であるテルアビブのスタートアップ・エコシステムは、世界5位にランクインしており、オースチンおよびバンクーバーも、トップ20の一員である。どれも目覚しい功績といえる。

<関連記事>

現実世界のダビデとゴリアテといえるのがカナダのウォータールー地域であり、人口50万人に過ぎないのに、2015年のグローバルスタートアップ・エコシステムランキングで25位にランキングされている。ウォータールーのスタートアップ密度はシリコンバレーに次ぐ2位であり、3位以下を優に50%上回っている。このような小規模の都市が、リオ、アトランタ、ローマといった10~30倍の規模の都市と争えるのだろうか? 革新的な技術およびスタートアップを生み出せる生産性や効率はどこから来るのだろうか?

ここでウォータールーから得られる教訓は、スタートアップ・エコシステムと経済の成長を目指す世界中のステークホルダー、つまり投資家、ビジネスリーダーから、政策立案者、経済学者の誰にも意義のあるものである。

ウォータールーのトップクラスのタレント、コミュニティの深い理解、比肩しがたいステークホルダー間の協業やコーディネーションが、成功の要因となっている。ウォータールーが、以下に説明するような、スタートアップが「グローバルを目指し」成長していくため、そしてファンディングの差を埋めるための(パフォーマンスが低いエコシステムに共通の)課題を解決することができるなら、世界に通用するサクセスストーリーとなるだろう。

技術人材

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ウォータールー大学(Image credit: University of Waterloo)

ウォータールー地域は、トップクラスの才能の技術者を輩出することで世界中で評価されてきた。世界一だという人も多い。それにより、都市の規模に不釣合いなほどに多数の革新的な技術やスタートアップが生まれ、世界でも最大規模の企業、名前を挙げるならGoogleなどの研究開発センターが設立されていった。このような実績のもとになっているのは、同地域が高レベルの教育、特にウォータールー大学などを設立してきたことである。

シリコンバレーの有名なスタートアップアクセラレーター、Y Combinator の共同創業者である Paul Graham 氏は、2013年に次のように述べている。

ウォータールーでは何かが起きています。応募してくる学生の中で、他のどの大学よりも、ウォータールー大学の学生は優秀なのです。

同大学の協業プログラムはそのひとつの要因であり、学生は最長2年間の就業経験をつんだ後に卒業していく。強い起業家精神を持つ同大学の卒業生は、シリコンバレーで雇用される数が、スタンフォード大学に次ぐ2位である。

同地区のエコシステムの高いパフォーマンスはまた、エコシステムのコーディネーターとしてのイノベーションセンター、コミュニテック(Communitech)によるところも大きい。これはアクセラレータープログラムや、スタートアップその他の組織がインキュベーターを見つけるためのスペースを提供したり、非公式、公式のメンタープログラムの提供も行っている。

エコシステムのパフォーマンス

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ウォータールー市役所(Image Credit: Wikipedia

ウォータールー地域は、誇るべき多くの偉業を成し遂げてきたが、パフォーマンス指標は、エコシステム価値、アウトプット(スタートアップの数)の両者において世界トップ20から転落している。また、成長指標2.4というのも、世界平均の2.35よりわずかに高いだけである(世界最速で成長するエコシステム、ベルリンを10としたスケール)。

これらの数値が重要なのはなぜか? グローバル・スタートアップ・エコシステムランキングのための調査でわかったことは、スタートアップ・エコシステムについていえば、大きいことは良いことだ、ということである。より多くのスタートアップ、リソース、そして経験が、スタートアップ・パフォーマンスを高め、イグジットをより大きくしている。結果として投資家、起業家、そしてタレントがエコシステムにひきつけられてゆき、成長を加速するという、成功の好循環を引き起こすのである。

当然、中小規模のエコシステムのリーダーや政策立案者は「エコシステムが好循環を生み出す最初のきっかけはどうすればできるでしょう? 我々はどうしたら成長を加速できるでしょう?」と聞いてくる。

その答は、エコシステムの各段階においてすべて異なっており、Compass の 3年にわたる調査により、エコシステム・ライフサイクルモデルを構築し、課題と解決策を説明することが可能になった。

エコシステム・ライフサイクル

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図1: エコシステム・ライフサイクル

スタートアップ・エコシステムは当初、アクティベーションの段階において、「追いつくための成長」により形成されていく。オーガニック(自社内の)リソースの生産性は、世界最良のエコシステムのステークホルダーとの交流により、ノウハウを持つタレントをひきつけることで成長していく。この段階においては、地元のステークホルダーは、世界的な成功例から加速度的に学んでいく。テクノロジー・スタートアップで具体的に言えば、シリコンバレーのスタイルのベンチャー投資や、Steve Blank 氏のカスタマー開拓手法である。

エコシステムが、最良の成功例を通してオーガニックリソースを最大限活用するようになると、マイケル・ポーターの言うところの生産性のフロンティアに到達したことになる。世界でもここまで到達できるスタートアップ・エコシステムは多くない。それができたエコシステムは、その州、地域、国の他のエコシステムより多くの、高額のイグジットを生み出すようになる。

このようなイグジットは、エコシステムがインテグレーションの段階に移行するきっかけとなる。ここからは、エコシステムの成長はノンオーガニックの成長率まで加速し、外部リソース(起業家、タレント、投資家)がその地域中、国中から流入し始める。もし国際的にも魅力的なイグジットを生み出したり、ユニコーンが生まれれば、流入は世界中からとなる。スタートアップリソースにとっての、訪れるべき名所となるのである。

時とともに、エコシステムはそのオーガニックリソースだけで可能なサイズより大きく成長していく。エコシステムはマチュリティ(成熟)段階に入り、その成長率は、分母が大きくなり続けるために、低下していくことが避けられない。

このモデルは、エコシステムのリーダーや政策担当者が、モデル各段階においてその成長をさらに伸ばすための行動のためのガイドとなる。アクティベーション段階のエコシステムに対しては、近日発行されるCompassの香港スタートアップ・エコシステムレポートにおいて、エコシステムの発展と成長のための指針を提供する予定である。

エコシステム・ライフサイクルモデルによれば、ウォータールーの成長&魅力指標は、同地域がマチュリティ段階に入ったことを示唆している。より具体的に言えば、成長率と「域内&国内」魅力の分野において、マチュリティの領域の上端部分に位置している。

インテグレーション、マチュリティの両段階では、域内&国内の魅力の分野におけるエコシステムの主要な目標は、非常に大きい、国際的にも魅力的なイグジットを生み出し、スタートアップリソースにとって国際的な名所となるきっかけを作ることでなければならない。この目的を達成するために解決すべき重要な点は、スタートアップパフォーマンスである。

(続編はこちら

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2015年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングが発表

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本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。 世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。 2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシス…

本レポートのフルバージョンは、こちらからダウンロード。

世界スタートアップ・エコシステム・ランキングへようこそ。前回のスタートアップ・エコシステム・レポート発表となった2012年11月から約3年の月日が流れたが、それ以降もスタートアップ・セクターは良いペースで成長を続けている。

2015年のランキングのポイントは、内容を刷新したコンポーネント・インデックスで、世界中の20のスタートアップ・エコシステムの情報をランキングしている。このインデックスは、パフォーマンス、ファンディング (資金調達)、タレント(人材)、マーケットリーチ、スタートアップ・エクスペリエンスの5つの主要なコン ポーネントでランキングしたものだ。

1. スタートアップ・エコシステムにおける、社会経済影響度の上昇

20年前、ほとんどのテック・スタートアップはシリコンバレーやボストンのようなスタートアップ・エコシステムで設立された。今日、テクノロジー起業は世界的な現象であり、シリコンバレーのようなスタートアップ・エ コシステムも世界中で急速に成長を見せている。互いにつながりあった、世界的なスタートアップ・コミュニ ティが形成されつつあり、この新しい経済の世界をナビゲートしてくれる術を誰も提供してくれない中で、我々は頼りになるようなデータや数字を集めた。

2011年9月、起業が活発化し、それが生じる背景についてブログを書いた。現在はその真っ只中にあって、起業家がスタートアップをスケールさせ、これまでにないスピードでユニコーンへと成長させるための、さまざまなツール、リソース、市場条件が整い、またとないタイミングと言ってよいだろう。

世界中のスタートアップ・エコシステムの隆盛は、現在起きている社会経済構造の変換の一つとして見られるべきだ。情報時代のビジネスは経済成長を支配する源となり、これまでの時代の多くの工業やサービスビジネスを自動化したり、別のものに取って代わったりしている。この構造変化の部分々々を別の表現で説明する人も少な くない。Marc Andreessen は Wall Street Journal のエッセイの中で「ソフトウェアが世界を飲み込む理由」と書き、Deloitte の Center for the Edge が半年に一度発表するレポート「Shift Index」、Richard Florida の Creative Class Group は「クリエイティブ・クラスの隆盛」など、このテーマに関して多くの書籍を出版している。

テクノロジー・スタートアップが情報経済で重要な役割を占めることを考えれば、健全なスタートアップ・エコシステムこそが、将来において重要性を増してくる。このレポートでは、起業家、投資家、立案者に対しては、我々が収集分析したデータ無しには回答が難しい重要な問題に答え、一般の人々に対しては、スタートアップ・エコシステムにおける社会経済の重要性が増していることを気づいてもらい、世界中のスタートアップ・エコシステムの発展を加速させたいと考えている。

このレポートの主な目標の一つは、さまざまな業界関係者が、以下のような質問に答えやすくすることだ。

a) 起業家に対して

「新しい会社を始めるとしたら、どこがよいか?」
「準備はできているが、私のスタートアップの2つ目のオフィスはどこに開設すればよいか?」

b) 投資家に対して

「ただ身近にあるというだけで、自分の地元のスタートアップ・エコシステムにのみ投資するのではなく、世界中に投資機会を見出すにはどうすればよいか?」

「新興のスタートアップ・エコシステムに関する情報が無いため、新しい投資機会を見出す上で、どの市場にフォーカスすべきかをどう判断すべきか。」

c) 立案者に対して

「自分の地域のスタートアップ・エコシステムの成長を最大化する上で、どのイニシアティブを優先すべきか?」
「このようなイニシアティブの進展をどのように計測すべきか?」

d) 他のすべての業界関係者に対して

「私のいるエコシステムで、全般的な活気や起業家精神を高めるための最良の方法は何か?」

2. 世界スタートアップ・エコシステム・ランキング2015

難しい話は抜きにして、ランキングと分析をご紹介しよう。

重要な事項として、このインデックスには中国、台湾、日本、韓国のスタートアップ・エコシステムは含まれていない。言語障壁の問題から、我々の力ではランキングに必要な情報を十分には集められなかったからだ。今年後半のランキングには、これらの国々のエコシステムの情報も含めたいと考えている。

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3. 5つの重要な発見

1. エコシステムは互いにつながりあい、スタートアップ・チームはより国際的になっている。

a) スタートアップに対する投資において、地元からではなく世界から出資がなされる割合

トップ20のエコシステムのすべての資金調達のうち37%は、少なくとも一つ以上の他のエコシステムからの投資家を受け入れている。北米においては41%。

すべての投資ラウンドのうち27%は、少なくとも一つ以上の投資家を海外から受け入れている。(北米20%、ヨーロッパ38%、アジア太平洋地域29%)

b) 世界に散らばるスタートアップ・チーム

トップ20のエコシステムのうち、スタートアップの拠点を置くエコシステム以外に設置されたセカンド・オフィスの数(別の場所で設立され、移転してきたスタートアップ)は、2012〜2014年で8.4倍に増加している。

c) 国際チーム

スタートアップにおける外国人雇用者の数は、トップ20のエコシステムで平均29%(シリコンバレーでは45%)。

2. グジット・バリュー

トップ20のエコシステムでのイグジット・グロースの合計数は、2012〜2014年で年間78%増加している(40% は IPO、60% は買収)。

イグジット・バリューの成長率を見てみると、シリコンバレーではこの2年間で47%上昇しており、他のエコシステムではこの値はさらに著しいスピードで上昇している。

ロンドンは同じ期間で成長率が4倍、ベルリンは20倍に成長している(これは主に、Rocket Internet と Zalando による2つのIPOの影響を受けたもの)。

<イグジット・グロース一覧表>

平均より2倍以上の成長を見せたエコシステム
Berlin 20倍
Bangalore 5倍
Amsterdam 4倍
London 3倍
Tel Aviv 2倍
平均より1.5倍以上の成長を見せたエコシステム
Seattle 1.5倍
Austin 1.5倍
Boston 1.5倍
平均的な成長を見せたエコシステム
Singapore 1倍
Vancouver 1倍
比較的穏やかな成長を見せたエコシステム
Los Angeles 0.5倍
Silicon Valley 0.5倍
New York City 0.5倍
停滞気味のエコシステム
Paris 0倍
Moscow 0倍
Chicago 0倍
Sydney 0倍
Toronto 0倍

ヨーロッパ 対 アメリカ

アメリカの上位エコシステムよりも、ヨーロッパの上位エコシステムの方がイグジット・バリューの成長スピードは著しく速い。2012〜2014年で比べてみると、アメリカの1.5倍に対して、ヨーロッパの4.1倍だ。2014年で見てみると、イグジットの規模では、ヨーロッパよりもアメリカは平均34%大きい値となっている。

分析

他のエコシステムが短期的には速いペースで成長しながらも、従来からある8対2の力関係の均衡に向けた収束への期待から、今後数年間にわたり、シリコンバレーは現在の位置に君臨を続けると考えられる。つまり、シリコンバレーは全体のイグジットの30〜50%をつかみ、次なる3つのスタートアップ・エコシステムが全体の30〜50%をつかみ、さらに、次なる16のスタートアップ・エコシステムが残りの20%を分け合う、という図式だ。

3. スタートアップ・エコシステムにおける、VC投資のトレンド

トップ20のエコシステムにおけるVC投資は、2013〜2014年にかけて、全体で95%上昇している。

a) VC の成長

VC 投資の際立ったエコシステムは、ベルリンの12倍、インド・バンガロールの4倍、アメリカ・ボストンの3.7倍、オランダ・アムステルダムの2倍、アメリカ・シアトルの2倍だった。一方、シリコンバレーは2013〜2014年にかけて93%成長と概ね倍の成長を遂げており、CrunchBase によれば、シリコンバレーにおける VC の増加の多くは、アーリーステージよりも、レイトステージのシリーズ B からシリーズ C+ にかけてのものである。この傾向は比較的鈍化している。

b) シードラウンドの増加

この2年間で、シードラウンドの数において、最も年間成長の速かったスタートアップ・エコシステムは、インド・バンガロールの53%、オーストラリア・シドニーの33%、アメリカ・オースティンの30%だった。アメリカ・ボストンのほか、カナダのバンクーバーやモントリオールも、わずかながら値を伸ばしている。

4. 2012年からのランキング変化:勝者と敗者

大きな跳躍を見せたスタートアップ・エコシステムは、ニューヨーク、オースティン、バンガロール、シンガポール、シカゴだった。ニューヨーク市は、常連組の中でも著しい成長を見せ、5位から2位の座へと上昇。テキサスのオースティンは、3年前のランク外の状態から14位の座へと駆け上がった。バンガロールは19位から15位、シンガポールは17位から10位、ベルリンは15位から9位、シカゴは10位から7位へランクアップした。

大きなランク下降を見せたエコシステムは、バンクーバー、トロント、シドニー、シアトルだ。バンクーバーはトップ10位から脱落し、9位から18位へ。トロントは8位から17位へ、シドニーは12位から16位、シアトルは4位から8位にランクダウンした。これらのエコシステムは過去3年間成長はしているが、他のエコシステムほどスピードが速くないため、取り残されてしまう危険をはらんでいる。

2012年以降、完全にランク外に落ちてしまったエコシステムは、チリのサンチアゴ、オーストラリアのメルボルン、カナダのウォータールーだ。サンチアゴは当初は著しい成長を見せたが、すぐにそのピークを見せ始め、メルボルンやウォータールーの成長はそれぞれ、シドニーやトロントといった近接する大きなスタートアップ・エコシステムの影響を被った。性格の似通った小規模なエコシステムはしばしば、近接する大きなエコシステムに人材や資本が飲み込まれる傾向にあるため、成長を続ける上で難しいことがある。

5. スタートアップ創業者における、男女の共同参画

すべてのスタートアップ・エコシステムにおいて、男女の共同参画は不足傾向にある。心理学者や社会学者が 50/50 こそ求めるべきもの、として議論を続ける一方で、男性と女性の創業者割合が同じになりつつあるエコシステムは存在しない(フロリダ州立大学の心理学教授 Roy Baumeister 氏による、この記事を参照のこと)。

概して言えば、女性起業家のトレンドは上昇傾向にある。世界のスタートアップ・エコシステムにおける女性起業家の数は、この3年間で80%増加した。トップ20のエコシステムのスタートアップを見てみると、2012年にはスタートアップの10%に女性起業家がいたが、現在では世界平均で18%に伸びている。女性創業者が30%を占めるシカゴでは、トップ20のエコシステムの中でも女性起業家の割合が最大数を占めている。

4. 2012年から何が変わったか? その背景は?

CrunchBase や他のデータ供給元、60以上のローカル・パートナーの協力により、多くのデータをもとにして、2015年のレポートは利益をもたらした。このレポートは、それぞれのエコシステムに対して、より内容が濃く、より正確な評価を可能にするだろう。スタートアップ・エコシステムがどのように機能し、どのように発展しているか、専門家の視点を反映した、より適合性の高い数学的モデルの開発も実現できるだろう。この高品質なモデルは、より改善されたスコアリング・ランキング手法の礎となるものだ。

今回のレポートでは、(従来版に比べ)我々の計測・分析手法に以下のような変更を加えた。

a) エコシステム価値(イグジットや資金調達における、スタートアップ企業価値の合計金額)の追加

b) より改善された見積数の包含(エコシステムにおけるスタートアップの合計数)

c) パフォーマンス・インデックスから、「人口一人当たりに対するスタートアップの数(スタートアップ密度)」を削除

これらの変更は、テルアビブもそうであるし、カナダのウォータールー地域が55万人しかいないにもかかわらず、比較的高い成長率を保っているためだ。しかも、これらの地域は2012年版よりも2015年版において、ポジションを下げている。ニューヨーク市が高いポジションにつけていることにも説明がつく。

【via Compass】 @startupcompass

【原文】

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Startup Genome:シンガポールはスタートアップ資金は豊富だが、文化的な弱点を抱えている

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【翻訳 by Conyac】【原文】 世界中のスタートアップエコシステムをランク付けするStartup Genomeは、最新版レポートで多くの数字や事実、統計を公開した。しかし、これら都市の起業家たちにとってどんな意味があるのだろうか? シンガポールの場合、しばしば同国で言われてきたことがレポートで裏付けされている。政府や活発なプライベートセクターからのスタートアップ資金が豊富なのにも関わらず、滞…

【翻訳 by Conyac】【原文】


世界中のスタートアップエコシステムをランク付けするStartup Genomeは、最新版レポートで多くの数字や事実、統計を公開した。しかし、これら都市の起業家たちにとってどんな意味があるのだろうか?

シンガポールの場合、しばしば同国で言われてきたことがレポートで裏付けされている。政府や活発なプライベートセクターからのスタートアップ資金が豊富なのにも関わらず、滞った流れは解消されていないようだ。抜本的な改善が見られない限り、シンガポールのイノベーションが生み出す収益は投資額に見合わないままだ。主要なインフラ整備と考えてみれば、例えば高速道路なんかは、それほど利用がないのに巨額の経費を費やしている。

この問題を最初に取り上げたのはStartup Genomeではない。Inseadが発行した昨年のGlobal Innovation Index(世界イノベーションランキング)では、シンガポールの各機関による投資とイノベーションの結果の間に生じている大きなギャップについて特筆している。レポートによると、「シンガポールのイノベーションの効率指数ランクは低く(高収入国で37位、全体では94位)、相対的にパフォーマンスの弱い収益副指数にも現れているように、全体で17位(科学分野収益で17位、クリエイティブ分野収益で33位)である」。

続きを見る前に反論したい。Startup Genomeは様々なソースから500のスタートアップに関するデータを集めている。それは重要なことのようにも見えるが、データの信憑性については不透明だ。Startup CompassとCrunchbaseやAngelistといった公的なデータソースからどうやって情報を集めたのか、配布されたデータはどこまで完全なのか、アジアのスタートアップにはシリコンバレーのスタートアップに比べてどれだけ透明性があるのかがわからない。

しかし、Startup Genomeがデータを精査する間に既に私たちが知り得た情報から洞察してみてはどうか。それが不完全なものであるかもしれないのと同様に、現時点ではStartup Genomeが完全に公式なデータソースなのかもしれない。そしてこれがシンガポールに関するレポートだ。エコシステムは現在20都市のうち17位、資金と才能では高いスコアが出ているが(両方とも8位)、その他は全てほぼ最下位である(16位から20位)。最高水準の中で遅れているというのは悪いことではないが、それは筋が違う話だ。吟味すべきなのは、資金や才能と起業家活動のあいだにあるギャップなのだ。

少し話を掘り下げよう、シンガポールの起業家は特にアーリーステージでは投資も助成金も選びたい放題なのだ。Startup Genomeの定義では、相応の経験と専門性を備え、リスクを軽減する能力があり、スタートアップの成功事例もある有能な人々なのだ。

シンガポールの起業家も仕事熱心だ。1日あたり平均11時間の労働時間はシリコンバレーの9.95時間をはるかに凌いでいる。トップ20のエコシステムの中で、バンガロールを除いて10時間を超えたところはない。

しかしこれ程仕事に打ち込んでも相応な利益は得られていない。シンガポールは起業家全体の活動を測るStartup Output Index(スタートアップ収益指数)で最下位で、パフォーマンスとスタートアップの潜在性を測るPerformance Index(パフォーマンス指数)では19位である。また、設立者の熱意や柔軟性、リスク選好度を測るMindset Index(思考指数)でも最下位だった。総合すれば、これらの指標はシンガポールが飛躍できない根本的な問題、文化的弱点を表している。

私の言葉を信じないでほしい。Plus Eight StarのCEOで設立者のBenjamin Joffe氏に聞いてみよう。彼は「シンガポール人はスタートアップエコシステムの鍵となるインフラとポリシーを理解しています。アーリーステージでは資金は用意されているので、後の段階でグローバルファンドが投資してくれる良い企業を探せばいいのです。まだ何が足りないかって?文化的要素です。リスクを恐れず失敗に耐え、より良い模範と自己PRスキル、そして鍵となる市場への強力なアクセスです」。

シンガポール人は賢い人々である。シンガポールには最高級の教育システムがあり、有能な人材を輩出しており、彼らは自身の行動に誇りを持っている。しかし、奇想天外なアイデアに賭けて、それを数十億ドルの会社にしようというような人が少なすぎる。そして、手厚い政府の仕事や多国籍職業の快適さを好む学者が多すぎる。勇気を持って一歩踏み出そうとする人たちは、シリコンバレーの同業者のような洞察力に欠けている。

最終的には、つまり数の勝負ということになるのだ。ハイリスク選好者を育て、成功できる起業家を育てられる社会が勝者なのだ。

自国の文化的欠損を認識しているシンガポール政府も同じ数の勝負をしている。最近、国務大臣のTeo Ser Luck氏が政府がスタートアップハブとして指定し、起業家がひとつの建物に集まって協働できるBlock 71を視察した際に同行した。

この場所はシンガポールのスタートアップ志願者たちの展示室である。ガレーのような環境は、かつては各国要人を驚かせた。中にはイスラエルのスタートアップエコシステムに多大な影響を与えた書籍を著した有名なイスラエル系アメリカ人ジャーナリストもいた。

しかし、Block 71は解決策の一部に過ぎない。ある起業家が言うように、コミュニティがあるためには環境は想像性が伴わなければ生かされない。Block 71は居住者の基準を上げることしかできない。

政府もこのことを認識しており、将来への展望から、最近中学生以降に対して起業家精神を向上させるための新しいプログラムがローンチされた。理にかなったわかりやすいプログラムだが、失敗した場合は企画が悪かったのではない。やり方が悪いのだ。

それでも、シンガポールに欠点があっても同国は適切な方向に向かって進んでいるようだ。起業家精神はこれまで以上に擁護され、鉄板碗(すべての国民に保障された基本的生活水準)という考え方は今も魅力的である一方で、シンガポール人は今や同僚や家族のサポートを得て夢を追うための適切でより大きな環境を手にしている。

シリコンバレーは世界一のスタートアップエコシステムという地位を固めるのに何十年もかかったが、それと比較すると、シンガポールは幾度もの悪い出だしを経験した後に、その旅路を6年前に始めたばかりだ。そんな短期間でトップ20にランクインしたのは悪い結果ではない。

Startup genomeの詳細を、チェックしてみよう。

【via SGE.io】 @SGEio

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