2020年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングが発表——東京が初のランクイン、ベルリンやシンガポールを抑え15位に

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アジア太平洋地域のスタートアップ経済は、世界中でテックの民主化が進む中で「大きな転換期」を迎えていると、アドバイザリー・リサーチ会社の Startup Genome と Global Entrepreneurship Network (GEN)の調査が示唆している。

「Global Startup Ecosystem Report 2020」
Image credit: Startup Genome、 Global Entrepreneurship Network (GEN)

「Global Startup Ecosystem Report」2020年版によると、テックユニコーン(時価総額10億米ドル以上のスタートアップ)の数が増加していることからもわかるように、テック経済へのアクセスは過去最高水準にある。

「ユニコーン」という言葉が CowboyVC の Aileen Lee 氏によって広まった2013年には、そのような評価額の企業を輩出したのは世界の4つのテックハブのみだった。現在では、10億米ドルの価値を持つスタートアップが少なくとも1社存在するエコシステムは80以上に上る。

エコシステムランキングのトップ30都市
(クリックして拡大)

同レポートによると、アジア太平洋地域はこの民主化の大きな恩恵を受けた地域の一つとして浮上しており、2012年には世界トップのスタートアップエコシステムの20%を占めていたアジア太平洋地域が、今年は30%にまで増加している。

今年の世界のスタートアップエコシステムトップ30には、いくつかの大きな動きが見られる。まず、研究開発の大国であるソウルと東京がランクインした。一方、中国は北京、上海、深圳、杭州の4都市がトップ30に入っている。3年前には中国から2都市しかランクインしていなかった。

インドでは、トップ30にいたバンガロールにデリーが加わり、また、オーストラリアからはメルボルンがシドニーの次点としてリストに入った。したがって、好調を維持しているシンガポールと香港の2つの市場に、より多くの地域的な競争相手が誕生したことになる。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は、この成長を阻害する可能性のある新たな問題を提示した。

もしこのレポートを2019年12月に発行していたら、世界のスタートアップ経済の状況に関するレポートはそこで止まっていたかもしれない。しかし、新型コロナウイルスを引き金に経済危機が発生し、1929年以来の最悪の世界的な景気後退となり、スタートアップ経済はその影響を大きく受けている。

Startup Genome と GEN のデータによると、この危機はスタートアップに資本と需要という2つの面で大きな打撃を与えた。この調査によると、10社中4社のスタートアップが3ヶ月分以下の運営資金しか持ち合わせていないことが判明している。これらの企業が追加の資金調達ができなければ、その期間内に破綻する可能性がある。

今回は投資家も慎重になっており、4社中3社が資金調達プロセスに支障をきたしている。この中には、感染拡大が発生する前に投資家からタームシートを受け取っていたスタートアップも含まれる。VC の資金調達総額も世界全体で劇的に減少しており、2020年の最初の3ヶ月間には20%減少している。

東京は初ランク入りで世界15位
Image credit: Startup Genome、 Global Entrepreneurship Network (GEN)

同レポートによると、需要面では感染拡大以来、スタートアップの約72%が収益の減少を経験しており、平均的なスタートアップは収益が32%減少していることがわかる。これらの影響により、60%以上のスタートアップが従業員を解雇したり、給与を削減したりしている。これらの人員削減はダイレクトセールスやマーケティングから研究開発やエンジニアリングに至るまで、さまざまな職種に広がっていた。

スタートアップがこの危機を克服して立ち直るためには、世界のテック経済が重要な役割を果たす必要があると、この研究は示唆している。同レポートは、Kauffman とスタンフォード大学ビジネススクールの調査を引用し、経済における純雇用創出の大部分はスタートアップによるものだとしている。

これを補うためには、政府は従来企業と同様に、スタートアップを支援して救済しなければならない。また、スタートアップの雇用は、従来の中小企業の雇用と比較して、政府の救済プログラムが拠出する費用も低く抑えられているとレポートは指摘している。

従来の中小企業や航空会社のような伝統的産業を支援してきたのと同じように、テクノロジー経済を支援するという、経済発展のための新しい規範が必要だ。エコシステムが過去10年間の進歩を失わないように、今すぐにでも投資を実行するする必要がある。

【via Tech in Asia】 @Techinasia

【原文】