不妊治療領域へのスタートアップ投資、5年間で約4倍に

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ピックアップ:Octopus Ventures pinpoints huge innovation opportunities in fertility treatment

重要なポイント:ロンドンを拠点とするベンチャーキャピタル、Octopus Venturesによると、不妊治療関連のスタートアップ企業に対する世界のVC投資は2014年から2019年の間に約4倍に増加しており、この期間の投資総額は22億米ドルに達しているという。

詳細情報:同調査によると、投資総額だけでなく同セクターの総ディール数においても、2014年の47件から2019年には97件と約2倍に増加している。資金調達ラウンドの規模も同様に増加しており、2014年には410万米ドルだった平均ラウンド額は、2019年には773万米ドルに達している。

  • しかし、22億米ドルという不妊治療領域の投資総額は、同期間にVCが医療記録システムに投資した70億米ドルに比べれば小さい数字に留まっている。また、遠隔医療や大麻関連のスタートアップも、同期間に不妊治療企業の2倍のVC投資を受けている。
画像出典:Octopus Ventures
  • IVIの記事によると男女ともに不妊率は60年前から上昇しており、NHSの調査によると英国では7組に1組のカップルが妊娠しにくいと言われている。
  • 日本においても、国立社会保障・人口問題研究所(2015年)の第15回出生動向基本調査によると、5.5組に1組の夫婦が不妊に悩んでいると言われている。さらに、ICMARTの2016年の調査によると、体外受精治療を受ける患者数は日本が世界で一番多い。
  • Octopus VenturesのFuture of Healthチームのアーリーステージ投資家であるKamran Adle氏は、次のようにコメントしている。

出生率が低下し続ける状況において、不妊治療の需要も増加の一途を辿るでしょう。しかし、治療を希望するすべての人が、治療にアクセスできるわけではありません。より安価で拡張性の高い新たな治療法を実現する技術やサービスへの期待とともに、不妊治療領域には今後数年の間に大きなチャンスがあると考えています。

背景:日本やアジアのフェムテック・スタートアップ支援やコミュニティ育成を行う「fermata」が今年4月に発表した日本国内のFemtechのマーケットマップによると、日本国内で不妊治療領域に取り組むスタートアップはフェムテック企業全51社のうち13社とされている。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

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