年に一度の GMIC(全球移動互連網大会)が幕を閉じた。PM2.5、鳥インフルエンザ、尖閣諸島問題などの問題が水を差したのか、これまでの回に比べて、日本人や日本企業(スタートアップ、大規模企業を含む)の存在感は、やや薄らいだのかもしれない。他方、中国のネット企業の加勢は顕著であり、巨大な市場を狙って、中国参入を試みる欧米のスタートアップも増えているようだ。
GMIC では、メイン・ステージのパネル・ディスカッションと並行して、数本の分科会パネルやピッチセッションが会場内で繰り広げられるが、それぞれのセッションから優秀企業が表彰される。この表彰の機会は、GMICの中で熱気を帯びる部分で、受賞者の顔ぶれを見れば、その年の中国インターネット界のトレンドが読めると言ってもよい。
Startup Award/明星企業・初創企業成長奨(明星企业・初创企业成长奖)
GMIC G-Startup のシード/アーリーステージ、グロースステージに出場した全スタートアップは、以下に掲載。
行動心理学に基づいたソリューションを提供するスタートアップ。ゲーム開発会社に取っては興味があるだろう。昨日、Traintracks というツールを発表、ゲーム開発会社に提供する。ユーザがなぜ、そのゲームを遊びたくるのか、ということを調べられる、ビッグデータ分析ツール。Hadoop よりも100倍早い。

写真や絵にQRコードを付与し、特定のURLへ誘導する「画像」を創り出すソリューション。元の写真や絵の原型を留めつつ、認識率高いのQRコードを生成できることが特徴。6ヶ月前にリリース、毎月100%のスピードでユーザを伸ばしている。2012年2月に第1世代、2012年8月に第2世代、2013年のQ4には、より写真や原画を留めた表現を邪魔しない第3世代をリリース予定。
Application Award/創新応用奨(创新应用奖)
プレゼンター:Steven Goh/斯蒂芬(mig33)
北京に拠点を置く、Uber 型タクシーアプリ。昔ながらの流しのタクシーは、あなたが手を上げても、せいぜい気づいてくれるのは100メートル手前であり、あなたがタクシーに乗るまで、運転手はあなたがどこに行くかもわからない。嘀嘀打車は自分がタクシーを捕まえたいこと、そして、どこに行きたいかを半径3〜5キロメートル内のタクシードライバーに伝え、現在地に来てもらうことができる。
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Mobile Game Award/創新遊戲(创新游戏)
プレゼンター Jessie Yang/楊娟(InMobi)
Apple 向けゲーム開発環境プラットフォーム。

インディ・ジョーンズのような、熱帯雨林の神殿から抜け出すロールプレイング・ゲーム。
iPhone / Android 用ロールプレイング対戦型ゲーム。
Mobile & Marketing Award/最佳移動消費互動奨(最佳移动消费互动奖)
飛度無限(飞度无限)
北京のゲーム開発会社。「泡面三国」などのゲームシリーズがヒットしている。

Mobile Advertising Innovation Award/最佳移動広告創意(最佳移动广告创意)
1999年に創業した、モバイル企業グループ。デジタル広告プラットフォームhdtMEDIA、モバイル広告プラットフォームhdtMobile、デジタル広告取引プラットフォームhdtDXPを運営。
Mobile Advertising Technology Award/最佳移動広告技術(最佳移动广告技术)
2004年に開設された、中国発のインターネット動画配信サービス。
Mobile Internet Challenge Spirit Award/最具移動互連網開拓競争精神奨(最具移动互联网开拓竞争精神奖)
携帯電話で支払いができる、中国版の PayPal Here / Square。
Member Award/最突出公益事業奨(最突出公益事业奖)
金融企業家を中心に設立された、子供のためのチャリティ募金プラットフォーム。現在は香港に登記されており、香港政府からは非課税対象の認定を受けている。
GMIC が終わった後、北京の繁華街・三里屯(サンリートン)近くの、地ビールレストラン・大跃啤酒/Great Leap Brewery を借り切り、VIP向けのパーティーが開かれたので顔を出してみた。
毎年 GMIC に来てみて思うのは、テック・コミュニティに集まって来る女性達が年々キレイになっていくことだ。おそらく、日本もかつては通って来た道で、急進国においてはよく見られる。もともとは一部のギークのためのものでしかなかったテックが、相応の市場規模を形成するようになり、平均よりも高い労働環境と賃金を供給する。トレンドに敏感な女性達からすれば、「テックは、時代の先端を走る、イケてる業界」ということになり、これが男性を含め新たな起業家を生み出す動力になっていることは事実だ。
東南アジアと違い、中国のスタートアップ・コミュニティが幸運なのは、中国国内にサクセス・ストーリーがあることだ。起業家は、Tencent(騰訊)の馬化騰氏や、Xiaomi(小米)の雷軍氏の雄姿に自らの姿を照らし合わせ、明日の成功を夢見ることができる。今回紹介したスタートアップの中から、明日のTencent(騰訊)や Sina(新浪)が生まれる日が楽しみだ。
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