Asia Leaders Summit 2014: アジア進出を果たしたテック企業経営者が語る、ビジネスチャンスと成功の秘訣

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左から: 守安功氏(DeNA)、國光宏尚氏(gumi)、
佐藤輝英氏(NetPrice.com)、南壮一郎氏(BizReach / LUXA)

これはシンガポールで開催されている、Asia Leaders Summit 2014 の取材の一部だ。

午後のセッション2つ目は、アジアへ既に進出を果たしている日本のテック企業経営者を招いてのパネル・ディスカッションだ。彼らがなぜアジアを目指したのか、アジアに求める投資機会、可能性のある提携とはどのおうなものか、耳を傾けてみることにしよう。

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このセッションのモデレータは、インキュベイトファンド創業者兼ゼネラルパートナーの本間真彦氏が務めた。

パネルで口火を切ったのは、エグゼクティブ向けの職探しサイト BizReach を運営する南氏だ。BizReach は求人する企業ではなく、求職する個人から料金を徴収するビジネスモデルで躍進している。BizReach は RegionUp の名前で東南アジアに進出しているが、南氏にとってこの進出はごく自然なことだったという。

職探しは世界共通の需要だ。世界中で、誰も仕事についての情報を求めている。現在、BizReach と LUXA という2つのスタートアップを同時に展開しているが、すべて自分が今までに経験したことにも基づいている。情報が得られなくて不自由に感じたことを解決できるサービスを、スタートアップとして展開している。

國光氏は gumi の海外展開について、他の典型的な企業とは異なる戦略をとっていると話した。

典型的な企業の海外進出は、海外で開発や製造を実施し、本社のある国でサービスを提供するようなケースが多い。しかし、gumi は違う。日本、韓国、中国、シンガポールなど、海外に子会社を持っているが、それぞれの子会社のミッションは独立している。日本オフィスのミッションは、日本市場を獲ること。韓国支社は韓国市場でトップになること。中国支社は中国市場で…といった具合に。シンガポールだけは特別で、英語が使えるので欧米向けのゲームを開発しているが、彼らは中国語市場向けにも開発ができるという点で非常に便利だ。

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NetPrice.com はインドトルコのEコマース関連スタートアップに投資しているが、これがどのような戦略に基づいているのかについて、佐藤氏は質問に答えた。

どの国にも、Eコマースでは一定のパターンがあることに気づいた。私の考えでは、Eコマースの ‘king’ はマーケットプレース。’queen’ は決済事業者。’prince’ にはアフィリエイトや価格比較サイトなどが挙げられるが、これは関心の分野にもよるだろう。単なる投資ではなく、日本・米国・中国などのEコマース・スタートアップでの成功事例や失敗事例を、新興国のスタートアップに教えて、彼らの成功率を上げるようにしている。

Eコマースは国によって違いがあると言われるが、システムや銀行決済との連携など、重要なノウハウの7割はどの国でも共通だ。ローカルの産業や文化の違いに依存するのは、せいぜい3割程度だ。

DeNA は世界のさまざまなスタートアップに投資したり、自ら進出したりしている。スタートアップに投資するとき何を重視するかを尋ねられ、守安氏は次のように答えた。

急速に拡大するスケーラビリティのあるビジネスであること。タクシー業界の UBER のように、既存のビジネスを塗り替えるようなビジネスであること。また、B2C のスタートアップへの投資に関心を持っている。

これからではなく、既に東南アジアに進出している先駆者からの意見は、説得力に事欠かない。「国によって文化やスタイルはさまざま」とビジネスのローカライゼーションの難しさがしばしば強調されるアジアだが、このパネリスト4人の口からは、「特に難しいことではなく、アジア進出はごく自然なこと」というフレーズが何度も聞かれたのは印象的だった。

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