SumallyがC2C「Sumallyマーケットプレイス」を開始、勝機は135万点アイテムに紐づいた「モノグラフ」にあり

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ユーザーが持ってるもの(Have)と欲しいもの(Want)でソーシャルに繋がりが可視化される「Sumally」を展開するサマリーは4月21日、C2C型のコマースサービス「Sumallyマーケットプレイス」を開始した。iPhoneアプリのみの対応で、これによりユーザー間での商品の売買が可能になる。

出品したいユーザーはアプリから既にSumaly上に登録されているアイテムを指定するか、新たに情報をブックマークレット経由で登録し、さらに出品する所有の商品の写真をアプリを通じてアップロードする。

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売り手側は利用にあたって登録費用や月額費用は不要、現時点で販売手数料も無料となっている。買う側は表示されている商品代金のみの支払で決済手数料などは不要だ。

決済はSumally側で実施し、売り手側への支払は規定のスケジュールで実施される。なお、サマリー代表取締役の山本憲資氏によれば、売り手側の販売手数料は今後10%を予定しているとのことだった。

激戦続く「スマートフォン×C2C」市場

さて、スマートフォンにおけるC2Cコマースの分野は既にレッドオーシャン状態だということはご存知の方も多いだろう。フリマアプリの名前を生み出したFrilはその多くがベールに包まれながらも、伝え聞く運営状況はすこぶる好調だし、メルカリは先日14.5億円の大型調達を成功させ、米国へと市場を拡大させようと邁進している。

国内C2C王者ヤフーも無料化戦略で挑戦者を迎え撃ち、さらにその周囲にはWondershakeのLocariLISTORE、芸能系のSTULIOやサイバーエージェントの運営する母親向けのマムズフリマと、新旧、大小並べるのも大変な状況だ。恐らくさらに小さな立ち上げ組はまだ何かあると思ってやってくるだろう。

この記事でも書いた通り、王者ヤフーの状況からみてモバイル個人間取引の月間の流通額は200億円ほどの規模感が予想される。これを奪うのか、それとも新しい市場を開拓するのか、各社しのぎを削るのが今、という状況だ。

135万アイテムに紐づいた5000万件の「Want」と「Have」データ

Sumallyに勝ち目はあるのだろうか?

私はある理由から大いにその可能性、Frilやメルカリといった先行者に次ぐ存在として成長するのではと考えている。それが彼らの蓄積してきたモノグラフによる「欲しい人」と「欲しいモノ」を繋ぐ仕組みだ。

Sumallyの開始は2011年9月。サービスの公開から約2年半近くをかけてモノとモノの「つながり」をユーザーと一緒に構築してきた。

山本氏に話を聞いたのだが、登録ベースで40万人弱に拡大したユーザーと一緒に作ってきた「モノのデータベース」は135万アイテムにまで蓄積が進み、さらにそこにカテゴリなどのメタ情報に加え、モノとモノを繋ぐ「Want(欲しい)」と「Have(持ってる)」のデータが5000万件紐付けされている状態なのだそうだ。

では一体これが何がを実現するのか?

そう、このモノグラフを辿れば「自分の欲しいもの」が見つかるのだ。図で具体的に説明しよう。

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まず最初に何かタイムライン上に並ぶアイテムに「Want」というきっかけを与える。これは自分の欲しいものに近いものであればかまわない。そうすると関連アイテムが出てくるのだが、ここからさらに欲しいものをどんどんWantしていけばいつかは本当に欲しいものに辿り着く、という具合だ。

アイテムにはそれぞれWantとHaveのデータが紐づいており、「このアイテムを欲しいという人は別のこのアイテムを欲しがるだろう」という関連づけができている。さらにカテゴリなどのメタが整理されているため、理路整然とこの情報が引き出せる、ということなのだそうだ。

実際に欲しいものに出会えるのか試してみた

私も半信半疑ながら、自分が欲しいと「思える」鞄になかなか出会えてなかったので、このSumallyを使って辿ってみた。結果は次の通り、自分好みのものに7ステップほどで出会うことができた。この感覚はAmazonのレコメンドでは味わえてなかったものだ。

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◎手提げの鞄が欲しかったのでとりあえず適当に鞄をWant。次に手提げの形にWant。

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◎目についたよさそうな形にWant、Want。

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◎ブルー系が欲しかったので引き続き目についたのをWant。そうしたら段々欲しいと思えるものが出てくる

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◎ということでようやくよさそうというブランドに到着。

「欲しい人に売れる」モノグラフとC2Cの可能性

現時点ではSumallyで見つけた商品をすぐにマーケットプレースで購入できるわけではない。しかし、欲しいと分かっているのであれば売るのは比較的簡単だ。

今後、爆発的に増える出品数を考えると、このモノとのマッチングの精度というのは大変重要なキーとなる。さらにスマートフォンのような限りある画面インターフェースでは、多くの情報を詰め込むことはユーザービリティを下げることに繋がる。特にファッション系の商品は文字での検索が難しい。

加えて言えば、Sumallyがユーザー数とアイテム数を伸ばし、このモノグラフが確固たるマッチングデータとなれば、それを他社に提供することも考えられるかもしれない。つまり、他のプレーヤーに比較して多くの選択肢を持っているともいえるのだ。

今回、山本氏への取材で得たモノグラフの魅力というのはさらに広がりのあるものだった。それらはまたの機会に書きたいと思う。

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