ECサイトにリアルタイム解析を提供する「KARTE」を開発中のプレイドは7月2日、フェムトグロースキャピタルおよびフェムトスタートアップを割当先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達した金額は1億5000万円で払込日などの詳細は非公開。
またこれに合わせてフェムトグロースキャピタルのゼネラルパートナー、磯崎哲也氏が社外取締役に就任する。同社は調達した資金を元に、現在準備中のサービス開発の体制強化を推進するとしている。
「KARTE」はタグを一行挿入するだけで、従来「1PV、1UV」としか表示されなかったデータをより「人間らしい情報」として表示するリアルタイム解析サービス。下記はそのイメージだ。なお、人物の情報で氏名など個人を特定できる情報については、ECのデータベースと連動するなどのカスタマイズが必要になる。
オンラインでどうしても1トラフィックとして処理しがちだった来店を、よりリアル店舗の感覚に近い状態に可視化することで、充実した「接客」ができるようになる、というのが彼らの考えだ。
「来店ユーザーの一挙手一投足がわかるので、どこを見て、どこを動いたのか、さらにどの商品を買おうとしているのか、というのがリアルタイムに分かるようになるので対面販売風のサービスが可能になる、そういうイメージです」(代表取締役の倉橋健太氏)。
来店してる人が分かったのであれば、次に大切なのはどういうアクションを提供するかだ。実店舗では店員がアプローチすればいいが、ウェブではそうはいかない。代わりに彼らが用意するのがいくつかの「レシピ」と呼ばれるアクションスイッチになる。解析結果からすぐにアクションできるので、例えば初めての来店者にはカードをサイト上にオーバーレイさせて特典を提供したり、通知バーを出したりといったことが可能になる。
現在は特定のEC事業者に対してクローズドでテスト導入を進めている段階で、話を聞く限りでは数カ月内にリリースされるということだった。
さて、確かに面白いサービスだと思う。
対象となるユーザーを聞いてみたところ、結構幅広いECサイト事業者を狙っている様子だった。ただ、例えば過去数回来店しているユーザーがサイトにやってきたことが分かったとして、果たしてそういった幅広いECサイト事業者はこのツールを使いこなせるだろうか、という疑問は湧いてくる。
その点はまだまだ検討中ということではあったが、ひとつのアイデアとして蓄積したデータの有効活用、という話があった。つまり、どういう状況で来店している(何回目、どこで離脱)というデータが蓄積すれば、最も有効なコンバージョンを示せる施策が絞り込める、という話だ。特典の提供やメールでの再来店促進など、いくつかの選択肢が提示されれば選びやすい。
さらにそれを自動化できれば、EC事業者はほぼ何もしなくてもサイトが勝手に「学習」してコンバージョンを上げてくれるようになる、という未来も想像はできる。
ブレイドの創業は2011年10月。倉橋氏は元楽天で、ECに関するマーケティング、解析関連に携わった人物。
実は創業当時、私は倉橋氏に別のサービスで話を聞いたことがあった。ただ、それはどうもうまくいかなかったようで断念、今回のサービスで再チャレンジするまでの間、しばらくECのコンサルティングなどの事業で時を待っていたのだという。諦めずに挑戦し続けたことで手にした数年来のチャンス、健闘を祈りたい。
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