ハンドルの振動で行き先を教える3Dプリンター製の自転車「SOLID」

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自転車に乗っていて困るのが、行き先を確認するのに際し、いちいち止まってスマホや地図を開いて…というアクションが必要になるところだ。自動車のように画面でナビをしてもらえれば一番良いのだが、運転しながら地図を見るのは危険であり、現実的ではない。ヘッドフォンによる音声ガイドも安全性を考えると無理がある。

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そんな問題を解決しようとするコンセプトモデルが「SOLID」だ。これはオレゴン州ポートランドのデザイン事務所「INDUSTRY」と、この道約30年のチタン専門自転車ビルダー「Ti Cycles」が米国の街乗り自転車デザインコンペ「The Bike Design Project」に出品したもの。

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このSOLIDの最もユニークなところは、ハンドルの振動で道案内をしてくれることだろう。目的地の設定を自転車とBluetoothで通信するスマートフォンの専用アプリ「Discover My City」から行うと、右なら右のハンドル、左なら左のハンドルが振動し、目的地へと導いてくれる。これなら地図を見なくても目的地へと向かうことが可能だろう。ただし五叉路などでどういった案内がされるのかは気になるところ。

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SOLIDのもうひとつの特徴は、3Dプリンターを使って作られたチタン製のフレームを使っているところだろう。そうすることで、ボルトやナットが不要になった他、必要な配線や基板は全てフレーム内に納めることができており、外からの見た目はシンプルそのもの。とてもスマホと連動したハイテク自転車というようには見えないだろう。

そのフレーム内部にはGPSのセンサーも埋め込まれており、もし盗難にあっても自転車の位置を探索することが可能だ。従来の外付けセンサーと違い、フレーム内に埋め込まれているため、センサーを破壊される可能性がとても低い。

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ギアはシマノ製の電動シフト「Di2」を採用しており、グリップから操作することが可能。気になる本体への電力供給は、車輪の発電機から行われるため心配無用だ。

このSOLID、残念ながらコンペでの優勝は逃してしまい、すぐに量産化されるということは無さそうである。しかし本コンセプトのように、チタンを使った3Dプリンターによるハイテク自転車製造が可能になったとしたら、この業界が根底から変わるかも知れない。今後の展開に注目してみたい。

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