「IID 池尻ものづくり学校」内に3Dプリンタなどを備えた次世代ものづくり施設がオープン、地域とつながり人材育成や教育にもアプローチ

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ものづくり学校オリックス・レンテックケイズデザインラボの3社が協業して、本日から3Dプリンタ等のツールを備えた会員制施設「プロトタイピングルーム」の運営を開始する。「プロトタイピングルーム」では、3Dデジタルツールの時間単位での貸し出しや試作デザインなどの造形受託を担う。この場所でユーザは製品の試作、開発、製造委託を行うことが可能となる。

入会費は3,000円、2014年11月末日まで入会費無料となっている。月額の会員費は個人だと10,000円で一日の利用可能時間は6時間。法人の場合は20,000円で一日の利用可能時間は8時間となっている。ワンデイの利用も可能となっており、その場合は1日あたり2,000円を支払い、一日の利用可能時間は5時間となっている。

「プロトタイピングルーム」がオープンするのは、2004年に廃校となった小学校を再生活用して作られた「IID 世田谷ものづくり学校(IID)」内。同施設はこれまで産業振興、地域貢献、観光拠点化をコンセプトに、多種多様なジャンルのクリエイターの誘致、イベント開催などを行ってきた。

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IIDは木工房や印刷工房、映像編集室などの設備も擁しており、今回「プロトタイピングルーム」の運営開始に合わせて、新しいものづくりスペース「IID Lab」としてリニューアルする。ものづくり学校の高山勝樹氏は、

高山氏「IID Labはオープンな実験の場。地域コミュニティとの協力し、地域の小学校への呼びかけを行っていくなど、3Dプリンターを利用した児童教育も行っていきたいと考えています。その他にも、企業向けに3Dデジタルツールをビジネスに活用するための教育プログラムの提供や、新しいアイデアを生み出すためのアワードの開催を予定しています。」

と語った。オリックス・レンテックの社長の岡本雅之氏は以下のように語っている。

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岡本氏「これまで計測器、測定器、パソコンのレンタルなどハードウェアに関するソリューションを提供してきました。今後、3D関連の領域にも入っていくことで、中堅中小企業を中心とした「ものづくり企業」への3D技術利用の促進、また人材の育成を促していきたいと考えています。ただ、まだまだ3Dに関しての知見は不十分なので、ケイズデザインラボから知見をもらいながら、先端的な取り組みを展開していきたい。」

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FabCafe等にも関わっているケイズデザインラボの代表、原雄司氏は、他のモノづくり系施設と比較したときのポジショニングマップなども用いながら、IID Labの役割を説明した。

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これまでのモノづくり系の施設は、どちらかといえばグローバルな志向を持っており、ビジネスとしてよりは個人の趣味の延長としての意味合いが強かった。「IID Lab」では製品化などビジネス面での展開を見据え、ローカルに寄ったスペースとして位置づけられる。

原氏「特徴としては、住宅街など人々の生活に近いことが挙げられます。そのため非常にフィールドテストがしやすい。その他にも、地域の中でものづくりを育てる、教育という部分にどう触れていくかが重要です。」

三社による発表が終わった後、「プロトタイピングルーム」の見学が実施された。

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設置されている機器は性能はありながらも、地域住人が利用することにも配慮して使いやすいものが選ばれている。

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すぐ隣の部屋は木工のスペース。

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3Dモデリング用のマウスも置かれている。

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広々としたスペースではないが、いくつかの3Dプリンタ、3Dスキャナーに3Dモデリング用の機材などが設置されており、3Dでのものづくりがひと通り体験可能なスペースとなっていた。

今回の事例が興味深いのは、廃校を利用している点だ。日本全国で廃校が増加している中で、その再生活用の方向として「IID Lab」のような形が検討されるかもしれない。

地域とつながり、人材を育成し、モノづくりを支援していく。「IID Lab」が盛り上がりを見せれば、このフォーマットが全国に広まっていくかもしれない。

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