DeNAが役職や職種を越えて話せる社内版限定の匿名コミュニケーションアプリ「Flat」をリリース

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「Flat」を開発する水谷さん(左)、長井さん(中央)、三橋さん(右)
「Flat」を開発する水谷さん(左)、長井さん(中央)、三橋さん(右)

これまでに「マンガボックス」「ショールーム」「Rumor(ルーマー)」などのサービスをリリースし、「コミュニケーションプラットフォームを作る」ことをミッションに掲げるDeNAのエンターテインメント事業部。そこに新たに加わったのが、アプリ「Flat(フラット)」です。チームの水谷友一さんと長井大輔さん、またFlatのデザインを手掛けるGoodpatchの三橋正典さんにお話を伺いました。

役職や職種を越えて匿名でコミュニケーション

Flat-app-website

Flatは、社内版限定のクローズドな匿名コミュニケーションアプリです。会社のアドレスを持っている人だけが入れる「ルーム」では、会社における役職や職種などの違いを越えて、社内制度からオフィスがある渋谷の美味しいランチまで匿名で様々なやり取りがされています。会社専用のルームに加えて、他社と交流できるのが「ラウンジ」。自分の会社名だけを出して他社と交流できる空間で、既にグリーやミクシィなどが活用しているそう。

友達と敢えて匿名でやり取りすることで本音を語り合うサービスには「Secret」がありますが、それをなぜ会社という環境に持ち込もうと思ったのでしょうか。

「SNS疲れというものに着目していたこと。匿名版Twitterだと言える「Rumor」もその流れで誕生しました。ただ匿名とだけ言われても何を話していいかわからず、ジャンルを特化する必要を感じました。人は会社で長い時間を過ごしますが、みんな少なからずSNSには投稿できない悩みや思いを抱えています。じゃあ、企業内に限定してはどうかと考えてたどり着いたのがFlatです」(長井)

社員同士がクローズドな空間で気軽にやり取りすることでコミュニケーションを楽しむだけでなく、社内の課題を顕在化させて社内環境の改善に繋げる目的もあると話す水谷さん。Flatで繰り広げられるやり取りは、人事や総務にとってヒントの宝庫でもあります。

「DeNAではフリーランチが配られるんですが、残念なことにこれが美味しくないと評判で…。なかなか美味しくならないので、Flatにアンケートを出して賛同の声を集めるような人もいます。人事や総務もアプリ内を見て、社内の状況をチェックしたり課題の特定に活かしたりしているようです」(水谷)

ポジティブな空間を保つための様々な工夫

Flat-LoungeFlatには、匿名であることで文句や愚痴が増えて空間が荒れてしまうことがないような工夫がされています。例えば、投稿を自動的に削除する通報機能。Flatを使うDAUの数パーセントが特定の投稿を通報すると、それが自動的に消えるため、投稿を目視で確認することなく自然とパトロールがされる仕組みです。

ポジティブな空間を生むためにはデザインも大切。Flatのデザインを見てみると、全体的にポップで明るい印象を受けます。

「ラウンジの背景に青を使っているのは、社外に出て会社の人間として発信しているという、冷静になることを促す意味合いがあります。社内でやり取りするルームにはオレンジを採用して明るい雰囲気を出して、全体的に会話が弾むような設計を心掛けています」(三橋)

また、コミュニケーションを活発にするために、トピックのタイトルに加えてコメントを1つ掲載することで会話に参加しやすい状況を作ったり、以前はハートだった投稿へのLikeを社内チャットという場により適切なthumbs upに変えたりするなどして改善を続けています。

自分の会社のことだから、しらみつぶしに見る

長井さんが言うように、ただ匿名で自由に話してと言われても何を投稿すればいいのかわからないし、そもそも投稿するモチベーションが湧かないもの。会社という環境に特化することで、その空間は入った瞬間から自分事されている。この発言は●●部署の人っぽいな、なんて憶測しながら本音でコミュニケーションをとることができます。

Flatの目下のゴールは、企業数とユーザー数を増やして行くこと。マネタイズはその先で、人材系の広告などいくつかの方向性を模索しています。

「Flatのようなポジションのサービスはまだないのかなと思っています。匿名性の良さと、会社の中でコミュニケーションをとるYammerのような2つのいいとこ取りをしたのがFlatです」(水谷)

「コミュニケーションのプラットフォームを作ることが大きな目標なので、DAUを積み上げて行くことでそれを形にしていきたいです」(長井)

数ヶ月間のステルス期間を経て一般にリリースされたFlatでは、以前は盛り上がっている投稿をソートして見る機能がありました。ところが、ほとんど使われなかった。その理由は、盛り上がったトピックもそうでもないものも、全部しらみつぶしに見る人がほとんどだから。それだけ「思わず見てしまう」「気になってしまう」コミュニケーションの空間ができているのかもしれません。

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