編集部注:「要チェック!エンタープライズ系話題5選」は海外エンタープライズ系テクノロジーの話題をまとめた連載。本誌でも執筆中の「インプットをアウトプットするブログ」ブロガーで、B2Bスタートアップ・インキュベーション「archetype」所属の鈴木大貴氏がセレクトしたニュースをお送りします。
マイクロソフトがモバイルBIのDatazenを買収
ビジネスインテリジェンス領域の動きが活発なマイクロソフトがモバイル特化のBIツールを開発するDatazenを買収しました。Datazenはエクセルや社内のDBを情報ソースとしたオンプレミス型のBIツールを開発しており、創業は2002年と古く、このBIツールは3年前にローンチしたのだとか。
Datazenのサービスは当面は継続される模様で、マイクロソフトのクラウド型BIプラットフォームであるPower BIを補完するプロダクトという位置づけでDatazenは活用されていく模様です。
参考記事: Microsoft Acquires Mobile Business Intelligence Service Datazen
二段階認証のDuo Securityが3,000万ドル調達し新サービスをリリース
FacebookやEtsyなどをクライアントに持つ二段階認証セキュリティスタートアップのDuo SecurityがRedpoint Venturesなどから3,000万ドル調達しました。それと同時に新しいセキュリティプラットフォームのリリースを発表しています。
企業のセキュリティ対策はハッカーからの攻撃と合わせ内部からの情報漏えいにリソースを割く必要が日に日に増していますが、Duo Securityの新サービスは企業のIT管理者が「誰がどんな状態のときに任意のアプリケーションにアクセス可能か」を設定することでアクセスをリアルタイムに検知し条件に該当しないものはブロックすることが可能。
そのレポーティング機能も提供されているようです。ちなみに2段階認証の市場規模25億ドルに対し企業がセキュリティ関連に企業が支払う年間のコストは670億ドルにのぼるとのこと。
参考記事: Duo Security Raises $30 Million Led By Redpoint To Protect Enterprises Against Data Breaches
Webメディアを簡単にペイウォール化するCoinTentが100万ドル調達
広告、物販、イベント等トラフィックを集めるWebメディアのマネタイズ手段は色々とあるわけですが、その一つがコンテンツ自体にユーザーから課金する方法。サイトに訪れたユーザーが対価を支払うことで記事が読める方式をペイウォールと呼ぶのですが、日本だと日経電子版や海外だとThe Wall Street Journal等が採用しています。
そんな自分のメディアを簡単にペイウォール化できるサービスを開発するCoinTentがシードで100万ドルを調達しました。CoinTentを自分のメディアに導入すると都度またはサブスクリプションで訪れたユーザーからコンテンツ課金を行うことが可能になります。
参考記事: CoinTent raises $1M to help publishers monetize individual pieces of content
「業務用IFTTT」のTray.ioが220万ドルを調達
業務用のクラウドサービス同士を接続するプラットフォームTray.ioが220万ドルを調達しました。基幹システム、ストレージ、マーケティングツール等企業は様々な業務システムを利用していますが、社員数が増えたり毎回手作業による運用カバーが必須となる場合、システム単一での利用よりもそれらを連携した方が業務の効率化が期待できます。
従来型でシステムの連携を行おうとする場合、カスタマイズや連携ツールの開発が必要なわけですが多大な時間とコストが発生してしまいます。
Tray.ioは自社で利用しているクラウドサービスを連携させるための「ルール」をドラッグ&ドロップで直感的に構築できるエンタープライズ版IFTTTのようなプラットフォームを開発しているロンドンのスタートアップ。導入によりシステム連携構築コストを下げ業務効率を上げることが可能になります。この領域で争うプレイヤーは最近増加傾向でZapier、Mulesoft、Tibco、Snaplogicなどが競合として挙げられれます。
参考記事: Tray.io Raises $2.2M For An IFTTT-Style “Integration Marketplace” To Connect Enterprise Apps
インストアマーケティングのRetailNextが1.25億ドルの大型調達
監視カメラの画像解析やWifiの電波強度といった情報から、実店舗に訪れた顧客の行動を分析するRetailNextがシリーズEで1.25億ドルを調達しました。
前回は2014年7月に3,000万ドルを調達していますが、今回のラウンドにはAmerican Express Ventures、Qualcomm Ventures、Nokia Growth Partnersといった実店舗マーケティングとのシナジーを狙う事業会社系CVCが多く参加しています。RetailNextは調達した資金を活用し、ヨーロッパ、アジア、中南米地域において買収含めた事業拡大を計画しているとのことです。
参考記事: RetailNext raises huge $125M funding for in-store analytics
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待