シンガポールに拠点を構え、モバイル・スポーツ・ベッティングを開発・運営するスタートアップKibowが、サイバーエージェント・ベンチャーズ、個人投資家を引受先として、総額約1億円の資金調達を実施した。
Kibow CEOを務める直江文忠氏は、過去にサンクチュアリという葬儀会社を立ち上げ、バイアウトした経験を持つシリアルアントレプレナー。直江氏が次の挑戦の領域に選んだのが「モバイルスポーツベッティング」だ。
モバイルスポーツベッティングとは
Kibow挑戦しようとしているのは、「スポーツベッティング」と呼ばれる領域だ。スポーツベッティングは、スポーツへの賭け事というとわかりやすい。だが、日本人だと賭け事と呼ばれると抵抗を感じる人も少なくないだろう。
Kibowはすでにフィリピンでのライセンスを取得。現在、本場であるイギリスのライセンス取得に向けて動いている状態だ。
イギリスには、いくつかの大手スポーツベッティングの企業が存在しているが、モバイル化の波には乗り遅れているという状態だという。Kibowはここにモバイルで切り込もうとしている。
直江氏「Kibowは手軽にスポーツ・ベッティングに参加できるプラットフォームを開発しています。現在、2015年中のサービス開始とイギリスのライセンスを予定しており、英国を始め、北米・中国・その他アジア圏への展開を予定しています」
マイナースポーツの支援を
直江氏がモバイルスポーツベッティングを盛り上げることで目指しているのは、マイナースポーツやエクストリームスポーツと呼ばれる領域の振興だ。
直江氏「マイナースポーツやエクストリームスポーツは、これまでコアなファンとマッチングしていなかったために市場として成立するのが難しかった新しいスポーツです。インターネットが発達したことで、コアなスポーツとコアなファンが出会うことができるようになってきました。現在、これらを支援する団体はありません。Kibowでは将来的に彼らを支援していけるような仕組みを作っていきたいと考えています」
Kibowが目指す世界
直江氏はブランディングにも力を入れていくことで、レッドブルやGoProのように既存の産業のイメージを塗り替えていきたいと考えているという。将来的にはKibowはスポーツイベントを開催していくことも視野に入れている。
直江氏「私たちが目指すのはユーザが楽しみつつ、アスリートの支援もできるような自他共栄のベッティングプラットフォームです。
私たちはゲーミフィケーションの力を用いることでこれを実現できると考えています。ベッティングが良いものになるか、悪いものになるかは作る側の思想の問題です。Kibowは思想を大切にしていきたい。
将来、AIによってオッズは平均化されていきます。そうなったとき、人々は利益を追求するだけの賭けではなく、自分がそのチームや選手を応援したいという気持ちでお金を賭けていくようになっていくと思います。
Kibowが挑戦するのはイギリスのライセンスの取得とプラットフォームの開発だ。イギリスのライセンス取得に必要な材料は揃っているとのことなので、結果を待ちたい。
スポーツの楽しみ方を変えるか
モバイルによるスポーツベッティングを実施するために必要となるライセンスが取得できれば、ここには大きな可能性があると考えられる。
かつて「出会い系」といえばマイナスなイメージがついていたものだが、スマホアプリの広まりにより、その価値観も変容してきた。今後、東京オリンピックの開催に合わせて日本のおいても法が整備される可能性もあり、将来的に日本でもスポーツベッティングが可能になることも考えられる。
モバイルスポーツベッティングの話を聞いて筆者の頭に浮かんだのは「CHEERZ」や「Showroom」といったギフティングの仕組みを提供しているサービスたちだ。
これらのサービスでの盛り上がりと、スポーツに熱狂する人々の様子を見ていると、モバイルスポーツベッティングが実現すれば大きなインパクトをもたらすであろうことは想像に難くない。
「eスポーツ」方面の盛り上がりも見ていると、将来、スポーツの楽しみ方に大きな変化が起りそうな予感がある。
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