アドフラウド対策サービスを展開するMomentum、みずほキャピタルやSMBCベンチャーキャピタルらから資金調達を実施

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Momentum

広告配信ネットワーク社向けに、アドフラウド対策サービス「Black Heron」と、広告主、広告代理店向けにアドフラウド対策やアドベリフィケーション機能を提供する第三者配信ツール「Black Swan」を運営するMomentumは5月29日、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、VOYAGE VENTURES、GMOベンチャー通信スタートアップ支援を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。調達金額は総額で約7000万円。

アドフラウドとは広告詐欺を指し、botなどによって無効なインプレッションやクリックを稼ぎ、広告費用に対する成約数や広告効果などを水増しする行為である。近年、オンライン広告市場が拡大すると同時に、オンライン広告における質の管理やブランド保護の観点が重視され始めている。そうしたなか、現在北米などで注目され始めているのがアドフラウド対策によるbotへの広告出稿や広告主の意図しないサイトへの広告出稿を防ぎ、広告主によって意味のある広告をユーザに対して提供するための環境が整備され始めている。

「北米では、インプレッションの10%から20%以上がクリック詐欺やbotへの広告出稿などによる不正なオンライン広告であるという調査もあるほどです。広告主や広告配信ネットワーク社にとって、コンバージョンしないサイトに出稿することによって、不必要な広告費を費やすことになります。

momentumでは、独自の機械学習技術などをもとにした解析システムをもとに、90以上もの判断基準をもとにしたFraudスコアリングによって総合的に判断し、広告出稿先へのフィルタリングを行っています。自然言語処理の研究を行う東工大の研究室と連携しながら、共同開発も進めています」(同社代表取締役社長大久保遼氏)

広告主向けサービスの「Black Swan」は、広告配信時に閲覧ユーザをリアルタイムに解析。botのIPをリアルタイムで特定し、ブラックリスト化することでbotや広告主の意図しないユーザや広告効果を生み出さないユーザに対しての広告配信を防ぎ、広告のパフォーマンス向上を促す。同時に、ブラックリスト化やコンバージョンレートなどの計算を日々学習させることによって、コンバージョンが起きづらいものもフィルタリングにかけることによってパフォーマンスの改善を促していく。

「アドフラウド対策だけでなく、ブランド管理という視点においても、広告出稿先をフィルタリングすることは大きな意味があります。例えば、気付かない間にアダルトサイトなどに広告が出稿されたり、不払いに関する記事のとなりに生命保険のバナー広告が出たり、航空会社の広告が飛行機事故の記事の隣に出稿されたり、ということによって、意図せずに広告主に対してネガティブなブランドイメージを持たせてしまうこともあります。こうしたブランド毀損に繋がる配信は自社調べで配信全体の20%近くを占めており、オンライン広告におけるブランド保護は重要な施策といえます」(大久保氏)

広告配信ネットワーク社向けの「Black Heron」では、広告配信のネットワークサーバー上にAPIサーバーを提供し、リアルタイムで スコアリングされた情報をもとにフィルタリングをかけ、ネットワーク全体のパフォーマンスの向上を促す。

「すでに、一部の国内の大手広告配信ネットワーク社向けにテストを行っており、全体の広告配信の内、インプレッションの約3%から10%以上、クリックの約8%から15%以上がアドフラウドが原因でまったくコンバージョンに結びついていない、ということも判明しました。これらをフィルタリングし、無用な広告出稿を減らすことによって、CPAが約3%から7%以上下がることが予想されています」(大久保氏)

オンライン広告市場は、現在では1兆円を超えた市場となっており、さらに、RTB市場も拡大している。同時に、こうしたアドフラウド(広告詐欺)による被害は増大しており、業界としても大きな課題を抱えている。海外においても、すでにいくかのベンダーが登場しているなか、momentumは日本国内初のアドフラウド対策を軸としたサービスを提供している。

「アドフラウド対策は、いわば守りの経営みたいなもので、地味なものかもしれませんが、今後確実に伸び、かつニーズが高まる市場でもあります。こうしたダーティーケアなサービスに業界全体が目を向け始めてきたということは、それだけ成熟してきているという証拠。アドテク周りがある程度落ち着き始めてきたからこそ、かもしれません。だからこそ、国内で初となるサービスをリリースし、データを蓄積して機械学習を促しながらアドフラウド対策も含めたセキュリティ技術の蓄積を図ってきたいと考えています。

また、仕組みさえ構築できればいますぐにでもグローバルに展開できるサービスでもあります。世界に見ても競合は数多くありません。今回の調達も、このタイミングで事業を大きく展開していきながら、広告主向け、広告配信ネットワーク社向けのサービスを強化していき、新しいオンライン広告配信ネットワークの開発を進めていくつもりです」(大久保氏)

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