編集部注:「隠れたキーマンを調べるお」は、国内スタートアップ界隈を影で支える「知る人ぞ知る」人物をインタビューする不定期連載。毎回おひとりずつ、East Venturesフェローの大柴貴紀氏がみつけた「影の立役者」の素顔に迫ります。
日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」で有名なアイスタイル。女性も数多く働き活躍をしている同社において、様々なプロジェクトに携わり、現在はユーザーサービス本部マネージャーとして、また母として多忙の日々を送っている勝並明子さんにインタビューしました。
大柴:今日はよろしくお願いします。これまでこの「隠れたキーマン」を20社くらい取材してきましたが、初の女性キーマンです!
勝並:そうなんですか。よろしくお願いします。
大柴:勝並さんはアイスタイルにいつ頃入社されたのですか?
勝並:「入社」となると2003年です。ただアイスタイル設立前から「@cosme」のアイデアを吉松(代表取締役社長兼CEOの吉松徹郎氏)から聞いていて、手伝ったりしていたんですよ。
大柴:おぉ、そうなんですね!!
勝並:99年の夏頃、とある友人と食事をしてたんです。その最中に友人の電話が鳴ってその友人は電話に出て話し出したんです。会話を漏れ聞いていると何だかすごく面白そうな話で。
大柴:なるほど。
勝並:友人が今度その電話の主を訪問するというので「私も連れて行って欲しい」とお願いして、その週末に一緒に行くことになりました。そこで初めて会ったのが吉松で、「@cosme」のアイデアを聞いて「これは面白いな」と。でも当時既に社会人だったので、週末だけ「@cosme」を手伝うことになりました。
大柴:なるほど。その頃はどこの会社で働いていたのですか?ベンチャーですか?
勝並:いえ、IHIです。新卒で入社しました。
大柴:少し意外な会社ですね(笑)。
勝並:家族や親戚などがゼネコンなど堅い会社で働いている人が多くて。自分としてはそんなに違和感なく就職したんですよね。入ってみるとやっぱりとても良い会社で楽しかったんです。でも学生時代に周囲にいた人達と全然違うんです。それで「私、ここでやっていけるんだろうか」と少し不安を感じていました。その頃にさっき話した出来事があって、週末だけだけどベンチャーに関わるようになったんです。
大柴:なるほど。ということは学生時代もベンチャーに関わっていたのですか?
勝並:はい。大学の時、電脳隊を少し手伝ってました。川邊さん(現ヤフー取締役副社長の川邊健太郎氏)が大学の先輩だったので。
大柴:あの伝説のベンチャー、電脳隊!!
勝並:学生が集まるオフィスがあって、遊びにいったり、少しだけライティングや、企画などを手伝っていました。
大柴:そうだったんですね…。アイスタイルを手伝い始めて、そのまま入社という感じですか?
勝並:いや、違うんです。最初にアイスタイルに行った時に一緒に行った友人が起業したんです。インターネットリサーチなどWebマーケティングの会社です。その友人に誘われたのでIHIを辞めて、創業メンバーとしてジョインしました。
大柴:そうなんですね。
勝並:その会社のクライアントとしてアイスタイルがいて、私が担当をしました。ドコモ公式サイトなど「@cosme」に関する企画やリサーチなどをやっていました。もちろん他にもクライアントはいましたが、アイスタイルはがっつり取り組んでいたクライアントでした。
大柴:なるほど。
勝並:2003年頃に社長が「本当は人材教育の事業をやりたいんだよね」と事業をピボットすることになったんです。それで一つのタイミングかなと会社を辞めることにしました。吉松にも「辞めるんですよ」と挨拶したんです。そしたら「じゃあアイスタイルに来ればいいよ」って。他にも何社か誘われていたので悩んでたんですよね。
大柴:なるほど。
勝並:数日後、アイスタイルにいる友人から「ウチに入ることにしたんだね」って言われたんです。「え?なになに?」って聞いたら「もう座席表に書いてあったよ」と。
大柴:あるあるですね(笑)。
勝並:「これも縁かな」ってアイスタイルに入社することに決めました。
大柴:アイスタイル入社後はどのような業務につかれたのですか?
勝並:「@cosme」ユーザーを活用した商品開発などですね。これまで外部から関わっていたリサーチ事業を今度は内部から携わるという感じです。美容事業をやっていきたい家電メーカーと一緒に商品開発をするようなものです。最初はそんな業務をしていたのですが、2005年にいきなりイベント担当に任命されまして・・・。
大柴:イベントですか?
勝並:@cosmeエキスポというイベントを開催することになりまして、最初は「○○人収容できる会場を調べて」などのリサーチをするくらいの関わりだったのですが、気がついたら担当に任命されまして。イベント運営は未経験で、いきなりの1万人規模のイベントを任されたのですごい大変でした。
大柴:うわぁ、大変ですね。イベントは成功しましたか?
勝並:はい。大盛況で。
大柴:さすがです。
勝並:イベントも終わってホッとしてたんですよ。その頃アイスタイルは子会社を設立したんです。そのうちの一つでデータ活用やBtoBソリューションを事業とするアイスタイルマーケティングソリューションズという会社ができたのですが、そこのバックオフィスを全て見ることになったんです。管理業務を基本的に一人でやりました。管理だけでなく、営業もやったのですごく大変で。
大柴:そうですよね・・・。
勝並:あまりに忙しくなったので、事務の人を一人採用し、管理全般を任せました。その人、経理業務自体は未経験だったのですが、今では経理マネージャーとなっています。
大柴:アイスタイル入社後、激動の毎日を送っていますね。
勝並:そうですね。ただ2007年から2008年まで産休育休を取って会社を休んでいたんです。
大柴:そうなんですね。
勝並:育休明けて復帰したらアイスタイルマーケティングソリューションズという会社は無くなっていまして(笑)。
それで営業部門にいき、ブランドファンクラブというサービスの事務局管理などをやったりしていました。やっていくうちに改善点も見つかり、また営業の声も聞いたりといろいろやっていたんです。気づいたら営業部門のマネージャーになっていました(笑)。5年ちょっとですかね。半分管理、半分営業みたいな感じでした。去年くらいにモノを作る側に回りたいなと思って、モノ作りのサービスプロデューサーになりました。
大柴:ちょっと吉松社長のことも聞いてみたいと思います。99年に初めて会った時の印象は?
勝並:当時吉松は26歳で、すっごい楽しそうに事業モデルの話をしてくれたんです。一点の曇りも無く、キラキラとしてた。こんなにビジネスモデルやビジョンを楽しそうに嬉しそうに話す人は見たことないなって。なんでこんなに楽しそうに語れるんだろう?って不思議でした。
でも聞いてるうちに「なんかこの人の言ってる夢は叶いそうな気がする」って思ってきたんです。叶いそうだし、その夢が実現できたらいいなって。
大柴:なるほど。
勝並:あれから15年以上経ちますが、基本的に今も変わっていないんです。考え方や想いが全くブレてないし、言ってることも変わらない。それが凄いなって。今でもほんと楽しそうに事業モデルやビジョンを語るんです。想いがすごく強い。
大柴:すごいですね。
勝並:普段はすごく自然体で、みんなともフラットに接する社長です。一部上場企業の社長には見えない(笑)。とても素直でピュアです。
大柴:天真爛漫な感じですかね。
勝並:そうですね。少年のようです(笑)。
大柴:そんな吉松社長とともにずっとやってきたわけですが、勝並さんの今後についてお伺いできればと。
勝並:この会社はどこまでいくんだろう?というのにとても興味があるんです。その成長を会社の中で見ていたいなって思うんです。私はアイスタイルでいろんな業務をやってきて、遊軍部隊って言われるんです。アイスタイルの中ならどこの部門でも力を発揮できる「アイスタイルのスペシャリスト」だと思ってます。
会社の成長のためには何でもやるし、一番自分の力を発揮できる場所だと思っています。それが可能なのは、やはり最初に吉松から聞いたビジョンが全くブレてないからだと思います。軸がブレないからどこに問題があるかすぐにわかるし、解決できる。そう思ってます。
大柴:「アイスタイルのスペシャリスト」ってすごくよくわかります。
勝並:家庭もありますし、やっぱり時間的制約は出てきます。そんな中、短時間で最高のパフォーマンスを出すにはいまはアイスタイルしかないかなと思うんです。それも、会社の人や外の人の協力に支えられながらやっていっています。ほんと感謝です。
大柴:とても楽しく興味深いお話を伺えたと思います。今日はありがとうございました!
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